11.町を散策してただけなのに……遭遇!攻略対象キャラその3!
「わー!神内町だー!背景の噴水もあるー!」
「背景の噴水?」
放課後、とりあえず駅前に行くと私はゲーム内のマップで選んで背景イラストで見ていた噴水を見つけ、両手を広げて駆け寄り興奮気味に叫ぶ。
鈴がまたもや訝し気に私を見ていた。
「ここが駅前だよねー、神内駅……いろいろあったなぁ……」
「何がよ。」
鈴の突っ込みが入る。
そろそろゲームのことを口に出すのはやめよう。うん。
「で、どこ行こうか。」
「とりあえず、駅前の商店街行く?結構賑わってるよ。若い子向けの店もあるし。って何でほんとにこんな案内してんのよ。」
「あはは!ナチュラルクローバーとかかわいいよね。」
私はあえてゲームで知っている店の名前を言ってみる。
「……何よ、わかってんじゃない。」
「そりゃもちろん、生まれも育ちもこの町ですから?」
少しは元の彩衣ちゃん風にしとかないとね。
「じゃあ、商店街いこー!」
「うん。」
二人並んであちこちの店を見て歩く。
通り過ぎる人は皆、ユキ。先生のキャラクターで美女、イケメン。
お店も可愛い。
服もスタイルいいから何でも着れる!似合う!
はー!楽園かな楽園かな!
「で、ここが大型CDショップだったんだけど潰れちゃったんだよねー・・・」
「え!?潰れたの!?」
ゲームでそんな設定だったっけ???
確か、このCDショップは……
「危ねぇ!!!!」
「きゃ!!」
その時、突然声がして私たちは突き飛ばされた。
その直後にガッシャーン!という大きな音がして、目を開くと……
私たちのいた場所に……なぜか頭上の看板が落ちてきていた……。
「チッ……たく、あいつのせいで魔物や穢れが蔓延こっちまって……」
その声に……私は耳を疑う。
この……声は……この声は!!!!!!!!
落ちた看板をガン!と蹴っている人物をおそるおそる見上げる……。
そこにいたのは……
「国木田麻日ーーーーーーーー!!!!!」
私は絶叫していた。
そしてバッと口を抑えた。
そう、そこには攻略対象その3。
「あ?何だてめぇ、人の名前絶叫してんじゃねぇよ。」
生意気ツンデレ下級生キャラ、国木田麻日がいたからだ。




