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69話 強さの証明

 ・・・・・会場が一瞬鎮まりかえり、その後騒然となりました!


「すげえぞ!あの小僧!ほんとに素手で勝っちまいやがった!」

「確かに、これなら『中級の魔物』を倒せるんじゃないのか?」

「子供だと思って侮っていたが、こいつは本物だ!」




 ギャラリーの冒険者たちはソラ君の強さに感心しています。




「キラ!こいつの手を治してやってくれ」


 ソラ君がキラさんを呼びました。


「承知しました・・・すぐに治します。ソラ君の方は大丈夫ですか?」


「ああ、オレは無傷だ」


「ではこの人の治療を行ないます」


 キラさんが相手の冒険者の手に治癒魔法を掛けました。


「おお、痛みが引いていくぞ」


 この人はおそらく指を骨折していました。

 それをこんなに短時間で治すのはかなり高度な治癒魔法です。


「もう大丈夫なはずです」


「すげえな兄ちゃん、すっかり治っちまった。ありがとよ」


 冒険者の人は指を握ったり開いたりしています。




「それから坊主、さっきはすまなかったな、坊主の実力は本物だ」


「いや、オレの方も謝らなきゃいけねえ」


 そう言ってソラ君は右手の手袋を外しました。


「なんだ!その手は!」


「素手の勝負って言ったのに、最後にこれを使っちまった。勝負はあんたの勝ちだ」


「すげえな、そんな義手があるのか・・・だが、それを使う以前に、左手で俺と互角に戦っていた。やっぱり坊主の勝ちだ」


 


 どうやら和解出来たみたいで良かったです。



「そっちのべっぴんの嬢ちゃんたちも相当強いのかい?」


「ああ、ルルは本気を出せば俺より強いぜ!そっちの赤髪はオレよりは弱いけどな」



「ちょっと!ソラ!聞き捨てならないわね!今度はあたしと勝負しなさいよ!」


「おう!望むところだ!今度は剣で戦うぜ!」




 今度はソラ君とレィナちゃんが模擬戦を始めてしまいました・・・




 模擬戦と言っても二人とも自分の剣を使っています。


 フル装備の二人の戦いはかなりの迫力です。

 二人ともお互いの力量を熟知しているので遠慮なく本気を出して攻撃を仕掛けています。


 レィナちゃんの大剣は、さっきの冒険者の剣と同等の大きさですが、レィナちゃんはその大剣をさらに高速で振り回しているのです。


 そしてソラ君は、その大剣を細身の片刃剣で真っ向から受け止めています。

 『念』で強化したソラ君の剣は、レィナちゃんの大剣と同等の威力を持っているという事です。


 剣同士がぶつかり合うと、辺りに強い衝撃波が伝わります。




 ギャラリーの冒険者たちは唖然となっていました。




「やべえ・・・・・剣で戦わないでよかったぜ・・・」


 ソラ君と戦った冒険者は、顔が蒼白になって冷や汗を流していました。


 


 ようやく実力を認められたボクたちは、無事に討伐報酬を受け取る事が出来ました。


「それにしても君たちの実力はとうに『下級冒険者』を超えて『中級冒険者』レベルですね」


 受付のお姉さんに言われました。


「はい、ボクたちまだ冒険者になって日が浅いのでポイントが全然足りなくて昇級試験が受けられないのです」


「そうなんですね。今回だいぶポイントは付ましたし、ポイントさえ溜まれば試験自体にには合格できると思いますよ。頑張って下さいね」


「ありがとうございます。がんばります」


「皆さんはこの町を出ていかれると聞きましたが?」


「はい、ボクたちは旅の途中ですので、今回の件が片付いたので旅を再開しようと思います」


「そうですか・・・それは残念ですが・・・お気をつけて下さい」




 ボクたちは冒険者ギルドを出てキラさんの家に戻りました。


「これでようやく旅に出られるな」


「その前にもう一つ、やっておかなければならない事があります」


「『木馬』の召喚ですね?」


「そうです。この森からいなくなった『木馬』を復活させます」


「へえ、魔物の召喚なんて出来るのね」


 レィナちゃんの言う様に、一般的に魔物の召喚の魔法なんて聞いた事がありません。


「厳密には召喚ではなくて、おびき寄せるだけです。早速ですが今から始めようと思います」




 キラさんは森の奥に入っていきました。


 ボクたちも見学させてもらおうと、一緒について行きました。




「この辺りでいいでしょう」



 森の奥の、少し開けた場所に出ると、キラさんが地面に魔法陣を描きました。


 魔法を使う人なら気がつくと思いますが、この魔法陣は一般的な魔法陣と少し様子が異なります。




 ・・・これは魔女の使う魔法の魔法陣です。




 ソラ君とレィナちゃんは魔法陣にそれほど詳しくないので気にしていないみたいです。



「『召喚』」


 キラさんが呪文を唱えると魔法陣が淡く光り出しました。


 ・・・多分呪文は、はったりですが・・・


「これで完了です。いずれこれに気がついた『木馬』がこの森にやってきます」


「すぐに来るわけじゃねえのか?」


「はい、『木馬』がこの魔法の有効範囲内に入ったら、ここへやって来てこの森に定住しますが、何日後になるかわかりません」


「『木馬』が近くに来ないとだめなわけですね」


「そう言う事です。そしてこの魔法陣一個で『木馬』を一体しか召喚できませんので、他にも何個か用意しておきます」



 キラさんはこの後、森の中を数カ所回って同じ様に魔法陣を発動していきました。




「これで準備は全て完了です。『木馬』が現れるまで待っていても仕方ありませんので、一旦わたしの家に帰りましょう」




 この日はキラさんの家でゆっくり休ませてもらいました。


 キラさんは料理も得意で、夕食はこの森で採れた食材で料理をごちそうしてくれました。





 そして、いよいよ明日から4人パーティーでの旅が始まります。



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