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花のように燃ゆる火

作者: わたし

花火のように一瞬で消えてしまえたらどれほど楽であろうか。


隣でそれを見ていたはずの彼女は、りんご飴で唇を赤く染め上げるのに必死の様子だ。宙で爆発するそれには、対して興味がないのだろうか。風情というものを持っていないかのような彼女の雰囲気は、まるで幼い少女のようである。


花火のように爆発しても、一瞬では消えないだろう。あたりに肉片が飛び散り、血の海を作り、後始末が大変だ。花火のように鮮やかな色を纏った光を放ち、肉体諸共燃えて跡形もなく焼失してしまえばいい。


私が花火よりもりんご飴になりたい様な気持ちもしてきた頃、りんご飴に飽きたのか、ようやく花火を眺め始めた彼女。


花火は美しい。いつもなら耳障りな騒音も轟音も気になりやしない。全てを打ち消し、注目を集める。大勢の人に見取られ消えていく花火は、華やかであるが少し悲しくもある。

一瞬で消えてしまう。消えた花火と同じものはない。どんなに色、形が似ていても同じものはない。消えた花火にまた出会うことは出来ないのだ。だからこそ、誰もが注目するほどの大きな音と輝きを見せても一瞬で消えてしまう花火は悲しいものである。一つの花火が終わる度に、別れを感じる。


しかし、誰かの心に残った花火はその人の中で生きていくだろう。

彼女の中には私がちゃんと残っているのだろうか。今ここでいきなり私が消えても、彼女は私を心の中から呼び起こせるか。この世の中からは消えたいくせに彼女の心からは消えたくないだなんて自分でも滑稽だと思う。


私がこんなことを考えているだなんて知る由もない彼女は、無邪気にすごいすごいと笑うだけだった。

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