ゲーマー死す?!
「8番隊!ライトに回り氷結魔法で敵の足を狙え!」
「了解!」
タッタッタッ…ザザッ…
「5番隊は敵頭上より岩石系魔法、その隙に2番隊は遠距離より敵の頭を射ぬけ!」
「「了解!」」
「行くぞ。フリーズ・ブラスト!」
「ストーンストライク!」
「射ぬけ、アルテミス」
戦場に砂けむりと共に冷気が迸る。
「「「やったか?!」」」
その瞬間敵の眼光が鋭く眩い光を放った。
ピュイン……ドゴォォン。
GAME OVER
「チッ…クソゲーかよ。これで何回目だよ。大体こんなん勝てるやついんのか、クソが。」
技術が溢れかえる現代社会。その中でも昔から著しく発達して来たのがこのゲーム産業。2040年、最近ではサングラスのような形をしたリアリティグラスというものをかけ、プレイするゲームが主流である。リアリティグラスをかけ実際に喋ることでゲーム内のキャラとコミュニケーションを取ったり、体を動かして敵と闘ったりする、言わば仮装現実、それが現代のゲームの主流である。
「りゅうくーん、朝ご飯できたわよー」
眠い目を擦りながらその少年は目を覚ます。
「はぁ、また今日がやってきてしまったか…」
気だるげに毛布から這い出て、時計を確認する。時計の針は8時5分をさしている。
「ふぁーあ。眠い…って8時過ぎてるじゃん!」
急いでパジャマを脱ぎ、制服に着替え、1階へと駆け下りた。
「遅かったわね、冷めちゃうから早く食べなさい」
「そんな時間ないって!もう行かなきゃ!」
急いでパンを口にくわえ、靴に足を入れ、家を飛び出した。
「りゅうくん、怪我しないように気をつけるのよー!!!」
「はいはーい!行ってきまーす」
口にくわえたパンも食べ終わる前に、学校が見えてきた。だが車通りの少ない割にやたらと長い信号に足止めをくらっていた。
キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン。
「やばい!今ならまだ間に合う!今日遅刻したら指導だ…」
そう思いまだ青になる前に足を踏み出した。その時、一台の車が。
ガッシャーン。
「いつも車通り少ないのに…なんで…。人生なんて…クソゲー…だ」
薄れゆく意識の中、救急車のサイレンの音を聞くこともままならなかった。