表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

紙上人生

作者: 晶

月曜から金曜まで、毎日朝の七時起き。

学校では退屈な授業と、友達との下らないおしゃべり。

時々気になるアイツと目が合っちゃったり……

まぁ、これが私の日常。

365-(土日祝日+夏&冬&春休み)日繰り返される行動。

まるで紙に書かれた人生のよう。

「あーあ、なんかこう……すごい出来事とか面白いこと起こらないかなぁ」

腕を頭の後ろで組み、足を机の上に投げ出す。

「何も起こらないからこそいいんじゃない」

前の席に腰かけている友人の真美が苦笑混じりに口を開く。

「え~っ!そうかなぁ~……」

私は続けて文句を言おうと口を開いた。

その時、なんだかモヤがかかったように頭がボーッとした。

しばらくして頭のモヤが晴れるも、相変わらず私は女子らしからぬ、机に足を投げ出す格好をしていた。

前の席には誰も座っていない。

イスには、ひんやりとした冷たさがある。

……私、さっきまで誰かとしゃべっていたような。

しかし、それが誰だったのか、何を話していたのか思い出せない。

こういう事は割とよく起こる。

……物忘れがひどいわね。

まぁ、こういうことがあっても時間は過ぎていく。


帰り道。

私の隣には気になるアイツ。

ドキドキ鼓動がうるさい。これ、聞かれてないよね?

急にヤツが立ち止る。そしてじっと私を見つめてくる。

ヤツが一歩近づく。

これって……キス!?

私は顔を真っ赤にしながらも、顔を少し上に向け瞼を閉じようとした。

が、急に体の自由が奪われる。

自分が石にでもなったように、瞬きすることも、呼吸することも出来なくなった。

ヤツも少しも動かない……


『顔を少し上に向け、瞼を閉じようと……』

彼女は、そこで万年筆を投げ出した。

こんな話ではベストセラーは駄目だ。

くしゃくしゃと原稿用紙を丸め、床に放り投げる。


タイトルは『ある女子高生の平凡な人生』であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ