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陰謀
その日から、銀木犀は変わりました。
金木犀よりも菫と共にいることが多くなり、金木犀といても空想にふけります。
普段は真面目な銀木犀が、菫といる時だけ微かにちょっとしたおふざけをして菫を笑わせます。
銀木犀を愛している。しかし、彼は自分の事を愛していない。
憎しみが、徐々に金木犀を満たしていきました。
そんなある日、とうとう金木犀は動き出しました。
「あ、姫様。どうか致しましたか?」
そうやって優しく微笑む唇が、
艶のある美しい髪が、
可愛らしく瞬く瞳が、
少しずつ金木犀の怒りを増やしていきます。
胸の感情を抑え、静かな声で金木犀は囁きました。
「銀木犀が、貴方を呼んでいるの。行ってきたらどうかしら?西の離れにある一番奥の部屋よ」
「一番奥・・・・離れの?一体どうしてかしら?」
不思議そうな顔をしながら、菫は言われた通りに離れに向かいました。
―――きっと彼女に言ったら怒られてしまうから、この事は内緒。
まさか私が、金木犀に助言したなんてね。