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大工モドキ現る

 



 扉を開けた先には広い空間に三匹の緑肌の子供が居た。

 あれはゴブリンとか言う人型の魔物か。小学生の中学年ぐらいの身長かな?確か漫画やアニメでは雑魚的な扱いのゴブリンやけど意外とEランク魔物に指定されてるんだよな。一体だけならFランクでも勝てるけど複数出てくると意外と面倒くさく数で攻めてくる戦略を取ってくるらしい。特に剣や槍に弓なんかを装備してるゴブリンは特にメンドイらしい。魔法を使ってくるゴブリンも居るらしいしな。


 Fランクダンジョンにはボス部屋も前に単体で出てくる事があるらしいけどこのダンジョンでは出なくてボスとして出てきた。Eランクダンジョンからは普通に出てくるとか言ってたか。


 とりあえず今回は三匹だけど、二匹が少し前に出ていて棍棒装備。この二匹の後ろには少し体格のいいゴブリン、頭にはヘアバンド、右手には鋸。


「おいおい、そのヘアバンドに鋸は俺のやつじゃね?!それにそのゼットソーの鋸……俺のやん!」


 俺が普段タオルを巻く代わりにヘアバンドをしているのだが、休憩する時に外して現場内に置いていたやつを何故かゴブリンが装備している。

 しかもあの鋸、柄の底に俺の名前が書いてれば間違いなく俺のなんやけど今はよく見えん。


「グギャギャ!」


 変な鳴き声出しながら鋸を振るな!鋸は木を切るために有るんです!振り回すものでは無いですよ!このバカチンが!そんな馬鹿なことをする大工になった気でいる大工モドキゴブリンにお仕置しないとですね……ふふふ。


「この糞ゴブがぁぁ!!俺の道具に手を出すんじゃねぇぇぇ!!」


 咆哮を意識して叫ぶと三匹が怯んだ。

 俺はバールを投げ捨て掛矢一本に絞って走り出す。

 怯んでいたゴブリン達は直ぐさま持ち直し、前に居た二匹のゴブリンが左右に別れていく。

 挟み撃ちにする作戦かな?


 俺の左右に来たゴブリンは直ぐさま棍棒で殴りつけて来ようとするが。


「棍棒なんぞに負ける俺じゃねーぞ、ごらぁ!こちとら掛矢なんじゃい!」


 俺は掛矢を握りしめ槌術に身体強化を意識して


「くらいやがれ!《フルスイング》!」


 掛矢がほんのり光を放ち右から来ていたゴブリンの土手っ腹に掛矢を撲りつけ、そのまま左から来ていたゴブリンまで巻き込んでブン回す。


「「グギャォ!!」」

 掛矢に殴り付けられたゴブリンは汚い鳴き声を出しながらくの字になりぶっ飛んでいき壁にぶち当たる。

 壁にあたり地面に倒れた二匹のゴブリンはピクピク少しだけ動いていたが直ぐに黒霧になって消えた。


「さぁ後はモドキだけやぞ?あん?」

「グ…グギ…グギャァ!」


 ゆっくりとモドキゴブリンに近づいていくと発狂しながら鋸を振り回しながら走ってきた。


「何処ぞの気が狂った犯罪者見たいな動きになってんぞ、クソゴブ。そんなのに当たるわけないやろ。それに鋸は引いて切るもんなんだよ!お前だけは掛矢の一発で終わらせん。金槌でゆっくりいたぶってやんよ」


 掛矢を地面に落として釘袋から金槌を手にして構える。

 依然として鋸を振り回しながら迫って来るゴブリンに対してとりあえずカッターを投げつける。


 カッターを鋸で叩き落とした瞬間にゴブリンの背後に回って背中をヤクザ蹴りして転け指せる。


「さーて、お仕置の時間だぜぇ」


 まずは動けなくするために足を潰す。金槌で足をミンチにする。


「グギャァァァ!!」

「うるせーよ、黙って潰されろ」


 足の次は腕を潰す。

 見事に動けなくなったゴブリンを見て俺は満足する。


「よーしとりあえずお仕置完了。気分もスッキリしたからお前はもう消えてええよ」


 金槌から掛矢に持ち替える。

 掛矢を大きく振り上げて


「グッバイクソゴブ。《フルインパクト》」


 ゴブリンの頭目掛けて掛矢を叩きつける。

 槌術の技の一つであるフルインパクトを使って。


 頭が潰れたボスゴブリンは黒霧となり消え、魔石を落とすがそれだけでは無かった。

 鋸とヘアバンドも残っていたのだ。



「魔石以外にもこうやって落とすのもあるんやな、ドロップアイテム的なやつか。でもこのヘアバンドは今は使いたくねぇな…ゴブ臭がしそうやし…エコバック行きやな。鋸はバールと一緒に持つとするか、流石に鋸はエコバックに入れられる気がしないしな」


 ヘアバンドをエコバックに入れると、入ってきた入口以外に何も無かった部屋に新たな扉が現れた。


「お?今回は普通にシンプルな扉やん。少しは成長したってことか?あれを開けたら出口になるんかねぇ」


 扉を開けて中に入ると、部屋の真ん中に石版が一つと石版の後ろに水晶が乗っている石台があった。


 水晶はダンジョンコアになり、これを壊すとダンジョンが消えるのだが今回は新規ダンジョンという事でまだダンジョン課の調査が行われてない為に壊す事が出来ない。勝手に壊して後にバレると罰金と半年の冒険者活動が出来なくなるペナルティがある。


「石版に触ると確か入口まで戻れるんだったな。ストレス発散出来たことやし帰りますかね」


 石版に触れると一瞬にして入口まで戻って来られた。



 入ってきた時と同じように黒い穴を通ると無事に外に出られた。







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