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異世界転生ではなく、AI の作った世界に転生した僕  作者: りな


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巨大蟻の姿が、すべて砂の底へと消えた。


僕は展開していた《蟻地獄》を解除する。

その瞬間、どっと疲労が押し寄せ、思わず肩で息をした。


……思ったより、魔力を消耗している。


「本命はまだだが、どうする?」


アレクサンダーがこちらを振り返って聞いた。


「……姿を見てから、判断します」


まだ、大丈夫。そう自分に言い聞かせるように、僕は答えた。


アレクサンダーはそれ以上何も言わず、しばらく歩いた。


「ここだ」


そう言って、ぴたりと足を止めた。


……周囲を見回す。

乾いた大地が広がるだけで、何もない。


どういうこと?


「ここは、砂の魔物だ」


アレクサンダーは淡々と続ける。


「実体がない。ひたすら、熱砂が襲ってくる」


……倒しようが、あるの?


僕の頭は混乱した。

だが、そんな僕とは対照的に、アレクサンダーは余裕の表情で立っている。


「来るぞ」


その瞬間だった。


空気が揺れ、砂が一気に集まり、塊となってアレクサンダーへ襲いかかる。


――危ない!


そう思った次の瞬間。


砂の塊は、アレクサンダーの目の前で、さらさらと力を失い、地面へと崩れ落ちた。


……え?


当たって、いない?


いや、それ以前に――


何を、した?


「来るぞ」


アレクサンダーが短く告げた。


次の瞬間、僕の正面から、砂が一気に集まり、巨大な塊となって迫ってくる。


《創造》《壁》


反射的に、目の前へ壁を生み出した。


――激突。


砂は壁に叩きつけられ、轟音とともに弾け飛ぶ。だが、僕の壁は耐えきれず、あっさりと崩壊した。


砕けた砂が、焼けるような熱を帯びて飛び散る。


「――っ!」


頬と腕を、刃物のような砂が切り裂いた。


……熱い。

冗談じゃない、むちゃくちゃ熱い。


「まだだ。後ろからだ」


アレクサンダーの声が、険しく響く。


……後ろ?


僕は混乱した。

だって、アレクサンダーは――


何かを、したの?

どうして、平然と立っていられる?

考える暇もなく、僕は反射的に後ろを振り向いた。


その瞬間、視界いっぱいに広がる砂の塊。


――近い!


右手を、前に突き出す。


《破壊》《砂》


右腕に、焼けつくような熱が走った。

顔を撫でる熱波に、思わず歯を食いしばる。


だが――


砂の塊は、僕の目の前で、さらさらと力を失い、元の砂へと戻っていった。


……え?


出来た……のか?


おそるおそる、アレクサンダーを見る。

彼は腕を組み、静かに頷いていた。


……正解?



それからは、ただひたすらだった。


次々と襲ってくる、灼熱の砂。

僕はそのすべてを、《破壊》で打ち消し続けた。

でも、右腕の感覚が徐々に失くなっていく。

身体が重くなってきた。

視界が、ゆっくりと滲んでいく。

僕は、耐えきれずに膝をついた。


「立て、ケント。――見るんだ」


アレクサンダーの声が、遠くから聞こえた。


……何を?


感覚の失われた右手を、だらりと下げたまま、僕は前を見た。


――そこに、一本の木が立っていた。


……木?


砂漠の真ん中に、あり得ないほど静かに、一本だけ。枝には、実がなっている。

足は重く、地面に縫い止められているようだった。でも、僕は立って、一歩ずつゆっくりと歩いた。


近づくにつれて、それは、はっきりと分かった。りんご飴のように艶やかで、光を閉じ込めたかのような黄金色の実。


確かに――そこに木はあり、実はなっている。


僕は、震える指でひとつの実を掴んだ。


《収納》


黄金の実は、光を残して消えた。


その瞬間、張り詰めていた力が、一気に抜け落ちる。


――もう、限界だ。


僕の意識は、闇へと沈んでいった。



僕が目を覚ました時、すぐにアレクサンダーの家だと分かった。何度も泊まって、すっかり見慣れた場所だ。


この家は、いつも料理の美味しそうな匂いがしていて、どこか暖かい。


僕は起き上がろうとした。


……身体が、痛い。


「痛っ」


思わず声が漏れた。


「ケント、起きたの?」


近くにいたサラが、すぐに気づいた。


「うん」


そう答えると、


「はい、お水だよ」


サラは小さな手でコップを差し出してくれた。中には、きちんと注がれた水。


「ありがとう」


僕はそう言って、一気に飲み干した。喉が、からからだった。


「……どうして、サラが?」


僕が聞くと、サラは少しもじもじしながら答えた。


「父さんが、そろそろ起きるかもって。

もし起きたら、水をあげてって言ったから……。待ってたの」


……優しい子だな。


「とても助かったよ」


僕は、素直にそう言った。


「……何か、食べる?」


サラは、少し心配そうに聞いてきた。


確かに、お腹は空いている。でも、起き上がろうとして、力が入らないことに気づいた。


「ここで、食べていいのかな?」


僕がそう聞くと、


「大丈夫だよ。待ってて」


サラはそう言って、駆け出すように部屋の外へ向かっていった。


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