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草霊花伝  作者: 黒蝶 羅々
金木犀の乱
9/9

悩み

 彼女、菫が来てからもう数日が経ってしまった。


 彼女自身を憎いと思ってはいないわ。ただ、この関係がつらいだけ。

私の自分勝手かもしれないけれど、何かをしなくてはいられないのよ。



 菫を追い出す。



 この城から、銀木犀の下から・・・・・


 でも、その為には一体どうすればいいのか。それが分らなくて酷く嫌な気分になる。

こうしている内に、私の方が何かの病気にかかってしまいそうだ。


「はぁ・・・・・」


 重く、長い溜息。縁側で庭を眺めながら、私は悩んでいた。





「何かお困りのようね」




 ふとそんな声がして、気づけば庭には女が一人。

喩えるなら夏の笹のような、爽やかで美しい女。どこか、菫に似ている気もしてくる。


「あなたは・・・・・誰?勝手にこの城に入り込んで、兵を呼びますよ」


「そんなに怖い顔をしなくてもいいわ。面白いことを教えてあげに来たのよ。あなたの悩みは分っている。彼女(・・)を追い出したいんでしょう?」



 ・・・・・・・当たっている。


 何故、そのことを知っているのか。疑問を口にする前に、女は私に耳打ちした。


『隣国の紫苑。彼に彼女を売りなさい。そうすれば、彼女はここからいなくなる。金ももらえて、少しはこの国が豊かになるわ。このままここに彼女がいるのと、私の言う通りに事を起こすのと、どちらが良いか・・・・・・分るわよね?』


 隣国の紫苑・・・?

聞いたことがある。詳しくは知らないが、確かなかなかの強国の王子だったはず。


 確かに、そうすれば菫はいなくなる。それに、金も手に入る。

彼女の言う通りにすれば、全てが幸せに・・・・・・・・



 女に返答しようと顔を上げたが、すでに彼女の姿はない。


「まぁ、どうするかはあなたの自由ですけど」


  どこからか、そんな声が聞こえた気がした。

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