47話 お母さんのお友達
「いらっしゃい!ルルちゃん!レィナちゃん!久しぶりね!」
町の領主のお屋敷に着くと、領主夫人のエルさんが出迎えてくれました。
「こんにちは、お久しぶりです。エルさん」
「エルさん、今日はよろしくお願いします」
エルさんはお母さんの学生時代の友人で、何度か家族ぐるみでこのお屋敷に遊びに来た事があるのです。
「ふふっ、二人とも大きくなったわね!ってレィナちゃん、育ったわね!さすがレィアさんの娘さん」
「まだまだエルさんには敵いません」
「ふふっ!子供を産まないとこの大きさは無理ね!」
二人とも・・・何を競い合ってるのでしょうか。
ちなみにエルさんはボクの知り合いの中ではレィアさんの次に大きいです。
「ところでその子は?」
「ルルの彼氏のソラよ」
「まあ、ルルちゃんついに彼氏が出来たのね!そうかぁ、もうそんな年かぁ」
「ゆっくりしていってね!ソラ君」
「世話になる。宜しく頼む」
「ふふ、背は低いけどワイルドで男らしいのね。そういう子、好きよ! さあ、長旅で疲れたでしょ?中に入ってお茶にしましょう!」
ボクたちはお屋敷の応接間に案内されました。
「今回はジオ君は来ていないのね?」
「はい、お兄ちゃんはお母さんの手伝いとかがあるので」
「あいかわらずジオ君はお母さんベッタリのお母さんっ子なんだ。あの二人、前から恋人同士みたいだったものね」
お母さんとお父さん、やっぱり誰から見ても恋人同士に見えているみたいです。
「ほんと!いつまでも母親離れできないお子様で困るわ!」
「そうしないとレィナちゃんの彼氏に出来ないもんね!」
「そんなんじゃないわよ!」
「ルルとレィナが来てるって!」
「あっ、ほんとだ!ルル!レィナ!久しぶり!」
応接間に子供が大勢入ってきました。
「なんだ!こいつらは?」
「ソラ君、この子たちはエルさんのお子さんです」
「こんなにいるのか?」
「はい、エルさんのところは子だくさんなのです」
「ふふふっ!最初の子供はララに先を越されたからね!でも数ではあたしの勝ちよ!」
エルさんは自慢げに言いました。
「あんたたち、ルルちゃんたちは疲れてるから後にして!」
「じゃあ、あたしが遊んできてあげるわ!」
「レィナちゃん、いいの」
「ええ、平気よ!さあ、あんたたち!中庭で遊びましょう!」
「おう!レィナ!行こうぜ!」
「レィナお姉ちゃん、胸すごーい!」
「じゃあ、ごゆっくり」
レィナちゃんは子供達を引き連れて中庭に出て行きました。
「ふふ、相変わらずにぎやかですね」
「エルと『剣聖』はライバルなのか?」
ソラ君がエルさんに尋ねました。
「別にライバルじゃないわよ、何をやってもララには勝てないもの。でも何か一つくらいは勝ちたいと思ってね」
「なんだ、剣が強いってわけじゃねえのか」
「ソラ君は剣が好きなのね。そう言えばララの事『勇者』じゃなくて『剣聖』って呼ぶのね。もしかして世界一の剣士とか目指しちゃってる?」
「ああそうだ!オレは世界一の剣士になる!そのためにいつか『剣聖』をたおす!」
「ふふっ!前にララの弟子だった子も全く同じ事を言ってたわ!ソラ君はその子にそっくりね」
「そいつは剣聖に勝てたのか?」
「どうだろう?強くなるために旅に出て世界中を回ってるって話だけど?」
「ボクも小さい頃に何度か会ってるらしいのですがほとんど覚えていないです」
「ふうん、そいつともいつか戦ってみてえな」
「多分向こうも同じ事考えてるんじゃないかな」
剣が大好きな人たちはみんな同じみたいです。
「そう言えばさ、君たちってどこまで進んでるの?もうエッチはした?」
エルさん、どうしていきなりその話に!?
「まっ!まだです!どうしたんですか?いきなり!」
エルさんはボクが男の子だって知ってるはずなのに、何を言っているのでしょうか?
「キスならしたぞ」
ソラ君も、真面目に答えなくても・・・
「ふうん、そっか!ソラ君はルルちゃんの事本気で好きなんだ?」
「ああ、こいつはオレの運命の相手だ。何があっても一生手放すつもりはない」
「すごい!その歳でそこまで断言できるなんて!ルルちゃんは幸せ者ね!」
ボクは恥ずかしくて真っ赤になってしまいました。
「ふふっ、実はね、さっきの話のララのお弟子さんが恋人と初めて結ばれたのがこの屋敷なのよね!」
「ええっ!そうなんですか!」
「なぜかこの屋敷には他にも、縁結びの逸話がいくつもあるのよ!だからあなた達も今晩一緒の部屋で過ごして、初めての夜を迎えてみるのもいいんじゃない?」
エルさん!何を言い出すのでしょう!
「ああ、オレは別に構わないぞ」
「ソラ君、それは・・・・」
「ちょっと!、やっぱりあたし一人じゃこいつらの相手はきつかったわ!誰か手伝ってよ!」
中庭からレィナちゃんが応援を求めてきました。
「ああ、それじゃあオレも行ってくる」
ソラ君も子供たちの方に行ってしまいました。
応接間にはボクとエルさんだけが残りました。
「エルさん、ボクが男の子って事、知ってますよね?」
「その様子じゃまだソラ君には言ってないんでしょ?」
「はい、どうしようか迷ってます」
「あたしの直感だけど、ソラ君は、真実を知っても何も変わらないんじゃないかな?」
「・・・それは・・・ボクもそうだと思います」
「こういうのは悩んでても解決しないよ?正面からぶつかってみたら結構何とかなるもんだよ!って、これはララの受け売りだけどね」
「はい、お母さんもいつも同じ事言います。でもこの件はボクが自分で考えて、一番いいと思ったようにすればいいと言われました」
「ふふっ、ララでも自分の子供には厳しい事を言うんだね。それって、自分の行動には自分で責任を持てって事でしょ?」
「はい・・・だからボクは決められないでいるのです」
「まあ、ソラ君はいいみたいだし、今夜は一緒に寝てみなよ!ああ見えて、意外とルルちゃんの事を襲いたくてうずうずしていたのかもしれないよ!」
「それって!・・・真実を知ったらがっかりさせてしまいますよね?」
「あはは!男でも構わないって迫って来るかもしれないよ!男同士でもやり様はあるからね!」
「えっ!それって・・・もしかして・・・」
いけない想像をして、ボクはお尻の穴が一瞬ひゅんっとなりました。
「ふっふっふっ、最初は抵抗があるかもしれないけど、慣れれば結構気持ちいいかもよ?」
エルさんは妖艶な微笑みで笑いかけました。
・・・奥深い大人の世界が、垣間見えそうになってしまいました。
「おい!ルルも来い!手が足りねえ!」
中庭からソラ君に呼ばれました。
「はい、今行きます」
ボクも子供たちの相手をするために中庭へと出て行きました。




