表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

魔法の話

 コッタは魔力を込めた。

 コッタは魔力を解き放とうとしている。


 なんて、声がどこからか聞こえてきそうだけど。

 魔法って、なんか解き放つって感じじゃないんだよな。

 私の場合。


 魔法とは、科学である。

 物質の三態を促し、物質同士の反応において、今の科学では解明できない現象を引き起こす人為的なモノを、魔法と称す。


 だったか、なんか昔の偉い人の書いた本によると。


 王宮のメイドは、器量のみでなく、知識と、武力、その他あらゆる事に精通しなくてはいけない。


 剣術や、拳術、体術から馬術、華道からおやすみまで。


 一通りこなした。


 その中でも、私が一番得意としたのは(夜伽の講座以外では)

 魔術である。


 魔術 魔法 呪文


 なんか色々呼ばれてはいて、行為も微妙に違うのだが、

 結局のところ、この手のモノは、

 "魔子"と呼ばれる非常に小さい物質を操作しているだけである。



 物質は、分子と呼ばれるモノで出来ているらしい。


 非常に小さいモノの集まりが、世界中の全てを作っていて

 このロリ巨乳の体や、水、地面、空気。

 ありとあらゆるモノが分子からできている。


 その分子も、もっと小さいモノから出来ているかもしれないという学説が出ていたが

 そこまでは、まだ分かっていない。


 とりあえず、魔子とは、物質を作る以外の、分子よりも小さいモノである。

 そして、魔法とは、その魔子を操作して分子を動かす行為で、

 分子を刺激することで様々な結果を生み出す。

 


 コッタは、自身を拘束している舌に、魔子を送りこむ。

 

 オーガは、一瞬、その長い舌に違和感を感じたのだが、

 すぐにその違和感は消えたので、かまわずコッタの体を拘束したまま、自身の所へとコッタを運ぼうとした。


 その望みは叶わなかったが。

 


 魔法は、操作だ。


 その感覚は魚を釣り上げる時に似ている。

 暴れる魔子を誘導して、先導して、落ち着かせる。

 落ち着かせるのは、私の得意な魔法が、氷結系の魔法だからだ。



 オーガが、一番命令を聞くはずの自身の体が動かないことに困惑している中、


 コッタは、そのオーガの舌を思いっきり叩いた。


 パンっと

 乾いた音がしたかと思うと、

 オーガ舌が、ピキピキと音を立てて、白く凍り始めた。


 過冷却


 と呼ばれる現象だ。


 凍るとは、分子の運動が止まった状態。

 気体 液体 固体 は、

 分子が左から右へ規則正しく並んでいるようになると思ってくれていい。

 

 しかし、あまり急激に分子の運動を止めてしまうと、

 分子が液体の構造のまま動きを止めてしまう。

 

 そこに衝撃を加える事で、

 液体だった分子が刺激で動かされ、固体の配列へと急激に動き出す。

 それが 過冷却。


 魔子の力によって、オーガの全身の分子の動きを止めたコッタは、

 衝撃を加える事で、オーガの体を凍らせたのだ。


 オーガ自身、何が起きているか分からなかっただろう。

 周囲はまだ温かいのに、全身が凍っていく感覚。



 一分もしないで、オーガは頭の先からつま先まで


 全身凍りついていた。


 コッタは手刀で凍りついたオーガの舌を切断すると、

 そのままオーガの氷像を踏み抜いた。


 周りに、氷の結晶が舞う。


 さてと


 コッタは思う。


 あと一日って所なんだけど、どうやらそうはいかないみたい。


 周囲の木々が激しく動く。

 ざわざわ


 ボスって感じか。イベントの最後。お楽しみ前の試練。


 コッタは、とくに気負うことなく、普通に立つ。


 自然体。自然体が一番良い。

 コッタの経験則だった。構えは不要。


 木々だと思っていたモノが、徐々にその輪郭を現した。

 6メートルは超える、毛むくじゃらの大男。


 先ほど倒したオーガの巨大バージョン。


 それが、ひー ふー みー ……


 数え切れない。


 とりあえず、周囲を全て囲まれており、逃げ場は無い。


 先ほど倒したオーガは子供だったのか。


 繁殖が珍しいオーガの子。

 悪いことをしてしまったのかもしれない。


 動物愛護の精神をもっている方々を怒らせてしまいそうだ。


 知らんけど。

 命がかかっていたのだ。

 殺されるくらいなら、それが親でも私は殺す。


 コッタは魔子を操作して、周囲に張り巡らした。


 これが終われば勇者様か。

 期待で、コッタの胸が躍った。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ