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85話 魔女の下僕

 キラさんはそう言ってボクの体の上に体を重ね、更にボクの唇に唇を重ねました。




 ベッドの上に仰向けに倒されたボクの上にはキラさんが覆い被さっています。




 体と体が全面で密着し・・・


 ・・・ボクのそれとキラさんのそれが重なって、こすれあっているのです。




「あのっ・・・キラさん・・・当たってるのですが・・・」


 するとキラさんは少しいたずらっぽく微笑みました。




 ああっ!そうです!


 さっき女の子の体になった時、男性のこの部分は体の中に埋没していましたが、そこに存在していたのです。


 ・・・という事は、つまり、ボクが女の子の体だとしたら、これ同士が密着している今の状態は・・・



 ・・・・・男女でその行為をしているのと・・・同じ事なのではないでしょうか?



 実際、それ同士がこすれ合うと、ものすごい快感が全身を貫くのです。


 男の体同士でも・・・こんなに気持ちがいい事が出来てしまうのです。


 さっき果てたばかりだというのに、それはもう、再び大きく、硬くなっていました。




 キラさんは、それを右に左に位置を変えながらボクのそれにこすりつけてきます。


 それと同時に、唇に口づけしたり、首筋に口づけしたりしてきました。



 もう、体中どこを触られても快感が走る感じです。



 これって・・・単に触られているからでは無くて・・・好きな相手に触られているから快感が走るのだという事がボクにはわかります。


 間違いなく、ボクはキラさんの事が好きなのです。


 気が付くと、ボクの方からもキラさんに口づけをしていました。



 ボクとキラさんは、そうしてしばらく抱き合っていました。



 ・・・これって・・・男同士だけど、しちゃった事になるのでしょうか?



 そんな事を考えていると、キラさんが話しかけてきました。


「ルルさんは、女の子としての初めてをソラさんにあげたかったのですよね?」



「・・・はい・・・・・そう・・・です・・・」



 ・・・キラさんには、お見通しだったみたいです。



「男の子としての初めては、レィナさんとが良かったですか?」



「いえ!・・・そんな事は・・・・・」


 とっさに否定しようとしましたが・・・さっきの感情がよみがえってきました。


 ・・・男性の体として成熟したら・・・ボクはきっと・・・レィナちゃんの体を求めてしまいそうな気がします。



「わかりません・・・そう・・・なのかもしれません」



「ふふっ、すみませんでした。ルルさんの男同士での初めてはわたしが頂いてしまいました」



 キラさんはそう言って体を離していきました。



 そして、ボクの前で正座しました。



 ・・・ボクも、何となくつられて、キラさんの正面に正座しました。




 二人とも背筋を伸ばして、きれいな姿勢で正座しているのですが・・・


 ・・・どちらも全裸で、それぞれの股間から、男性のそれが、大きく、硬くなってそそり立っているという・・・傍から見たら、かなりシュールな光景だと思います。



「本当はこのまま、ルルさんの全てを自分のものにしたいという欲求が抑えきれないところだったのですが・・・わたしにとってルルさんはそれ以上に崇高で大切な存在です」


 キラさんは真剣な表情でボクに語りかけます。


「わたしは、これからの人生において生涯、ルルさんのために尽くす事を誓います」



「ど、どうしたんですか?」



 ・・・どうして、その様な大層な話になってしまったのでしょう?



「先ほど、ルルさんの体から出されたものを頂いてしまいました」


「・・・はい・・・あのような汚いものを・・・すみません」


「いえ、あれを飲み込んだ時に確信したのです」


 キラさんがボクに強いまなざしを向けます。




「・・・ルルさん!・・・あなたは、本物の『魔女』ですね」




「えっ!何を言ってるのですか?」




「もう、ごまかす必要はありません。ルルさんは私の様な人工的に作られた魔女ではなく、正真正銘、正統な本物の『魔女』です」




「・・・どうして・・・そう言い切れるのですか?」



「男性の体から出されるあれには、その人の肉体を構成するための情報が全て書き込まれているのです」


 ・・・それは・・・ボクも少しだけ医学の勉強をしているので、知識としては知っています。


「先ほど飲み込んだルルさんのものを魔法で解析したところ、ルルさんの体には魔女の特徴がかなり強く現れている事がわかりました」


「そんな事がわかるのですか?」


「魔女の魔法には、他人に姿を変えたり、動物に化けるものもあります。そう言った魔法を発動する時に、その対象の肉体の情報を解析する必要があるのです」



 そういえば・・・お母さんもそういう魔法を使った事がありました。



「おそらくルルさんの近しい祖先に魔女がいる事は間違いありません。そしてルルさんは、かなり高い確率でわたしの様な『亜魔女』になる事が可能です」




 ・・・近しい祖先、というか・・・お母さんです。




「ただ、本当の魔女というのは、そういった肉体の特性に一切関係がないのです」




「えっ?・・・では、どうして?」




「それは・・・ルルさんの体から出されたものに含まれていた魔力です」



 そう言えば、キラさんは魔女の魔力がわかると言っていました。


「一度目に飲み込んだ時には明確にわからなかったのですが、二度目の時ははっきりとそれを認識する事が出来ました」



 ・・・二度目というのは、『念』を一緒に放出した時のものです。



「何か別の力と絡み合っていましたが、あれは紛れもなく、正当な魔女のみが持つ固有の魔力でした」



 そうです・・・ボクは『念』を強く解き放った時のみ、体内に封じられている魔女の魔力も、一緒に解き放つ事が出来るのです。




「もう一度お尋ねします」


 キラさんが真剣な顔をしました。




「ルルさんは、『魔女』ですね?」




 これは・・・ボクも真剣に答えなければいけない気がしました。




「はい・・・ボクは・・・『魔女』です」




 キラさんの顔が、喜びにあふれた顔になりました。


 そして目から涙が溢れました。



「やっと・・・やっと見つけました!」




 キラさんはそう言ってボクの右手を手に取ると、手の甲に口づけをしたのです!




「わたしはこれからあなたの忠実な下僕です。我が主よ」


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