DESTINY
翌週の日曜日、マサキは久しぶりに
おっちゃんに会いに行く事にした。
一年以上ぶりくらいだろうか。
久々に会う、マサキに
おっちゃんも
「おう!!よう来たな!!少し背が伸びたか~?」
と、いつもと変わらず迎え入れてくれた。
これまでの事と、先日公園で会った
カズの事を話した。
「そうなんや~、また会えると良いけどな」
アンプに繋いでない、レスポールを
ポロンと爪弾きながら、おっちゃんは言った。
「うん」と返事しながら
「あのさぁ・・・」
マサキは高校進学を諦めた事と
これからの将来の事を話した。
相談ではないけれど、何か話して
背中を押してもらいたかった。
今の自分と、未来の自分に自信が持てないでいた。
おっちゃんは
「それは残念だけど、仕方ない事だな。
俺がお前の兄貴だったら、行かせてやれるけどな。」
マサキの頭を撫でながら言う。
「難しい事を言う訳じゃないけど
運命とか、フィールドって言うのは
あらかじめ、最初から用意されとるんかも知れん。
けどな、その運命の中で自分がどう生きて行くかで
変わって行くんやないか?」
マサキは顔を上げておっちゃんを見つめる。
「これが、最初にお前に用意された運命とフィールドたい。
ここまでは、お前に用意されたステージたい。
ここから先は、お前がお前の手で変えて行くしかない。
これから先の運命は、自分で切り開いて行け。
俺が車椅子に座るようになったんも、運命や!!
受け入れて、自分で変えて行かないかんったい。
わはははは!!」
と豪快に笑ってマサキを励ました。
話した事でスッキリして
少し勇気が湧いた。
おっちゃんに録音してもらった
カセットテープをウォークマンで聴きなかがら帰る。
おしまれながら死んでいく
英雄にあこがれ
茨の道を見つけ出し
靴を脱ぎ捨てる
あんまり平和な世の中じゃ
カッコ悪過ぎる
あぁ、戦線布告
手当たり次第
THE BLUE HEARTS「英雄にあこがれて」より
「運命は自分で変えて行かないとな」
マサキは呟いた。