1/4
ぷろろーぐ
うららかな春の日差しの中、俺は目覚めた。いや、うららかな春っぽい日差しの中、目が覚めた。
周りを見渡せば、爽やかな風に遊ばれている豊かな草原や、可愛らしい花が優しい陽の光を受けて、なんとも和やかな雰囲気を醸しだしている。
そんな、まったーりとした空間と、過ごしやすい気候を考えれば、「春だわぁ、これまじ春だわぁ」とか思ってしまうのも無理はないと思う。
でも、俺には今日が春だ、とは分からない。というか、春、という概念がこの世界に存在するのかすら分からない。
いきなりおかしいこと言い出したと思いました?
いや、だって仕方でしょ。ここ――異世界なんだから。