表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/87

72話 魔女の素質

「『人間を魔女にする秘術』・・・ですか?」


 そんな秘術が存在するのでしょうか?


 もし、それがあれば、ボクは苦労せずに魔女になれるかもしれません。



 ・・・あれ?・・・でも『人間』を『魔女』にする秘術を『魔女』であるボクに使うと・・・どうなるのでしょう?



「はい、これは最高機密なので絶対に人には言わないで下さいね。あの二人にもです」


 キラさんは、少しいたずらっぽく微笑んで、人差し指を口の前に立てました。


「わかりました。でも、そんなに重要な秘密をどうしてボクには話してくれるのですか?」



「それは・・・ルルさんが魔女とは無関係ではないと思ったからです」


 そういえば・・・キラさんはボクを魔女だと思っていたのです。


「・・・どうして・・・そう思うのですか?」


「ルルさんもそうですが・・・ルルさんのお母さんが魔女と係わりがあるのではないかと考えていました」


「お母さんが・・・ですか?」


「はい、あの魔動馬や、ソラさんの義手を見ましたが、あれが人間に作れる物だとは思えないのです」



 ・・・キラさん、鋭いです。



「ええと・・・お母さんとその師匠の魔道具士さんはとても優れた魔道具士だと聞いています」


「絶対に人間には作れないという事は無いでしょうが、魔女の持つ知識が無いと作れないと思われる特徴が、いくつか見受けられました」


「・・・どうなんでしょう?魔女から伝えられた何かの秘伝とかが有るのかもしれません」


「そうかもしれませんね?・・・まあ、その話はいいとして・・・ルルさんが魔女の話になると興味津々なので、話してあげたくなったのです」


「ボク・・・そんなにがっついていましたか?」


「がっつく、というか、目を輝かせて聞いていましたよ」


 ・・・感情がダダ洩れな事に変わりありませんでした。


「ですから、わたしの知ってる範囲で話せる事は話してあげようと思ったんです」


 キラさんがボクの事を良く見ていてくれたのが、なんだかとても嬉しいです。




「ボクは子供の頃、魔女に憧れていて、魔女になるのが夢だったんです」


「それはまた、どうしてですか?」


「ええと・・・絵本や物語で魔女が出て来るお話を読んで、魔女みたいな魔法が使えたらいいなって思ったんです」


「そうなんですね。女の子だったら一度は夢見るものなのかもしれませんね」


 キラさんは、ボクの話を自然と受け止めてくれました。




「わたしの師匠が魔女だった事はお話ししたと思います。魔女は基本的に人間の社会から離れた場所で一人で暮らしているものだそうです」



 ボクのお母さんが特殊な例という事はなんとなくわかっていました。


 そもそも、お母さん以外の魔女に、会った事もないどころか、世間一般的には、魔女は伝説上の存在で、現在の世の中に本当に存在しているとは思われていないのです。



「物語の中の魔女はみんなそうですよね?」


「わたしの師匠もその例に漏れず、人間とはほとんど接触せずに一人でで暮らしていたそうです。しかし、偶然わたしを助けてしまって、最初はそのまま人に預けてわたしの前から去ろうかと思ったそうですが、その時の気まぐれでわたしの面倒を見る事にしたそうです」


「気まぐれだったのですか?」


「はい、師匠は私に質問したのです。自分と別れて人間の社会で生きていくか、人間と一切かかわりを持たずに自分と共に暮らして行くか好きな方を選べと」


「キラさんに決めさせたのですね?」


「はい、そしてわたしは師匠と暮らす事を選んだのです」


「それは、どうしてですか?」


「身寄りが誰もいなくなってしまいましたし、それに、師匠と別れて人間社会に戻る場合は師匠に関する記憶を消すと言われたのです。わたしは助けてくれた師匠の事を忘れたくなかったのです」



「ただし、師匠について行くためには条件があると言われました。それは師匠の弟子となり、魔女の魔法を習得するという事だったのです」


「師匠さんは、キラさんが男性だという事はご存じだったんですよね?」


「もちろんです。その上で、わたしには魔女の力に目覚めるための適性があると言われたのです」


「・・・適性?・・・というのは?」


「人間の中には先祖に魔女がいて、魔女の能力を使うための適性を持った人が稀にいるらしいのです。それも基本的に女性にしか適性は現れないのですが、極めて稀に男性の中にも適性を持った者が生まれる事があるらしく、わたしがたまたまその適性を持った男性だったそうです」


「適性を持った人間というのは、魔女そのものでは無いという事ですか?」


「はい、魔女そのものではないのですが、魔女に近い体質といいますか、とにかく魔女と同じ魔法を使える素質みたいなものだそうです」


「そんな人がいるんですね?」


「でも、普通はその適性があったところで、表には現れずに普通の人間として過ごしているそうです。しかも高い適性を持っている人ほど、通常の魔力が弱くなる傾向があり、一般の魔法も使えない人がほとんどだそうです」



 それは本物の魔女と同じなのかもしれません。


 本物の魔女も覚醒するまでは、普通の魔法が使えないのです。



「ところが師匠は、この魔女の適性を持っている人を魔女として覚醒させる事が出来たのです」



「それが、人間を魔女に変える秘術という事ですね」



「実際には完全な魔女になるわけではありません。魔力量が増大し、魔法陣や詠唱を用いないで魔法が使えるようになりますが、不老不死になるわけではありません」




「師匠はそれを『亜魔女』と呼んでいました」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ