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謎の女
ある時、銀木犀はたった一人で狩に出かけて行きました。向かった山は城のすぐ近くで、安全だと言って。
夕方になり、帰ってきた銀木犀のもとにやって来た金木犀は我が目を疑いました。銀木犀の横で、彼と共に笑い合っているのは見知らぬ女。
藤色の衣に桜の簪を纏った見目麗しい彼女は、城にいるすべての者の目を奪いました。
優しげな瞳、柔らかな身のこなし。彼女はこの城の誰よりも輝いておりました。
・・・・・もちろん、金木犀よりも・・・・
銀木犀により、金木犀は女に紹介されました。
「はじめまして?私は、菫と申します。姫様」
そう言って微笑む菫を見ている銀木犀の目は、金木犀が彼に向けていた瞳によく似ていたので
金木犀は、銀木犀が菫に恋心を抱いている事に気付いたのでした。
・・・・こうして全ての歯車は整って、気が付けば私の手の内に。
もう少しよ。もう少しで彼女は私のもの。
憎らしい奴に渡すものか・・・・・・・・