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捕虜からはじまるゴーレム使いの異世界生活  作者: wurtzite
召された者の行方
9/18

Part7 救済



帝都テイマー隊 格納庫1番ドック

am.7:40



突然、格納庫内で地鳴りが起きる


「なに!?地震?」

ベルナデッタが叫ぶ


他のふたりも慌てた顔をしている

ベルナデッタは周囲を見渡す

帝国周辺の地盤はプレートの上でプレート同士がぶつかる場所は無く地震など起きたこと無かったのだ

実際、起きないと言うよりベルナデッタが帝国内で経験してないからなのだが


ベルナデッタは地震の発生源を発見する

「貴様か!」

ベルナデッタの視線の先には立ち上がろうとする巨大ゴーレムがいた


その隙に、ウルがベルナデッタに飛びかかる


「くそっ!離せウル君!」

「帝国なんて嫌いだ!こんな国出てってやる!」

ウルがベルナデッタの拳銃を奪おうとする

ベルナデッタに馬乗りになり腕を拘束する

「君は!捕虜だ!君はもう死んだようなものっ ふぎゅっ!」

ウルが彼女の腹を殴る

「なら殺してくれよ!こんな世界に来るなら!」

「あのとき死んだ方がよかった!」

ウルが殴り、ベルナデッタは防戦一方だ

「きさまぁ!げふっ」


エイラは恐る恐る、地面を這いながら逃げる

まだ走れるような体調ではなかった


ベルナデッタの背後では巨大ゴーレムが完全に立ち上がり、2人を見下ろしている

そして巨大ゴーレムの腕が動き出し、こちらに近づく

さらにレーザー兵器を起動し格納庫の外壁を壊す


「ざまぁねぁな!」

「黙れぇ!」

ベルナデッタが左手をポケットに入れる


バンッ

銃声がなる


「まだ、隠してたか……」

「私に歯向かうからこうなる ハハ」

ベルナデッタが微笑する

銃弾はウルの左胸の下を撃ち抜いている

幸いその銃は弾が1発しか装填できない物だった

ウルの左手はしっかりとベルナデッタの右腕をいまだ抑えている

半壊した外壁から鉄クズが落ちる

破壊された隙間から光が刺し2人を照らす

「どうする?君がこのまま抑えていても、君はいつか力尽きる」

「そんなのわかってる…もっと早くからこうしておけば良かった」

「帝国とやり合っても勝ち目はないよ?」

「分かってるさ…勝てる勝てないじゃない」

「行動するのが重要なんだよ…」

「ユイ…あなたを嫌ってはなかったさ、過去にも道徳に反した行いを俺もしてた、戦争だったからな…それで済む話ではないけど」

「少なくとも貴方は自身が強くなるための犠牲を…」

ウルの言葉が詰まる

格納庫がさらに壊れていく、時間はあまり残されていない


「ウル君、君が思っているほど私は良い人間ではない」

「正直、君を利用してた…けど君の安全を保証した上での行動だと考えて欲しいな…帝国から逃げてどこへ行くんだい?」

ウルの息が荒くなる

「はぁ、はぁ…分からないさ」

「まだこの世界の10分の1だって見て回ってないんだぞ?」

周囲が騒がしくなる、帝国兵が異変に気づき集まりつつある

巨大ゴーレムは腕をウルの後ろで待機させている


「ハハッ、そうかそうか…まだ観光してなかったか」

ベルナデッタが笑う

「でもね、ここで私を逃がすと少々面倒だよ?w」

「これから敵対するとして、脅威は排除した方がいい」

ベルナデッタの顔が狂気な笑みを浮かべる

そして抑えられた腕を無理やり動かし自身の喉に銃口を向ける

「引き金は君が…早く、時間が無い」


「なんで…こんなことするんだよ」

ウルが涙ぐむ

「泣くなよ、敵の目の前でさ…はやく…突入される前に」

ベルナデッタが光に照らされ俺が見てきた中で一番だと言える程の表情を見せた


「上官…今までありがとうございました」

「別れ際まで律儀なやつだな…こんないい女今までいたかい?」

実際、良い女ではなかったがこれは最期の冗談だった

ベルナデッタがそう言った瞬間、ウルが唇を重ねる

「んぐっ!?」

ホントにするのか!?、ベルナデッタはそう思いつつ舌を絡める


1発の銃声がなる

それは血の味がした


「畜生…畜生、こんなこんな」

ウルが嗚咽する、それを気にせず待ち構えていた腕が2人を救出し壊れた格納庫から巨大兵器が飛び出す


「迎撃開始!!!!!」

外の帝国兵が攻撃を始める

「隊長!弾かれます!」

外には大量の機甲部隊が配置され弾丸を掃射する

「構うな!足止めだけでいい!撃破など考えるな!」

帝国兵達が叫ぶ

兵士の顔が私怨に満ちていた、それだけ失ったものが大きいのだ


ウルがそれを見ながら精一杯の声で叫ぶ


「てめぇらの事情なんて知るかぁぁぁ!!!!!」

それを巨大兵器が抑え操縦席にしまう

巨大兵器がその意志を感じたように外の機甲部隊をメッタメタに蹴散らす

殴る蹴るなんでもあり

持てる全ての力で蹂躙する

まるで鬱憤を晴らすように


操縦席に押し込まれたウルは1人の魔族に出会う

「君、吹っ切れたな?w」

魔族は偉そうに足を組んで椅子に座っていた

「さっきまで絶望してたやつがよく言うよ……」

ウルが倒れつつ言う

「大丈夫か!?まずは傷を塞がないと!」

「見せてみろ!うぅ…酷いな…弾が貫通してるのが幸いだが…治るまで時間がかかるな」

魔族がウルの服を破り、流れ出る血を抑え言う

「くそ!無理やり治すぞ!」

ウルが操縦席の収納を指す

すぐさま魔族が指された場所を見て理解する

「あったぞ!これは応急キットだな」

「待ってろ…すぐ治してやる」

魔族は慣れた手つきで傷を見て、塞ぐ

「再生魔法をかけるぞ…痛むからな?我慢しろ」

魔族はウルに布を渡す

ウルはそれを口に入れ噛む

「行くぞ? 3、2、1!」

「んんっ!?」

無理やり細胞を活性化させ肉を繋ぐ

「頑張れ!頑張れ!」

魔族は汗をかきながら言う

手当は10分ほどで終わった

モニターに表示される映像は殺戮に満ちていた









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