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65話 魔法使いの戦い方

 ボクたちはキラさんを加えた4人のパーティーで初めての魔物討伐に挑みます。


 冒険者ギルドのお姉さんもキラさんが中級冒険者なので魔物討伐依頼を正式に認めてくれました。




「それで、どうやって魔物を見つけるんだ?」


 ソラ君がキラさんに尋ねました。


「それはわりと簡単です。この王都を取り巻く森は、木の密度が高くて『中級の魔物』が通れる隙間が殆んどありません」


 そうでした。『木馬』のみが木々と融合しながら通り抜ける事が出来るのです。


「今までは『木馬』以外の魔物は森に入って来なかったので問題ありませんでしたが、『木馬』がいなくなった事で、魔物たちは王都に向かって進んできます」


「わかったわ!木々がなぎ倒されている跡を追っていけば『中級の魔物』に出会えるって事でしょ?」


「そういう事です。さすがですね、レィナさん」


「まあね!」


 キラさんに褒められてレィナちゃんは嬉しそうです。


「じゃあさっそく、木が荒らされている場所を探しに行こうぜ」


 ソラ君は、魔物狩りがしたくてうずうずしているみたいです。




 ボクたちは森の周辺に沿って移動し、魔物の痕跡を探しました。


 しかし、それらしい『中級の魔物』の痕跡はなかなか見つかりません。


 一方で『下級の魔物』は、通常より発生数が増えているみたいです。





「みんな!『小鬼』の群れよ!」


「かなり数が多いな」


 ボクたちは『小鬼』の群れと遭遇しました。


『小鬼』達は一斉に襲い掛かってきました。


 ソラ君とレィナちゃん、それにボクの三人で、次から次へと襲い掛かってくる『小鬼』を切り捨てていきます。


 ボクたち三人にとって『小鬼』は大した脅威ではありませんが、とにかく数が異常に多いのです。


「どうなってんの?これ!倒しても倒してもキリがないんだけど?」


「森の向こうの方まで『小鬼』埋まってるぞ!どうすりゃいいんだ?」


 三人でキラさんの周りを囲んで、一体も漏らさずに倒していますが、これはいつになったら終わるのでしょうか?


「準備が出来ました。皆さんこちらに集まって下さい」


 キラさんが何か魔法を使うみたいです。

 キラさんの頭上には、複数の魔法陣が浮かんでいました。


「ソラ君!レィナちゃん!戦うのをやめてこっちに来て下さい!」


「大丈夫なのか?」


「ええ、大丈夫です」


 キラさんは余裕の微笑みを浮かべています。


 ソラ君とレィナちゃんが『小鬼』と戦うのをやめてキラさんの近くまで戻ってきます。

 二人のすぐ後ろからは『小鬼』たちが追いかけて来ます。




「『ホーリーアロー』『連射』」


 二人がキラさんとボクの近くまで戻ると、キラさんは杖を掲げて呪文を詠唱しました、


 キラさんが呪文を唱えると、キラさんの頭上にあった魔法陣から、全方位に無数の光の矢が次々に出現し、『小鬼』に向かって放たれていきました!


 最初に、ソラ君たちの背後に迫っていた『小鬼』達に命中し、その後は離れた場所にいる『小鬼』に次々と刺さっていきます。


 

「すっげえ!何て数の魔法だ!」


「『小鬼』が見る見るうちに減っていくわ!」




 キラさんは呪文を二重詠唱しましたが、一般的な魔法にこんな使い方は聞いた事がありません。


 昨日は魔法陣も詠唱も無しで魔法を使っていました。

 おそらく今の魔法も魔法陣や詠唱が無くても使えたのかもしれません。



 ソラ君やレィナちゃんは、魔法にそれほど詳しくないので、気にしていない様ですが・・・




 無数の光の矢は、やみくもに飛ばされているのではなく、一本一本が正確に『小鬼』の魔結晶をえぐりとり、無駄な矢を撃ってはいないのです。


 瞬く間に『小鬼』の数が減っていき、木の陰に残っていた十数体のみが生き残っていました。




「この数ならまかせろ!」


 ソラ君とレィナちゃんが飛び出し、ボクもそれに続きました。


 それぞれが、残った『小鬼』を瞬殺し、全ての『小鬼』を倒す事が出来ました。


「お見事です。皆さん」


 キラさんが拍手してくれています。


 ・・・でも本当にすごいのはキラさんです。


「助かったぜ!さすがにあの数は魔法のサポートが無いと厳しかったな」


「でもさっきの魔法ならキラだけで倒せたんじゃないの?」


 レィナちゃん、いつの間にかキラさんの事を呼び捨てにしています。


「いいえ、これだけ木が複雑に生えている場所では一体残らず魔法だけで倒す事は不可能ですので、剣士の皆さんがいてくれないと一人では厳しいです」


「やっぱり剣士と魔法使いが揃ってた方が有利って事だな」


「はい、このパーティーなら何でもできそうな気がしてきました」


「おう!これで『上級の魔物』が出て来ても大丈夫だ!」




 ・・・それはさすがに無理だと思います。




 それから、ボクたちは四人で協力して、『下級の魔物』を倒しながら、「中級の魔物」の痕跡を探しました。


 さっきみたいな大量発生は、ありませんでしたが、キラさんが魔法で数を減らして、残りをボクたちで片付けるという倒し方は効率が良く、無駄な体力を使わずに済みました。




「キラの魔力は大丈夫なのか?」



 ・・・なにげにソラ君もキラさんの事を呼び捨てにしています。


 ・・・といってもソラ君は普段から誰に対しても呼び捨てでした。



「ええ、まだ全然余裕があります。この後『中級の魔物』と戦っても問題ありません」


「へえ!すごいのねキラの魔力量」


「いえいえ、わたしの師匠に比べたら微々たるものです」




 ・・・キラさんの師匠さんは『魔女』ですから比べても仕方ないのですが・・・



 そうやって『下級の魔物』を倒していくうちに、4人体制での戦闘の役割分担も馴染んできました。




 そしてついに、木々が激しくなぎ倒されている場所を見つけたのです。


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