64話 新しい仲間
あっさりと4人目のパーティーメンバーが決まってしまいました。
「キラさん、二人とも問題無いみたいです」
「それは良かった。ではあらためまして、これからよろしくお願いします」
「それで、お前はどんな魔法が使えるんだ?」
ソラ君・・・何もわからずに仲間にしたんですね・・・
「中級の攻撃魔法は一通り使えます。それから治癒魔法や回復系の魔法も得意です」
「つまり『中級魔法士』ってところかしら?」
「あなた方の国で言うところの、その様なものです」
「そいつは助かるな!」
・・・キラさんはどうやらレィナちゃんやソラ君には『魔女の弟子』という事は秘密にするようです。
ボクも『魔女』になろうとしている事は二人には秘密なので都合がいいです。
「皆さん、旅は急がれるのですか?」
「それほど先を急いでるわけでもねえんだが、あまりゆっくりはできねえな」
・・・一年を過ぎるとソラ君のお兄さんが死んでしまいます・・・
「仲間に入れてもらったばかりで申し訳ないのですが、出発まで三日ほど待ってもらえないでしょうか?宿はこの家に泊まって頂いても構いませんので」
「ああ、三日なら構わねえぞ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、ボクたちは今日は一旦町に帰ります」
ボクたちはこの日は町に戻って宿に泊まりました。
次の日、キラさんをパーティーメンバーに登録するために冒険者ギルドで待ち合わせをしました。
キラさんは『中級冒険者』として登録してあったので、キラさんが加わる事により、ボクたちは『中級冒険者パーティー』という扱いになるそうです。
『木馬』二体の魔結晶を受付のお姉さんに渡したら、少しだけ怒られましたが、キラさんと共同で倒したという事で、納得してもらいました。
それから魔動馬を連れてキラさんの家に行きました。
キラさんの家は外部から隠蔽されているため、キラさんの案内が無いと辿り着く事が出来ないそうです。
「この馬は魔法で作った馬ですね?」
キラさんは魔動馬を最初に見た時から気になっていたみたいです。
普通の人にはなかなか気が付かれないのですが、やはりキラさんは特別な感覚を持っているみたいです。
「はい、ボクのお母さんが作りました、お母さんは魔技術士なのです」
「魔技術というと、つまりこれは魔道具の一種という事ですね・・・これほど精巧に出来た魔道具は見た事がありません。強いて言えば魔女の魔法で創生された物に近い感じがします」
うーん・・・多分それはかなり正解に近いものだと思います。
・・・ボクも詳しくはわかりませんが。
「お母さんは優秀な魔技士だそうなので」
「その様ですね。あなた方の装備もお母様が作られたのですか?」
「はい、お母さんと、その師匠さんが作ってくれたそうです」
お母さんは国の最高峰の魔技術士から附加装備などの魔道具の作り方を教わったそうです。
それと魔女の魔法を組み合わせて、魔動馬の様な、特殊な魔道具を作り出しているそうです。
「そうですか、いずれルルさんのお母様にもお会いしてみたいものです」
あれっ?キラさんがお母さんと出会ってしまうとキラさんは一生お母さんに尽くす事になってしまうのでしょうか?
・・・どういう事になってしまうのでしょう?
「いつか機会があったら・・・ですね」
お母さんが魔女だとばれない様にした方がいいかもしれません。
何となく、そんな気がしました。
「それで、キラさんは出発する前に何をするんですか?」
「それなんですが、この森の周辺の魔物を一掃しておかなければなりません」
「昨日の『木馬』で終わりじゃねえのか?」
「今までは『木馬』がいたために、他の魔物がこの王都の周囲の森には入って来られなかったのですが、昨日の二体で全ての『木馬』がいなくなってしまったのです」
「『木馬』が魔物の侵入を抑止していたのですか?」
「はい、森の中に『木馬』がいると、他の中級の魔物は森に入って来ないので、一部の下級の魔物しかいなかったのです。『木馬』自体は森の外に出ない限り人間を襲いませんので、比較的安全な状態だったのです」
「それって!ボクたちのせいではないですか!」
「それだけではありません。魔物の目撃情報で、冒険者が総出で魔物退治に出たために、他の『木馬』も全て討伐されてしまったのです」
「目撃されたのは『木馬』ではなかったのですか?」
「別の中級の魔物が森の外辺に出没していた様です。森の中心付近は木々の密度が高く、これまでは『木馬』がいたので近づいていなかったのです」
「つまりその魔物を倒してから出発って事だな!」
「はい、そのとおりです。そして、ギルドが全ての魔物を討伐したと確認した後で、再び『木馬』を召喚します」
「えっ!魔物の召喚なんて出来るんですか?」
「召喚というか、特定の魔物をおびき寄せるだけですけどね。魔物を発生させる事はさすがに出来ません」
びっくりしました!
たしかに『魔女』なら魔物の召喚も出来てしまうのかもしれませんが・・・
「ですから、今日中にこの森周辺の全ての魔物を倒し尽くします」
「今日中にですか?」
「そうすれば明日中には冒険者ギルドの調査が完了しますから、その次の日に新たな『木馬』を召喚できます」
「それで三日だったんですね」
「じゃあ今日は新生パーティーで魔物討伐ね!」
「よし!誰が一番たくさん魔物を倒すか競争だ!」
・・・この二人は相変わらずです。




