54話 新たな扉
「どうした!大丈夫か?ルル!」
ソラ君はボクの異変に気が付いて振り返ろうとしています!
「だめですっ!こっちを見ないで下さい!」
今の状態を見られる訳にはいきません!
・・・今日はソラ君に体の全てを見せるつもりでしたが・・・
こんな状態を見られたら・・・恥ずかしくて死んでしまいます!
「そうだったな、すまない。それより何があった?大丈夫なのか?」
「ちょっ、ちょっと・・・びっ、びっくりした・・・だけですっ!」
「だが、息が荒いぞ!無理してないか?」
「へっ、平気です・・・少し休めば・・・もっ、元に・・・戻ります」
・・・全然、大丈夫じゃないです!
ソラ君の『念』は、今もボクの・・・あの中で暴れまわっているのです!
まるでボクの中をソラ君自身が駆け回っているかの様な感覚です。
・・・そして、ボクの中のソラ君が動くたびに、激痛と快感が入り混じった、何とも言えない衝撃が、破裂しそうなくらい膨張してしまった部分に走るのです。
「・・・・・あっ!・・・・・・んんっ!・・・・・・ああん!・・・・」
堪えようとしても、声が漏れてしまいます。
「おい!やっぱり大丈夫じゃねえだろ!さっきの『念』がまだ体に残ってんのか?」
「いっ、いえ・・・ちっ、違います!」
「さっきは『念』が強過ぎたから、ルルの体を通り越して反対側に逃がしたつもりだったんだが、すまねえ、オレが未熟で失敗したかもしれねえ!」
・・・そうです!ソラ君はボクが女の子だと思っているから・・・下腹部から前側に『念』逃がせば、そこには何も無いはずだったのです!
「待ってろ、『念』を引き戻してやるからな!」
ソラ君の意識がボクのあの部分に集中したのを背中越しに感じました。
・・・そしてあの中で激しく暴れまわっている『念』が、ずるりと引き戻され始めるのを感じました。
「ああっ!」
その瞬間、今までよりも更に強烈な快感が・・・あの部分に走ったのです!
暴れまわる『念』が抜き取られる時に、強烈な快感が生まれるのです。
そして、抜き取られるにつれて、快感はさらに強くなっていくのです。
このまま、この快感が頂点に達してしまうと・・・・・大変な事が起きる予感がしました!
もし、そうなってしまったら・・・・
ボクの体の秘密が・・・最悪のシチュエーションでソラ君に知られてしまいます!
そんな事になってしまったら・・・もう、ソラ君に顔を合わせる事が出来ません!
これは絶対に避けなければなりまません!
「そ、ソラ君、・・・あああんっ!・・・やめて・・・下さい!・・・ああっ!」
「どうした!何かあったか!一旦戻すぞ!」
ソラ君は引きずり出そうとした『念』を再び押し込んできました!
「あああああんっ!」
更に強烈な快感が走りました!
どうやら『念』を押し込んだり引き出したり、大きく動く時に強烈な快感が走るみたいです。
・・・快感がさらに強まって、もう限界直前です!
「そっ!・・・ソラ君!・・・もうダメです・・・」
「ルル!苦しいのか!一気に引き戻すぞ!」
ソラ君はさらに強く『念』を引き戻します。
どうしてもソラ君に旨く伝わりません。
強烈な快感に負けて、もうどうなってもいい、という気になってしまいそうです。
・・・もう・・・限界です・・・・
いいえ!まだあきらめたくありません!
「・・・だめっ!・・・・・・・・」
・・・『念』を引き戻されるのを止めようと強く願ったら・・・一瞬・・・意識が遠のきました・・・
そして、意識が戻ってくると・・・・・『念』が再びボクの中に戻っていました!
・・・それもさっきの様に暴れまわっていません。
ボクの中で・・・静かに・・・そして力強く構えているのです。
そして・・・大きさも・・・元の大きさに戻っていました。
・・・今・・・何が起きたのでしょう?
「ルル!」
ソラ君の声が聞こえました。
「おい!ルル!今・・・『念』を使っただろ?」
ソラ君が背中越しにボクの肩をゆすり、興奮気味に話しかけています!
「えっ・・・?・・・・ボクがですか?」
「ああ、オレから『念』を奪い取って、がっちりと抑え込んだじゃねえか!」
「ええ・・・と、何がどうなったのでしょう?」
ボクは顔だけ振り返り、ソラ君を見ました。
ソラ君はとびっきりの笑顔で僕を見下ろしています。
思いっきり笑ったソラ君の笑顔は、まさに天使の笑顔です!
「オレの『念』をルルが自分の『念』で包んで抑え込んだんだ。今もそうしてるだろ?」
・・・ボクの・・・『念』?
・・・今ボクのあの部分の中にあるのはボクの『念』で包み込んだソラ君の『念』・・・という事でしょうか?
「ああ、ルルの『念』だ。自分の意志で動かせるかやってみろ!」
ええと・・・さっきまで暴れまわっていたソラ君の『念』が、今は小さくなっておとなしくじっとしているのはわかります。
するとその周りを包んでいる部分がボクの『念』という事でしょうか?
だとすると、ボクは今、自分の『念』に小さくなってじっとしている様に願っている事になります。
そうすると・・・小さくなるのを少し弱めてみようと思うとどうなるのでしょう?
・・・!・・・ソラ君の念が膨れ上がって、あそこも一緒に大きくなりました!
だめです!やっぱり小さく、小さく、小さく、小さく・・・・
・・・小さくなる様に強く念じたら、再び小さくなっていきました。
「・・・なんだか思った通りに動かせそうです」
「やっぱりそうだろ!すごいぞルル!たった三日で『念』が使えるようになるなんて!」
・・・じゃあ、本当に『念』が使えたんですね!
ついに・・・ついに・・・一歩前進しました!
「ソラ君!ありがとうございます!」
ボクは体を起こして振り返り、ソラ君に抱きつきました!
体の正面からソラ君にぎゅうっと抱きついたのです!
ソラ君の体はボクより小さくて、思ったよりずっと柔らかかったです。
「ルル!・・・おい、いいのか?」
「はい!かまいません!」
今なら・・・今ならソラ君に言えると思います!
「ソラ君・・・ボクの体を見て下さい」
ボクはソラ君から手を離し、一歩下がって膝立ちになりました。
「これが・・・ボクの体です」
・・・ソラ君は・・・一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに優しそうな笑顔になりました。
「そうか・・・今まで気づいてやれなくてすまなかったな。ずっと悩んでたんだろ?」
・・・ちょっと意外な反応です。
「ソラ君、驚かないんですか?」
「少し驚いたけどな・・・でも男か女かなんて、どうでもいいって言っただろ?」
「・・・気持ち悪く・・・ないですか?」
「気持ち悪いわけないだろ?ルルの体は思った通りきれいだな」
思った以上にあっさり受け入れてくれて、少し拍子抜けしましたが・・・やっぱりソラ君はソラ君だと思って安心しました。
「それに、やっぱりオレ達、最高の相性だったんだな!」
「えっ?どういう事ですか?」
「まだ気が付かねえのかよ?オレも体も良く見て見ろよ!」
・・・そういえばソラ君も裸でした!
自分の事に夢中でソラ君の顔しか見ていませんでしたが、大好きな男の子が目の前で裸だったのです!
・・・あれっ?・・・男の子?・・・ですよね?・・・
あらためてソラ君の全身を見ました。
するとソラ君が目の前に立ちあがりました。
・・・あれっ?・・・・・・・無い・・・です・・・
「ソラ君、右腕だけでなく、そこも切られて・・・・・なわけないですよね?」
「ああ、初めから無いからな!」
よく見ると胸が僅かに膨らんでいます!
そういえばさっき抱きついた時、妙に柔らかかった気がしました。
・・・・・という事は・・・・・
「ええーっ!ソラ君、女の子だったんですかーっ!」




