力を手に入れる
現場の玄関から、違うか…今はダンジョンの入口になってんだよな。とりあえずダンジョンに突入してみる。
中に入ると本当なら間柱とかまだ見える状態の現場なのに俺の目の前にはそんな景色じゃ無くて洞窟の中の景色なんだよな…このダンジョンは洞窟型のダンジョンらしい。
洞窟のくせに明るい。冒険者登録する時に受けた講習で言ってたけど、光苔があってそれが原因って言ってたな。これを持ち帰ったとしても光らなくなり無価値になるとも言ってたか。ヘッドライト忘れてきたから丁度良かったわ。
防具としてヘルメット、右手にはバール左手には掛矢、腰には釘袋装着してその中に金槌とオルファのカッター。
バールは片手でも振れるけど流石に掛矢は無理やな。掛矢で攻撃するならバールをとりあえずその場に落とすとして…
第一村人ならぬ第一魔物は何が出てくるか。
これも講習で言ってたけど第一層で出てくる魔物によってまだランク査定されてない新規ダンジョンの目安が解るとか言ってたけど。
暫く歩いているとペタペタと歩く音がゆっくりとこちらに近づいてきた。
「お?ようやく魔物が出てきましたな、さーてどんな魔物ですかね」
奥から現れたの体長約六十cmの大きい鼠だった。
「ビッグマウスが出てきたって事はFランクのダンジョンになるってことやね」
Fランクのダンジョンなら第一層に現れるのは三種類の魔物になる。今現れたビッグマウスと痩せ細った小型犬見たいな魔物のスキニードッグ、さらに大きめの兎型魔物のビッグラビットの三種類らしい。
これ以外の魔物が出ればFランクより上になるから初心者は気をつけてねと言われたか。
「あの鼠は体当たりしかして来ないらしいから攻撃した時がチャンスかな」
俺はバールと掛矢を下に落として釘袋から金槌を取り出して軽くスイングして準備運動をしてみる。
落とした時の音でビッグマウスは戦闘態勢に入り体当たりをする姿勢になった。
「さぁ来いよ、クソ鼠。初の戦闘を楽しもうや」
俺の三m先からダッシュしながら体当たりをしてこようとするビッグマウス。腹を狙った見たいでジャンピング体当たりをしてくるが俺は飛んで来た瞬間に金槌を片手でフルスイングする。
見事にビッグマウスの横腹にクリーンヒットしてビッグマウスは壁にぶち当たる。
「うへぇ…当たった時の感触が生々しい…当たった瞬間グチャって聴こえたのがヤダねぇ…しかも壁に当たった時もベチャって…これは気の弱い人とかは無理じゃね?」
そんな独り言を言っていると無惨な姿になったビッグマウスは黒い霧となり消えていった。
「初戦闘は呆気なく終わったな。お?魔石ゲット〜でも小指サイズか、売っても百円程度にしかならんな…隼人の給料に魔石サービスとして入れるか」
魔石を拾った瞬間に声が聴こえた。
【初戦闘によりステータスを授与します。ジョブとスキルを取得】
「おー!これがダンジョンの祝福とか言う奴か」
初めて魔物を倒すと人はステータスを獲得することが出来る。
これにより本格的に冒険者となれるのだ。ステータスを取得してない冒険者は所謂見習いになる。その為、講習の後にはダンジョンに向かってステータスを取得する為に向かえるのだが俺は講習のみで帰ったからずっと見習いのままだった。
講習の時に知り合った数人と連絡先を交換して居たのでダンジョンでステータスを取得した時の話も聞いていた。
一人は剣士のジョブを手に入れスキルを二つ手に入れ、もう一人は料理人だったらしい。料理人のジョブを手に入れた人はスキルが四つもあったみたいだ。
スキルは最低でも一つ、多くて五つのスキルを取得出来るみたいだけど俺はどうかな?
「早速ステータスを見てみますかね、ステータスオープン」
『ステータス』
名前:高峰 翔
年齢:25
ジョブ:大工
魔力:43
スキル:槌術・身体強化・咆哮