表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
草霊花伝  作者: 黒蝶 羅々
笹の乱
6/9

 紫苑の言うとおり、銀木犀に婚約の話が伝わった途端に戦が始まった。平和な国に戦火がよぎります。


戦が起こったことにより焦ったのは金木犀でした。戦、ということは銀木犀の命が狙われると言う事です。自身の部屋で、金木犀は後悔に溺れておりました。


「どういうことなの!?彼女の言うとおりにしただけなのに・・・」


「嘘をつかれた、ということ?」


「このままでは・・・・」


 少しずつ、金木犀の精神は病んでいきました。戦は平行線の一途をたどり、終る様子も見えません。


「私が、あんな事をしなければ・・・・」


 多くの者が傷つき、死んでいきました。多くの家々が焼かれ、食料が減っています。

しかし、紫苑は平気で戦を続けておりました。


 敵を殺し、少しでも自身の領地を増やしていく為です。そんな中、菫はこっそりと姿を消しました。何処へ行ったのか、何があったのかも分からないまま・・・・・


 それでも戦は収まりません。戦の原因にもなった菫が姿を消した事は、秘密にされておりました。




    二つの国は、一人の女性が原因で滅びようとしておりました。




















 竹藪の中、ひっそりとその小屋はあります。本当に小さく、人一人がやっと暮らせるような小屋。

その小屋の中に、私は住んでいるのです。


 竹を掻き分ける音がして、彼女がやって来ました。やっぱり、彼女は私の所にいるのが一番なのよ。

息を荒げながら小屋に入ってきた彼女は、美しい顔をぐしゃぐしゃにして泣いていました。


「笹・・・あなたなの?」


「何のことか分からないわね」


 もちろん、嘘ですわ。


「金木犀を騙し、戦を起こさせた。すべては貴方の手の内・・・・・と言うことでしょう?」


 よくお分かりね。やっぱり彼女は頭が良いわ。

そんなことは言わずに、私はニッコリと微笑みました。ここに彼女が来てくれた事だけがとても嬉しくて。


「何で・・・・そんな事をしたの?そんなにもあの人の事を怨んでいたの?」


 そうに決まっているわ。


「何故、貴方があいつの事を怨まないのか、その事の方が不思議に思えない?あいつは貴方を、そして私を裏切り、殺した」


 そう、ちょうど一年前、私は死んだ。しかし、もう一度この世に蘇った。笹として。精霊として・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ