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始まり
昔々、ある所に、大きな国がありました。その国は、巨大な城を持つ、一人の殿様によって治められておりました。
毎年季節ごとに花々が咲き誇り、それは見事な風景でした。大きな川も流れ、経済的にも豊かな国でした。
その国の殿様には、二人の子供がありました。
娘の方は、名を金木犀。息子の方の名は、銀木犀。二人は、双子でした。
男である銀木犀は、様々な勉学、武術を学び、立派な青年へと育っておりました。妹である金木犀は、殿様の血をより濃くする為に銀木犀と婚約する事になっていました。
二人は仲が良かった為、その事に異論は唱えませんでした。
周りの者たちも、異論はありませんでした。
逆に
「それは素晴しい考えです」
と、殿様を褒め称えておりました。
国は平和で、ちょっとした諍い以外は何も起こりません。温和な殿様は、戦を起こそうという事さえも考えませんでした。
静かな時が、緩やかに過ぎていきます。
それはまるで、大きな争いの前の静けさのように・・・・・・