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異世界転生ではなく、AI の作った世界に転生した僕  作者: りな


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アレクサンダーが消え、僕はしばらく呆然とその場に立ち尽くした。


……え、これから何すればいいの?

いや、そもそも僕に何が出来る?


混乱したまま、とりあえず「明かりでも用意すべき?」なんて考えた瞬間だった。


世界が――落ちた。


視界も音も、すべてが一瞬で奪われた。

漆黒。完全な闇。耳鳴りすらしない、無音の世界。


「……うそ、でしょ」


あ、でも知ってる。

本で読んだことがある。

人間は、光も音もない世界にいると簡単に正気を崩すって。


僕は慌てて足元を見る。

暗闇で見えるはずもないけど、地面は――ある。ちゃんと立てている。でも、それすら疑いたくなるほどの黒。


「…………」


顔がひきつるのが、自分でもわかった。


これ、初手から難易度おかしくない?


全身から、変な汗が吹き出してくるのがわかった。時間の感覚すら薄れていく。

一歩、前に踏み出した――つもりだったのに、足は力を失い、そのままへなへなと座り込んでしまった。


……落ち着け。考えろ。

深呼吸。ゆっくり、ゆっくり。


《創造》《火》


……何も起きない。


《創造》《明かり》


――変わらず、闇。


《創造》《太陽》


……駄目だ。

暗闇はびくともしない。


そもそも、《創造》には“元”が必要なんだ。

僕は見えない地面を握りしめた。湿った土と、枯れ葉の感触だけが頼りだった。


「……誰か、いないの?」


声を出した。

けれど、その声は闇の中に吸い込まれていく。返事はない。気配もない。


闇が――押し潰してくる。


怖い。

怖い。

怖い、怖い、怖い、怖い。


目を開いても閉じても、闇しかない。


「……だれ――」


言いかけて、ふと気づいた。


……もしかして。


《創造》《叡知の書》


瞬間。

僕の目の前に、“光”がふっと現れた。

僕は《叡知の書》を、もう一度《創造》し直した。

今度は、光を放ち、二人の女の子が立体化して僕と対話してくれる――そんな姿を、強くイメージして。


ぱあっと光が弾ける。


「……やった」


掠れた声でそう言ったが、次の瞬間、僕は固まった。

現れた二人の女の子は――僕の膝の半分くらいの高さしかなかった。まるで、ままごと用の人形が動き出したみたいなサイズだ。


「……ちっさ」


つい、言ってしまった。


すぐに、片方の女の子がぷくっと頬を膨らませた。


「ちっさ、て言うな!」


続けて、もう一人が腕を組んで言った。


「そうだ、そうだ! イメージが足りないのてす!」


「ねー!」


「ねー!」


二人の声が綺麗にハモった。


「……すいません」


思わず謝ってしまった。

……いや、待て。どうして僕が謝る流れになってるの?理不尽じゃない?


しかし、二人の女の子は当然と言わんばかりに、ちまっとした体で仁王立ちしていた。


この高さでは、会話をするのに首が痛くなるかな――と僕は思った。

そこで、すぐに《創造》《ステージ》を発動した。


ぐぐぐ、と二人の女の子の足元が盛り上がる。


「ぎゃーっ!?」

「い、いやぁぁ!?」


小さな悲鳴を上げながら、女の子達が慌ててバランスを取ろうとしていた。

盛り上がった地面は、僕がお山座りした時に、ちょうど目線が合う高さで止まる。

それは、円形のステージの台のような形をしていた。


……うん。

これで話しやすい、かな。


だが、地面の動きが止まるや否や、二人はぷりぷり怒り出した。


「ちょっと! 突然やるのはやめて下さい!」

「そうよ! 怖いじゃない!」


さらに追撃のように――


「せめて違う場所に作って、そこに移動させればよかったでしょ!」

「ほんとそれ!」


……あ。

本当だ。


「ごめんなさい。気がつきませんでした」


僕が素直に頭を下げると、二人は胸を張って言った。


「わかればよいです!」

「何かするときは声をかけること! これ、大事!」


叱られているはずなのに――

何故か、僕はじんわりと安心していた。


「どうやって光ってるのかな?」


目の前に浮かぶ二人の少女――僕が《創造》したはずの“叡知の書”。

その身体は、まるで淡い光をまとった小さな精霊のように、ぼんやり明るい。


僕が作ったのに、なんで光ってるのか全然わからない。

不思議すぎる。


「知らなーい」

「知らなーい」


はい、またハモった。


……うん。

深く考えるのはやめておこう。


とりあえず、今の問題を聞かないと。


「この闇の中を僕は一週間、一人でいなくちゃダメなの?」


少女たちは、当然のように言った。


「そうだよ」

「それがアイテムを手に入れる条件だよ」


「それって……事前準備してないと、かなり厳しいんじゃない?」


「そうだねー」

「用意は必要だねー」


……ちょっと。

アレクサンダー、酷くない?


「でも、食料はあるんでしょ?」

「うん」

「で、叡知の書もある、と」

「うん」


二人はにこっと笑って――


「カンペキ☆」

「そうですよね~」


……はい。

わけがわかりません。


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