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23話 二人のデート

 冒険者としてデビューしたボク達は、学院が休みになると魔物狩りに出かける生活になりました。


 学院は『下級剣士』に合格すると卒業資格が得られるので、本人が希望すれば卒業して仕事に就く事も出来るのですが、更に高みを目指して研鑽する事を希望する生徒は、引き続き在学する事も可能です。


 ボク達はまだしばらくは在学する事にしたので、平日は学院に通い、休日に冒険者として4人で依頼をこなすようになったのです。


 お父さんはお母さんと本職の勇者の仕事がある時はそっちを優先するので、時々3人になったりします。


 それなりに充実した毎日を送っていました。




 そんなある日、ソラ君がボクに聞いてきました。


「なあ、ルル、おまえは他の女子みたいにデートとかしたいのか?」


 ソラ君が尋ねてきました。


「ソラ君、どうしたんですか?急に」


「教室で女子たちが話してるのを聞いたんだが、付き合ってる男女ってのは、そういうのを楽しんでたりするのかって思ってな・・・ おまえ、いつも嫌な顔せずに俺やレィナと剣の相手や、魔物狩りに付き合ってくれてるじゃねえか?」


「まあ、ボクもソラ君やみんなと一緒にいるのは楽しいですし・・・」



「・・・たまには、オレが、ルルのやりたい事に付き合っても良いんだぞ」


 ソラ君はちょっと赤くなりながら上目遣いにボクを見上げています。


「ソラ君、ボクとデートしたいんですか?」


「いや!オレがしたいわけじゃなくて、ルルがしたければって話だ!」



 ・・・可愛い!!! なんでしょうこれ?


 年下の生意気な美少年が、お姉さまに甘えてくるっていう、あれでしょうか?


 なんか、めちゃくちゃ可愛いです!



 付き合い始めてからのソラ君は、以前の様なギラギラした獣のような表情以外にも、自然な表情も多く見せる様になりました。


 ソラ君はボクよりも小柄で、顔も少し幼く見えるので、ボクと同じ歳ですが、少し年下に見えてしまいます。


 ・・・一方、ボクの方は年上に見られがちなのですが・・・


 ソラ君は、普通にしてるとかなりの美少年なので、屈託のない笑顔で笑いかけられると、お姉さんとしてはズキューンとなってしまう事があるのです。



「では、ボクがソラ君とデートしたいのでデートしましょう」


「ああ、ルルがしたいんだったら仕方ねえな」


 ふふっ、素直じゃないところもかわいいです。




 こうして、次の休日に、ボクとソラ君はデートする事になりました。



 当日はお母さんがボクを徹底的にコーディネートしてくれました。


「初めてのデートなんだから、徹底的に磨き上げないとね!」


 メイドさんたちと一緒に、ボクの顔にメイクをしたり、髪を手入れしてくれたり、服を選んでくれたりしました。


「はい!出来たよ!それにしても我ながらとんでもない美少女を生んでしまったよね!まあ、殆どがジオからもらった素材だけどね」


 鏡に映ったボクは、自分でもびっくりするくらい美しく仕上がっていました。


「でも素材は最高なんだから、やっぱり磨きがいがあるよ」


「ありがとう、お母さん。・・・でも、お父さんも女装したらこれくらいの美少女になるって事だよね?」


「そうなのよ!いつかやりたいと思ってるんだけど!」


「絶対やらないぞ」


 いつの間にか現れた父さんが全力で否定していました。



「では、そろそろ約束の時間なのでいっていきます」


「いってらっしゃい!しっかりね!」




 ボクは、ソラ君との待ち合わせの場所に行きました。

 王都では、デートの待ち合わせ場所の定番の広場です。

 家からは結構近いので、だいぶ早く着いてしまいました。


 でも、こうやって相手が来るのを待つ時間もデートの醍醐味の一つだと、お母さんが言ってました。



 ソラ君を待っている間、通りすぎる人がみんなボクをじろじろ見ていきます。


 というか、通りすぎずに一旦立ち止まって見ていきます。

 ボクがその人を見て、目が合うと、目線をそらして立ち去ってしまうのですが・・・


 いつもはこうして立っていると何人かの男の人に声をかけられるのですが、今日は誰も声をかけてきません。


 何か見た目が変なのでしょうか?




「おう!もう来てたのか!ずいぶん早かったな」


 ソラ君が来ました。


 後ろから現れたので気が付きませんでした。


「ソラ君、おはようございます」


 振り向きながら返事をします。


「おう!今日はよろしく・・・・・」




 ・・・振り向いたらソラ君が絶句していました。


 どうしたんでしょうか?



「どうしました?ソラ君?」


「きれい過ぎてびっくりした!」


 ソラ君、顔が少し赤くなっています。


「おまえ、そんなにきれいだったんだな」


「いつもより少しおめかししましたが、そんなに違いますか?」


「いや、違わないんだが・・・お前はお前なんだが、ここまでだとは思わなかった」


「でも、さっきから、誰からも声をかけられなかったんですけど?」


「声をかけるのを躊躇するくらいきれいだからだろ?」


 それで、じろじろ見る割に、誰も声をかけてこなかって事でしょうか?


 うーん、どう違うのかわかりませんが、ソラ君はどう思ってるのでしょう?


「ソラ君はボクの姿、どうですか?」


「どうって・・・きれいだと思うが」


「ソラ君的に、好きか嫌いかです」


「そりゃ、お前・・・・・好き・・・・に決まってるだろ!」


 ソラ君、真っ赤になっています。


「ふふっ、ソラ君が好きならそれでいいです」


「さあ、いくぞ!」




 ソラ君は、照れながらボクの手を握って引っ張っていきました。


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