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アルトの話

 

 「どけ!どけ!!魔族を捉えた!!どけ!どかぬかぁ!!」


 深紅の長い髪を一つにまとめたポニーテールを振り回しながら、大股で歩く青年騎士。

 左肩には何か荷物を抱えていて、右手で集まっている村人たちを押しのけている。

 身長は170センチほどで、そこまで高くは無いが、目立ちもしっかりしていて、

 その顔には聡明さがあふれ出ていた。

 

 まぁ、簡単に言えばイケメンである。



 綺麗な、まるで燃えるようなその髪と同じ色の灼熱を現した鎧の肩には、足をバタつかせる鎖で拘束された一人の少女がいた。


 王宮のメイド コッタである。



 「むーむーむー」


 猿ぐつわを咬ませられており、しゃべることも出来ない。


 緩やかウェーブのかかった金髪を、一心不乱に振り回しながら、なんとかこの青年騎士から逃れようとするコッタ。



 「こら!暴れるな!」

 ペシリ!と青年騎士から、その柔らかなお尻を叩かれるコッタ。

 プルンとお尻の肉が揺れる。


 「むふぅ!?むーむーむー」

 顔を赤面させながら、青年騎士に何かを訴えるコッタ。


 どうしてこんなことに

 コッタはここまでの経緯を思い返した。

 あの後、オーガの群れを一日かけて殲滅した後。

 

 少々の休憩をはさんで、勇者様のいる隠れ村、トロンへと向かったコッタは、


 村まであと少しという所で、強烈な電撃を浴びて気絶してしまった。


 その電撃のしびれは、大変心地の良い、激しい痛みだったのだが。

 

 気付くとこのイケメン騎士に拘束されていて、運ばれたのである。


 回想終わり。

 短い!


 しかし、訳が分からない。

 運んでいるのがイケメンでまだ良かったが、

 それにしても、この美少女ロリ巨乳メイドであるコッタ様を魔族だなんて、

 失礼にも程がある。


 このイケメンには罰を与えねばなるまい。


 コッタは意識を集中して、魔子を操り始めた。


 地面に、氷を張る。

 つるりんと転んで、笑い物にされるがいい!!


 この青年騎士が転べば、コッタも顔面を強打する可能性は高いのだが、

 そこは考えない。

 青年騎士の頭に氷塊を落とす方法もあったのだが、それはしなかった。


 だって、イケメンの顔に傷が付いたら大変じゃないですか。

 男は所詮顔。女も顔。

 そこに性格というおまけがくっつくのだ。


 しかし、青年騎士が転ぶ事は無かった。

 コッタが氷を張る前に、コッタを拘束している鎖が強力な電撃をコッタに浴びせたからだ。


 「むぉっぉぉぉぉぉぉああぁっぁあぁぉぉぉぉうぅうぅ!!」


 涙を浮かべながら絶叫するコッタ。


 き、気持ちいいぃぃ……。


 コッタ。王宮メイド。美少女。 ロリ。 巨乳。 M。


 10秒ほど、牛をも失神させる強力な電撃を浴びたコッタは


 びくびくと体を痙攣させていた。


 電撃を浴びたためだ。


 ……電撃を浴びたからだ。


 …………他の事の意味は無い、はずだ。



 「魔力を使用しようとしたのか?バカな奴め。」

 深紅の髪の青年騎士は、あきれたようにコッタを見る。


 「その鎖は、勇者トロンが作り出した 魔のモノを感知し、撃退するモノだ。

 この村の周囲500メートルに張り巡らされている。」

 「鎖は、魔物や魔族の肉体、魔子を動かす時に出る魔力に反応して作用する。」


 「だからこそ、こんな強力な魔物がうじゃうじゃいる辺境でも、

 私と勇者様の二人で村人を守る事が出来るのだ。」


 「調べが足りなかったな。」


 青年騎士はコッタのお尻を叩いた。


 「むぐう!!」

 羞恥で、顔が赤くなる。


 むー、覚えておきなさいよー。

 これを外したら、その鎧を粉々にして、全裸を拝んでやる。

 どうもこの青年騎士は細身の筋肉質のようだ。

 今から楽しみである。


 しかし、気になることがある。

 

 なぜ、彼は私を魔族と決め付けたのだろう?

 魔力なら、魔法を使える者なら、多少なりとも身に帯びている。

 魔力を帯びた程度で魔族扱いされてはたまらない。


 むかついたので、また暴れてやった。


 「暴れるなぁ!」

 と恫喝され、ペシリとお尻を叩かれる。


 ……なんだろう。この感覚。

 この青年騎士に怒鳴られ、叩かれるたびに、新しい自分が生まれる感覚。


 コッタ。王宮メイド。美少女。 ロリ。 巨乳。 ドM。



 なんやかんや、コッタを抱えた青年騎士は、

 村の中心にある、一際大きくて立派な建物に着いた。

 まるでお城のようだ。

 実際の王宮とは比べ物にならないが。


 3階建て、石壁で出来ており、壁から屋根まで全て真っ白に塗られていた。

 どこも塗装が剥がれていない。

 驚きのしろさ!

 王宮ほどじゃないけどね!

 ちなみに王宮は黒色。

 驚きのしろさ!と言えない。

 残念!


 大きな扉を開け、中へ進んでいく青年騎士。



 応接間のような所で、立ち止り、そのドアをノックした。



 「騎士のアルトです!魔族らしき者を捕らえました!

 入室してもよろしいでしょうか?」


 どうぞ。中から声がして、深紅の騎士アルトが中に入っていく。


 乱暴に、雑に、ドサリと床にコッタを投げ出して、

 アルトは姿勢を正して奥にいた人物に敬礼した。


 「勇者ライト様。こちらがお話しした魔族です。いかがなさいますか?」


 コッタは、床に投げ出された衝撃から何とか回復して、勇者を呼ばれた人物を見た。


 綺麗な黒い髪がつんつんと逆立っていたが、その目にはメガネがかけられており、

 顔は非常に幼く見えた。

 ってか幼い。

 身長は150センチくらいだろうか?

 10歳くらいに見える。

 ちなみに私の身長は145だ。


 それが、この人物がライト。


 私が夢見た王子様。




 

 

 

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