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40話 旅の仲間

 その後、レィナちゃんが少し休んでからボクとレィナちゃんも対戦しました。



 レィナちゃんの大剣は速度が上がってもその重量は変わっていません。

 実際に重さが無くなったわけでは無いのです。


 剣をまともに受け止めるとものすごい衝撃が加わります。

 普段のボクでは軽く吹き飛ばされてしまいます。


 でも、今の装備は、ダメージ軽減と腕力の増強の特性があるみたいで、ボクでもある程度耐える事が出来ます。


 とはいっても、それを上回る威力ですから、正面から何度も受けてはダメージが蓄積してしまいます。


 ボクはいつもの様に、真っ向から相手の剣を受け取めずに、力を受け流す戦い方に戻しました。



 大剣を全力で振りまわすレィナちゃんに対し、ボクは流れる様に連続した動きで躱していきつつ攻撃を織り交ぜていきます。


 レィナちゃんの直線的な連続剣戟に対して、ボクの方は円を描くような一見緩やかに見える連続動作です。

 異なる挙動、異なる時間が流れているかの様な剣技同士が、調和するようにぶつかり合う、いつものボクとレィナちゃんの打ち合いになりました。

 ただし、速度はいつもよりも格段に速いです。


 そうして、再びボクとレィナちゃんは限界まで打ち合いました。




「ふう、これでもルルに届かないなんて!」


 レィナちゃんは肩で息をしています。


「ボクも攻めきれませんでしたよ」


 ボクの方も、レィナちゃんに決定的な攻撃を決める事は出来ませんでした。


「ルルはまだ体力が残ってるでしょ!実戦なら先に魔力が切れたあたしの負けよ!」


 レィナちゃんの戦い方は『身体強化』を最大限に駆使した戦い方です。


 『大剣』自体の附加特性で軽快に振り回せただけでなく、更に身体強化で腕力を増加させている上での、あの剣速なのです。


 だからレィナちゃんは、魔力切れを起こしてしまうと、体力が残っていても最大パフォーマンスは出せなくなってしまうのです。




「みんなにもう一つ贈り物があるんだけど」


 へとへとになっているボク達三人のところにお母さんがやってきました。


「贈り物?」


「うん!この子たちだよ!」



 お母さんの後ろには馬が三頭いました。



「馬だ!」


「馬?」


 ソラ君とレィナちゃんが驚いています。


「うん、長距離の旅だから馬がいた方がいいよね?」



「・・・『魔動馬』ですよね?お母さん」



「『魔動馬』? 普通の馬じゃないのか?」


「お母さんが魔法で作った馬です」


 我が家の馬車は魔力で動くので馬が必要ない馬車です。

 でも、馬のいない馬車が走っていると目立つので、お母さんが魔法で作った偽物の馬に馬車を曳かせているのです。


 お母さんが連れて来た三頭は、我が家の馬車の魔動馬とは別の魔動馬です。


「今回の旅のために新しく作った魔動馬だよ!」


 三頭の魔動馬は、黒毛、赤毛、青みがかった白毛です。


 ・・・これって僕たちの髪の色ですよね?


「わかりやすい様に髪の色と合わせておいたよ」


 ・・・うん、こういうところ、お母さんって単純です。



 魔動馬には鞍と荷物を入れる鞄が取り付けてありました。


「荷物はここにしまってね。旅に必要なものは最低限用意して入れてあるから」


 魔動馬の鞄を開けると、テントや寝袋に始まり、食料品や衣類など、たくさんの生活必需品が穿いていました。


 ・・・って言うか、鞄のサイズと中身の量がおかしいのでは?


「なんだ!どうやってこの中に入ってたんだ?」


「ああ、その鞄は、魔法で中の空間を少し歪ませてあるんだよ、見た目よりたくさん入るから便利だよ。剣なんかもしまえるからね」


「へえ!これは便利ね!」


 あきらかに鞄に入らない長さの、レィナちゃんの大剣が鞄の中に納まってしまいました。




「こいつの乗り方は、普通の馬と同じなのか?」


 ソラ君がお母さんに訊ねます。


「うん、普通の馬みたい手綱で操る事も出来るけど、馬の乗り方を知らなくても思った通りに動いてくれるよ」


「そうなのか?」


「それに、簡単な命令も念じれば伝わるから、大人く待ってる様に命じれば、その場所で待っててくれたり、あとで迎えに来てもらう事なんかも出来るよ。ある程度自分で考えて判断する事も出来るから目的地を教えれば馬上で居眠りしてても勝手に運んでくれるよ」


「なんか、いろいろすげえな」



「お母さん、ありがとう」


「みんなが無事に快適な旅ができるのが一番だからね!早速乗ってみてよ」



 ボクたちはそれぞれの髪の色の魔動馬に乗ってみました。


「わあ!高い」


 魔動馬の背中の上は、思った以上に高いです。


 ボクが高さに感動している間に、レィナちゃんとソラ君は、もう走り始めていました。


「はん!乗馬なら負けないわよ!」


「オレの乗馬術の腕を知らねえだろ?」


 早速、軽口の応酬も忘れません。


「待ってよ、二人とも」


 ボクも二人を追って魔動馬を走らせました。


 本当に思った通りに動き出しました。

 手綱は一応握っていますが、特に何もしなくても良さそうです。


 二人の魔動馬はすでに結構な速度で中庭を回っています。


 ボクは周回を合わせて二人に合流します。


「誰が一番速いか三人で競争よ!」


「望むところだ!」


 ・・・この二人、何でも勝負しないと気が済まないみたいです。


 こういうところは本当にいつも息がぴったりです。

 なんだかんだで仲がいいのでは無いかと思います。

 



 でも、三人で魔動馬を駆るのはちょっと楽しかったです。


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