15話 初めての告白
ソラ君は、この戦いの最中に急速に成長を始めたのです。
ボクはそれについて行くのに必死です。
ただでさえ、限界ギリギリの攻防だったのです。相手が更にレベルアップしてしまったらもう、ついて行けません。
そして、ソラ君の表情は、その強さの成長と共に、変化していました。
狂喜と、快楽と、愉悦と、恍惚と、それらの感情がさっきよりも強くなっているように見えます。
そして、その中に、新たに見え始めた感情は・・・
・・・幸福です。
ソラ君は、今、この状況に幸福感を感じ始めているのです。
剣に生き、剣を極める事を人生の目標にしているソラ君にとって、今の状況は、何にも代えがたい最も幸福を感じる瞬間なのでしょうか?
ソラ君の表情には次第に幸福感が増していました。
普段は野獣の様なギラギラした表情をしているのでわかりにくいですが、ソラ君は元々整ったきれいな顔をしています。
そのソラ君の顔に、次第に幸福感があふれてくると、なんだかとても素敵に見えてしまって、ボクは少しだけドキッとしてしまいました。
ボクは・・・もうこれ以上ソラ君について行くのは無理そうなので、ギブアップしようと考えていました。
でも、今のソラ君から、この状況を奪ってしまうのは、ひどく申し訳ない気がします。
・・・それに・・・幸せそうなソラ君の顔を、もっと見ていたいと思いました。
だから、ボクは、成長を続けるソラ君に必死について行きました。
とっくに今までのボクの限界を超えてしまっています。
でも、かまいません。
倒れるまでソラ君に付き合ってあげる事にしました。
ソラ君は一撃ごとに成長を続けています。
だけどボクは、これ以上ついて行くのが無理だと思っていたソラ君に、まだ、ついて行く事が出来ています。
これって、もしかしてボクも同じ様に成長しているって事なのでしょうか?
そう考えたらボクも少しだけ楽しくなってきました。
気がついたらいつの間にかボクも笑顔になっていました。
体力はとっくに限界を超えて、体は悲鳴を上げています。
でもボクは、今の状況に少しだけ幸福感を感じているかもしれません。
だって・・・この時間がいつまでも続けばいいのに・・・って思い始めていたのです。
そう、ソラ君と同じ様に・・・
その時、ぶつかり合った二人の剣は、同時に根元から折れてしまいました。
甲高い金属音と共に、折れた二本の刃が空高く舞い上がります。
ボクとソラ君は動きを止めて、青空に舞い上がって、太陽の光できらめく二本の刃を一緒に見上げていました。
そして、それらが、きらめきながら地面に落ちて突きさるのを見届けると、ボクはソラ君の顔を見ました。
ソラ君も同じ様にボクの顔を見ていました。
ソラ君は、とても素敵な笑顔でボクに笑いかけていました。
ボクもなんだかすごく嬉しくなって、自然と顔がほころんでしまいました。
そして・・・二人とも、同時に、地面に崩れ落ちました。
・・・もう、とっくに体力の限界を超えていたのです。
「おい!大丈夫か?」
先生たちが、ボクたちの方に駆け寄ってきました。
「あははははははは!」
突然、ソラ君が大声で笑い出しました。
駆け寄って来ようとしていた先生たちはびっくりして立ち止まりました。
ボクもびっくりして顔をソラ君の方に向けました。
ソラ君も笑いながらボクの方を見ています。
「おまえ、最高だな!」
えっ?ボクの事ですよね?
「すげえよ!おまえ、最高の女だな!こんなに気持ちいいと思ったのは初めてだ!」
寝っ転がったまま空を見上げて、ボクに話しかけています。
「決めた!おまえ、俺の女になれ!」
・・・えっ?・・・今なんて?・・・
「聞こえなかったか?・・・まあいい、拒否権はねえ!おまえは今日から俺の女だ!」
・・・ええと・・・状況が飲み込めないのですが・・・
ボクがソラ君の彼女って事で合ってるのでしょうか?
「はぁ!ちょっと何勝手な事言ってんのよ!何でルルがあんたなんかの彼女になんなきゃいけないのよ!」
レィナちゃんがカンカンになってソラ君に反論しました。
「うるせえ!オレはこいつと話してるんだ。てめえは黙ってろ!」
ソラ君は上体を起こしてレィナちゃんを睨みつけました。
そして、ボクの方を見て言いました。
「お前はどうなんだ、ルル」
ソラ君が初めてボクをちゃんと名前で呼んでくれました。
ボクも上体を起こしてソラ君と向かい合います。
「お前も今、最高に気持ちよかったんじゃねえのかよ」
・・・そうです、ボクもさっき、ソラ君との打ち合いで、気持ちいいと感じていたのです。
そして同時に幸福感にも包まれていました。
あの感情が何だったのか・・・よくわかりません。
でも、もう一度感じてみたいと思っているのは紛れもない事実です。
「・・・うん、ボクも楽しかった・・・」
「ははっ!そうだろ!そうだよなぁ! おまえも顔に出てたもんな! 快感に酔いしれるお前の顔、最高だったぜぇ!」
最後の方は自分が笑っているのに気が付いていました。
でも、そんなにみっともない顔を晒してたのでしょうか?かなり恥ずかしいです。
「オレとお前は一つに繋がって、一緒に最高の快感を感じていたんだ!これはもう付き合うしかねえだろ!」
なぜか、突然の交際の申し込みでした。
でも・・・男女のお付き合いをするには、ボクには問題があります。
「あの・・・ボクは男女のお付き合いというのはちょっと・・・」
「ああ!なんでだよ!」
・・・どうしましょう、はっきり言う訳にもいきませんが・・・
「ええと・・・その・・・ボク・・・エ、エッチな事とか、ちょっと無理なので・・・」
・・・しまった!いきなり話を飛躍させすぎたかもしれません。
「はあ!何言ってんだ?オレもそんなもん興味ねえよ!けだものじゃねえんだから交尾なんかやってどうすんだよ?」
・・・けだものの交尾って、人間も交尾しないと子孫が残せないんですが・・・
「そんなくだらねえ事よりも、もっと気持ちいい事しただろうが!オレ達は! あの快感を知っちまったら、交尾なんてどうでもいいだろ!交尾なんて! それよりもっと気持ちいい事、オレとまたしようぜ!」
交尾交尾って連呼しないで欲しいんですけど・・・
・・・でも、さっき・・・確かに自分とソラ君が繋がったって感じて、幸せな気もちになったのは事実です。
「だから、オレと付き合えよ!問題ねえだろ!なっ!」
「はっ!はい!」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
周りから一斉に歓声が上がりました!
「ちょっと!ルル!何承諾してるのよ!」
レィナちゃんに怒られました。
えっ? あれ? ボク、「はい」って言っちゃった!?
あれっ?
「よしっ!決まりだ!今日からお前はオレの彼女だ!よろしくな!ルル!」
ええーーーーーっ!




