52話 二度目の夜
「来たな、ルル、今日もやるぞ」
「はい、よろしくお願いします」
ソラ君は既に部屋着を脱いで下着姿になっていました。
「ええと・・・昨日と同じ感じでしょうか?」
「ああ、今日は少しやり方を替えてみる」
・・・今朝、おしりでやってみるって言ってましたけど・・・まさか、ですよね?
ボクも部屋着を脱いで下着姿になりました。
ソラ君がボクを見つめているので、恥ずかしくって何となく下着の上から胸と足の間を手で隠してしまいました。
「じゃあ、オレと背中合わせでベッドに横になれ」
ソラ君はそういうと、ベッドの上に横向きに寝そべりました。
・・・ボクも言われた通りに、ソラ君の後ろに背中合わせで寝そべります。
「そしたら、下着を脱いで裸になれ」
ソラ君はボクの背中でもそもそと下着を脱ぎ始めたみたいです。
・・・まさか!・・・・・するのでしょうか?
「・・・あの・・・ソラ君?・・・まさか・・・」
「ああ、恥ずかしいだろうからルルの方は見ねえよ」
「えっ・・・するのでは・・・ないですか?」
「なんだ?今日も『念技』の訓練するんだろ?」
・・・ちょっとびっくりしましたが・・・拍子抜けしました。
「昨日のやり方で思ったよりも進展したからな。昨日より肌の接触面積を多くして試してみてえんだ」
「・・・そう、だったんですね。いきなりだったのでびっくりしました」
「ルルはオレに裸を見られる事に抵抗が有るんだろ?だったら見ない様に背中合わせなら大丈夫かと思ったんだが?無理だったら昨日と同じやり方にするぞ?」
ソラ君!ちゃんとボクが気にしている事に気が付いて気を使ってくれていたのです。
「はい、それなら・・・大丈夫、です。出来る事なら少しでも先に進めたいですから」
「そうか、じゃあ、このまま振り向かないから安心して下着を脱いでいいぞ」
そう言ってソラ君は、再び自分の下着を脱ぎ始めた様です。
「はい・・・ちょっと待って下さい!」
自分のすぐ隣に男の子が寝ている状態で下着を脱ぐのは、ものすごく恥かしいです。
それにボクの場合、秘密がばれてしまうというリスクもあるからなおさらです。
でも、ソラ君はきっと既に下着を脱ぎ終わって待っているはずです。
ソラ君を待たせるわけにはいきません。
ボクは恐る恐る、下着の上を脱ぎ去りました。
そして次は下の方に手をかけて、下げていきます。
・・・でも・・・あの部分が見えそうになったところで手が止まってしまいました。
ベッドの上で裸になるのって、やっぱりお風呂と違ってすごく恥かしいです。
しかも、すぐ後ろには裸の男の子がいるのです。
何だかとてもいたたまれない気分です。
下着の隙間から少しだけ見える、ボクのただでさえ小さいあの部分は、委縮してさらに小さく縮こまってしまいました。
これならレィナちゃんの言う通り女湯に入ってもばれないかもしれません。
・・・いえ、さすがにそれは無いですが・・・
でも、ボクのこれは、ボクと同じですごく引っ込み思案みたいなのです。
今もまさに、ボクの体の中に隠れてしまいたいというくらい、一生懸命引っ込もうとしている感じです。
・・・いっその事、このままボクの体の中に完全に隠れてしまって良いですよって声をかけてあげたくなるくらいのいじらしさです。
そう思うと、今まで疎ましく感じていたそれが、何だかとても可愛く、愛おしく思えてしまいました。
これを見てかわいいって言ってくれたレィナちゃんの気持ちが少しだけわかります。
そして・・・あらためて全くふくらみの無い自分の胸を見ました。
・・・きっとソラ君はこれを見たらがっかりするでしょう。
レィナちゃんの胸は、女の子から見ても素敵で、触るととても柔らかく、顔をうずめたり、いつまでも揉んでいたい衝動に駆られてしまうのです。
きっと男の子にとっては、それ以上に魅力的に感じてしまうものなのでしょう。
でも、ボクにはそれが全く無いのです。
自分の体にあるべきものが無いというのは・・・やっぱりとても悲しいです。
「もう大丈夫か?ルル」
いけません、自分の体を見て感傷に浸っていたらソラ君を待たせてしまいました!
「大丈夫です、脱ぎますので、ちょと待っててください」
ボクは再び下着を掴んだ指に力を入れようとしました。
「全部脱がなくてもいいぞ」
「えっ、でも・・・」
「恥ずかしいんだろ?だったら無理すんな。今日は尻だけめくればいいだろう」
「でも・・・ソラ君は全部脱いだのですよね?
「ああ、オレは全部脱いじまったが」
・・・やっぱり!ボクの後ろには、裸の男の子がいるのです!
一瞬、ソラ君の裸を想像してしまいました!
ソラ君の、あの部分は、やっぱり、体と一緒でボクみたいに小さいのでしょうか?
・・・それとも・・・体に似合わず、大きかったりするのでしょうか?
・・・次々と変な事が頭の中をよぎってしまいました!
「・・・ボクも・・・脱ぎます・・・」
思い切って下着をお尻まで捲りました。
「今日は無理しなくていい。オレも下は穿いておく事にする」
そう言ってソラ君は下着を穿き直している様です。
「・・・ごめんなさい」
ボクに勇気が無くてソラ君に気を使わせてしまいました。
「いいって、これで」
ソラ君も下着を穿いたみたいです。
「尻は出してるな?」
「・・・はい」
下着を全部脱いでいなくても、これはこれで恥ずかしいです。
「そうか、じゃあ背中を合わせるぞ。後ろに下がってこい」
「はい、わかりました」
ボクは体をずらして、背中をソラ君の方に近づけました。
ソラ君も近づいているみたいです。
「ひゃうっ!」
ボクのお尻にとても柔らかいものが触れました!
今のがソラ君のお尻でしょうか?
まるでレィナちゃんの胸の様な柔らかさです。
「どうした?変な声を出して?尻が触れただけだよな?」
「はいそうです。すみません、びっくりしただけです」
「そうか、大丈夫ならこのまま背中も密着させるぞ」
そう言ってソラ君はお尻をさらに強く押しつけながら、背中を全体的に密着させてきました。
ソラ君の背中はボクより少し小さいです。
背中を丸めると背骨同士がゴリゴリ当たって不思議な感じです。
「出来るだけ、ぴったりと背中を密着させてくれ」
「はい」
お尻と背中全体がソラ君と密着して、背中からソラ君の体温を感じます。
そして右手をソラ君の左手とつなぎました。
「じゃあ、『念』を流していくぞ」
すると、ソラ君と密着している部分が全体的に温かくなりました。
そしてどんどん体温が上がっている感じです。
「今どうなっているかわかるか?」
「背中全体が熱くなっています」
「正解だ。背中全体から『念』を放ってる。じゃあ次は弱く抑えた『念』をどこか一部分に流すからその部分を当ててみろ」
「はい、お願いします」
「では行くぞ」
ボクは神経を研ぎ澄ましてソラ君の念を探りました。
注意深く判断しないと、体温なのか『念』なのが良くわかりません。
・・・ええと、これは・・・
「わかりました、お尻の左側です」
「正解だ。じゃあもう少し弱くして次行くぞ」
さっきよりも更にわかりにくくなりました。
自分の体の違和感を必死に探します。
「左肩、でしょうか?」
「正解、さすがだな、じゃあ次だ」
今度も難しいです。
「おへそです」
「あたりだ」
「ふふっ、何だかゲームみたいで楽しいです」
「そうか、ならこの調子でどんどん行くぞ!」
「はい!」
そうしてこの日も明け方まで場所当てゲームを続けたのです。