宝箱
ビッグマウスを倒した事でステータスを取得してスキルを確認したけど、槌術は分かる。だって金槌に掛矢を持ってるから有難いと思う訳よ。槌術のお陰でなんかいつも以上に振るスピードにどう握ればジャストフィットするか解るんよ。
そして身体強化、これはかなり有難い。だって掛矢が片手で振れるんだもん。片手で持てることは持てるけどスイングなんか出来なかったからね?片手で。
でも今は片手で普通に振れるんよ。掛矢で野球が出来るんじゃね?って思うぐらいのフルスイングも出来ちゃうわけよ。やばくね?バールもフルスイングしても安定するからこれからは掛矢とバールの二刀流で行けそう。
最後に咆哮……俺に叫べってか?掛矢とバールの二刀流で咆哮とかしたらそれは唯のヤベー奴なんよ。ダンジョン内じゃ無かったら通報案件よ、これまじで。
スキルの詳細は今は確認することが出来ないからダンジョンから出た後に冒険者協会で調べるとして。
「さて、ステータスを手に入れたことやしどんどん進んで行きますかねぇ。Fランクダンジョンなら最高でも五層、少なくても三層やけささっと攻略しちゃいますか」
一層目はビッグマウスが数体出ただけで難なくクリア。このビッグマウス達は身体強化された俺の掛矢スイングでミンチになって可哀想でした。まぁやったのは俺やけ可哀想とか言うのはお門違いやけどね。たはー。
二層目からはビッグマウスが単体では無く二匹、多くて三匹で複数出現してきたけど特に問題なくミンチ案件。
バールで殴るわ、掛矢で潰すわ、バールの釘抜き部分を脳天に刺すわの残虐ぶり……俺ってこんなに性格ちゃうんやけどな……武器を持つと性格変わるなんて…これがダンジョンなんやな、うん。まぁ違うと思うけどな。
「鼠だけやと飽きてくるな、それに殆ど一本道やし。Fランクダンジョンはこんなもんなん?宝箱も全くないし」
とか言っていたら道が分岐している。これはとりあえず両方進んでみるっきゃない。
まずは右を進んでいくぅ〜。ビッグマウス出てくるぅ〜。殲滅するぅ〜。そしたら三層に行ける階段があるぅ〜。
「右の道は正解ルートっと。分岐の所まで戻って今度は左やな」
走って分岐まで戻っていきながら俺はふと思った。
掛矢とバール手にして走ってもそこまで疲れてないけど、これも身体強化のお陰なんか?この疑問も戻ってからやな。
分岐までダッシュで戻ると直ぐに左の道を進んでいく。
進むとすぐに謎の扉が有った。
「んー、これは普通に開けていいものなのか?開けるしかないよな、流石にこんな低ランクダンジョンに罠とかは無かろう」
扉を開けて部屋の中を見ると部屋のど真ん中に宝箱が鎮座していた。
「ほぉ、宝箱ですな。ミミックとか言うオチはやめてくれよ?それにこのダンジョンは俺の現場やけそろそろ道具を返して欲しいんやけどな…」
宝箱まで近づき蓋に手をかけ
「いざ、宝箱オープン!」
宝箱を開けて中を確認してみると
「ん?空っぽ?てか中が見えん?」
中を見てみるとそこには何も無く黒い空間しかなかった。
「とりあえず手を入れてみるか」
謎空間に手を入れてみると何か袋のようなものが手に触れ、それを取り出してみた。
「お?袋って思ったけどエコバック?なんでエコバック?てかエコバック取り出したら宝箱消えたやん?!なにこの超常現象、こわ」
宝箱から手に入れたのは謎のエコバック一つだけだった。
「うーん…とりあえず折りたたんで釘袋の中に入れとくしかないわな。作業ズボンには鼠の魔石が入ってるし」
宝箱があった部屋にはこれ以上進む道もなくこの部屋で終わりだった。
部屋を出て再度右の道に進み三層目に移動する。
三層目からはビッグマウスだけでなくスキニードッグも出るようになったが俺の敵ではなかった。
くまなく三層を調べ、再び宝箱部屋にたどり着き宝箱を確認すると中身はポーションらしきものだった。それが三本。とりあえずエコバックを広げ中に入れておくけど、入れた感覚が無かったけど……なぜなぁぜ?
折りたたもうとすると普通に折りたためるの、なぜなぁぜ?
四層目も大したことなく制覇してしまう。今回は宝箱無し層だった。
五層目に向かう階段を進み、五層目に着くと目の前には豪華な扉があった。
「かぁー!センスねぇ扉やのぉ!何処ぞの成金が好みそうな扉なんか使ってんのや。シンプルな扉が1番って事を解らんかねぇ、はぁ」
そんな愚痴を零しながら扉を開けた。