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20話 戸惑い

 ソラ君への感情が今までと違うものに変化してきています。


 今までもソラ君に対して好意は持っていたのですが、レィナちゃんに対する気持ちと同じ様なものだと思っていました。



 でも、キスをされて気がついてしまいました。


 いいえ、本当はもっと前から気がついていたのです。




 これは多分・・・恋愛感情というものです。




 ソラ君が、そういうものには興味無いと言っていたし、ボク自身も体が男性である事を考えたくなかったので、あえて触れない様にしてきました。



 でも、男女のそういった行為に興味無いと言っていたソラ君がボクにキスをしました。


 もし今後、もっと色々な事を求められていたら、ボクの秘密がソラ君に知られてしまいます。


 ソラ君は性別とか、そういうのは関係なくボクの事を運命の相手と思ってくれているのだとは思いますが、やはり、健康な男の子でもあるのです。


 今後、そういう事をボクに求めて来る事は十分に考えられます。


 その時、ボクはどうしたらいいのでしょうか?



 前にお母さんに聞いた時、女の子の体に変える魔法があると言っていました。


 ソラ君に知られる前に、お母さんに頼んで女の子の体に変えてもらった方が良いのでしょうか?


 でも、お母さんはボクが男の子の体で生まれた事には意味があるかもしれないと言っていました。



 ・・・どうするのが正解なのでしょうか?


 いくら考えても結論が出る気がしません。





 剣術大会が終わって、最初の剣術講座の日は、学院で『下級剣士』の認定試験が行われます。


 剣術大会の一般部門で上位の成績を修めた者は『下級剣士』の認定試験を受ける事が出来るのです。


 ボクとソラ君とレィナちゃん、それにお父さんは、認定試験を受ける事になりました。


 試験内容は、現役の『下級剣士』と模擬戦を行い、2名に勝利すると合格となります。


 受験資格は、半年後に行なわれる次の剣術大会まで有効なので、今日の試験で合格しなくてもまだチャンスはあります。



「『下級剣士』になれば遠慮なく魔物と戦えるわ!みんな、必ず合格するのよ!」


 レィナちゃんはとてもやる気に満ちています。


 この日が来るのをずっと待ち望んでいたみたいです。




 この国では、『剣士』や『魔法士』などの資格を持たないものが魔物と戦う事は禁止されています。


 まあ、普通は素人が戦ったら簡単に殺されてしまうので、そんな事をする人はいないのですが・・・


 ボクとレィナちゃんは時々、こっそりと魔物を倒しに行ったりしています。


 そして、実は正真正銘、本物の勇者であるお父さんは、既に何度も魔物討伐をやっていたりします。



「オレはこの国の人間じゃねえから関係ねえだろ」


「学院に所属している以上、規則は守る義務があるわ!ルルと一緒に魔物の討伐に行きたかったら合格しなさい!」


「ルルと共闘して、魔物の討伐か!楽しそうだな!」


 ソラ君もやる気になった様です。




 認定試験の模擬戦の相手は、学院の先輩や、講師の先生が担当します。

 ボク達の他にも、数人が試験を受ける様です。



 そしてボクたちは、4人ともストレートに2連勝して、無事に認定試験に合格しました。



 これで4人は、はれて『下級剣士』となったのです。




 その日は家に帰るとお母さんがパーティーの準備をして待っていました。


「4人とも!『下級剣士』合格おめでとう!」


 お母さんは何かあるとすぐに盛大なパーティーを始めてしまいます。

 数日前にも、剣術大会ダブル優勝パーティーをやったばかりです。


 レィナちゃんのお父さんとお母さんも既にうちに来て待っていました。


「なんだ!こりゃ!この前もやったばかりだぞ!?」


 ソラ君が困惑しています。


「お母さんは何かきっかけがあれば、すぐにパーティーを始めてしまうんです」


「そうか、まあいいや、旨いものがたくさん食えるんだからな!」


 ソラ君はそういって、料理を食べ始めました。



「おめでとう、ルル」


 お母さんがボクのところに来ました。


「ありがとうございます。お母さんのおかげです」


「ううん、最近のルルの剣の上達はソラ君のおかげだね。関係も進展したみたいだし、どうなの?」


「うん・・・ちょっと悩んでて・・・今後ソラ君との関係が進むと、いつか話さなければいけないでしょう?」


「まだそんなにあせらなくてもいいと思うけど?・・・まあ、でも男の子って、恰好付けたがるけど本音はエッチだからね。お父さんも、女性に全く興味ない風に装ってるけど、あの時は結構激しかったりするからね!」


 お母さんがお父さんの方をチラッと見ると、お父さんは余計な事を言うなという顔をしていました。


「ソラ君に話す前に、魔法で女の子の体にしてもらった方がいいのかな?って思って」


「ソラ君はそんな事気にしないような気もするけど、ルルがそう決めたんならそれでいいんじゃないかな?」


「それは、まだ迷っているんです。お母さんが前に言った様に、何か意味がるのかもしれないし・・・」


「まあ、どっちを選んでも、問題があったらその時に何とかしちゃえばいいんだから、気楽に決めていいんじゃないかな?」


 それは何でもできるお母さんだから言える事ですよね?


「・・・もう少し考えてみます」


「うん!いっぱい悩んでいっぱい考えたらいいよ!」



 でも、お母さんと話していると、ほんとにどんな事でも何とかなってしまいそうな気がしてきます。


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