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捕虜からはじまるゴーレム使いの異世界生活  作者: wurtzite
召された者の行方
3/18

Part3 引越し



倒した魔族は粒子となって消えていった

残ったのはコアなる赤色の石

コアは魔族が持つものでその大きさは魔力量に比例するらしい


俺はそのコアを運び出す人々を見つつ

エネルギー切れ間近のArbiterをスタンバイモードにして待機していた 一定値まで補給出来なければ動かないから


「お疲れ様」

集音センサが彼女の声を拾った

「素晴らしい働きだったよ これでお偉方は君の有用性を知っただろう」

「そうだな、すまないが機体を動かせないんだ この場所をしばし借りておきたいけど 今後演習の予定はあるのか?」

「あー、毎日ここで陸軍が訓練してるけど 今回は見逃してくれんじゃない?」

「はぁ…少し休憩したいんだ 俺も機体も…」

「OK んで今から会議あるから行ってくるよ 戦闘の評価と今後の運用を決めないとだから」

そう言って彼女は演習場から出ていった


俺はしばし、眠りに入った


エネルギー充填率30% 移動可能

モニターにそう表示されてから3時間がたった

現時刻は朝の9時頃

コックピットを強く叩かれて目が覚めた


ガンガンガン ドガンッ


「おい、デカブツ どいてくんねーか? 訓練の邪魔だ!」


攻撃ヲ確認 戦闘モード起動シマス


「おわっ やるってのかかかってこいよ!」

Arbiterがファイティングポーズをとる

「決まってんじゃねーか! ゴーレム隊前ぇぇ!!」

「日頃の訓練の成果を見せつけろ!」


俺は会話をボケた脳で聞いていたことを後で後悔した

ちゃんと目が覚めた時にはすでに遅く

人は生きていたがゴーレム全機が大破していた


「お?おい! モード解除 止まれ!」


「やるな、デカブツ 見直したぜ これで俺らの背中を満足に預けれるってもんよ」

「動けるなら、格納庫に戻んな…良かったぜお前の拳」

部隊のリーダーが満足そうに笑う


「試験の観客といい この軍人ときた 戦闘狂しかいないのか 帝国さんよ…」

俺はゆっくりと格納庫へ帰った


昼前になった頃 格納庫の扉が開いた

「やーやー! 演習場ではやってくれたねー!おかげで会議が伸びたよw」

「陸軍が君を欲しいって出張って来てね もちろん我が隊が権利を貰ったんだけど…説得するまでが長かったぁ」

「他にも君の運用方法を考えていてね 2週間のうちに色々調べてさ 互換性のあるパーツの製造に新規金型作成とか、魔法省と国防省、工場関係者が忙しそうにしてたね」

「しかもそのゴーレムの修繕費がバカにならんくてさ…」

「そうか…」

「でもその分まともに仕事してくれればいいだけ」

「で、その修繕費が戦闘の度に起こってたら不味いわけ」

「ならどうするかも議題に上がって、結果ゴーレムを直せる人材が欲しいの」

「そんなやついるのか?」

「いやぁ、魔族側に時間を戻しながら戦う将軍がいる」

「その将軍を捕らえるの、か?」

「ご名答!」


何となくそんな気がした

確かに俺だって捕まった身だ この国ならできると思う

しかしどうやったら時間を戻す能力なんて使えるのか、理解不能だ

「作戦内容はあなたの機体が直ってから言うわ」

「そして、我がテイマー隊の一員になったからにはこんな暗い格納庫じゃなくて私の家に置いてもらうから」

「ここじゃダメなのか?」

「もう手配済みで変更不可、あと家の方が楽しいよ」

「そういうことなら…」

「いぇい 契約成立ぅ」

彼女がそういうと後方から大きな金属板を乗せた乗り物が来た


「これは移動式転送陣って言って帝国随一の兵器よ!」

「これで家まで送るわ さぁゴーレムを動かしなさい」

俺はその板に機体を乗せた

彼女も一緒に乗る


板の中央から魔法陣が展開され青色に光った瞬間

俺たちは新たな格納庫にいた

「ここが我がテイマー隊の格納庫よ」

周りにはカプセルが沢山あり中には様々なモンスターや魔族が入ってた

「俺もこうなる可能性があったのか…」

「そうね」

彼女は即答した

「でも、君が手に入った以上こいつらは用済み 今はただのコレクションよ」


はぁ…まじで恐ろしいこの女

俺は心の中で思った


「さ、こんな場所からおさらばして昼ごはんにしよ」

「ゴーレムは直立姿勢でいいわ 補助アームで支えるから」


確かに前の格納庫より機材が揃っている

元の世界の格納庫にも少し似てる

「以前、自作で機械ゴーレムを作ったことがあって君のよりだいぶ小さいけど建物だけ大きく作っちゃったのよ」

「そのゴーレムは戦場でやられたけどw」

俺はArbiterをアームに固定した

するとコックピット前まで足場が来てそこに乗ると、足場は下がっていく 動力はモータとかではなく魔法だった

機械のほとんどが魔法で動いておりメカニズムだけは似ているが電力がない違いがあった

この魔法が元の世界にあればエネルギーの取り合いなんてなかっただろう そう考えながら格納庫を後にする


格納庫から出るとそこは普通の西洋風の町で彼女の家は町の端にあった

「ここが我がテイマー隊の本拠地&家よ」

外見はレンガ材の壁に所々木材が使用されており非常にオシャレだった 玄関に入るまではそう思えた

家の中はぐちゃぐちゃで本や紙が散らばっており足の踏み場がない しかし寝室とキッチンだけは綺麗に片付いている

「なんでリビングだけ汚いんだ…」

「いやぁ、ここだけ使っててさ 基本寝室に行かないんだよね…アハハァ…」

彼女が苦笑した

「あー、君は寝室を使うといい 基本そこには行かないしさ」

「昼ごはんはどうする…飲食店などはあるのか?」

「一応君はまだ捕虜で、現在仮釈放っていう扱いなのよね」

「だからさ、テキトーに作って食べといて ゴーレムのさいい案が浮かんだんよね それをメモしたくって今それどころじゃない」

彼女はそう言いながら紙とペンを出して何やら書き出す

とりあえずキッチンに向かい冷蔵庫らしき箱を開ける

「何も無い…」

「おい! 隊長! 何も無いぞ」

「あれれ〜そうだっけ?それじゃなんか買ってきてよ」

「貴様、先程俺は捕虜だと言ったはz」

「いいから行ってきてよー 今手が離せないのー」


こいついい加減にしろよ…

彼女は机に財布を置いた

これじゃあ、前の格納庫の方がよっぽどましに思える

はぁ…逆らうと俺の身が危ない

しかたない 行くか…

「あ、そうそう 君の軍服あるから着替えてってね〜」

手をヒラヒラさせて彼女は言う

Arbiter助けてくれパイロットは危機的状態だ


玄関をでて町の中心へ歩く

基本中心に行けば飯屋くらいあるだろ

季節は秋のようだ 涼しい風が心地いい

軍人とすれ違う度妙な顔をされるが普通にしておけば問題ないだろう

昼時なのかもあって人が多い どこのお店も列ができてる

ブラブラ歩いてると中心についた歩いて30分くらいか

隊長の家が端の方だと感じていたがそうでもないようだ

中心には大きな噴水があり噴水の真ん中に王様の銅像がたっていた 王様がキモイ笑い方をするのを国民は知ってるのだろうか?

噴水近くを見渡すと出店が並んでおり待ち時間も少ないようで空いていた

「ん〜… ファーストフードでいいだろ 高い店に間違って行くよりましだ」

「いらっしゃい お兄さんご注文は?」

「えーと、これ4つください」

見た目良さそうなのを選んだ

「はいよー 840payになります〜」

んーこれでいいだろ 紙1枚を店主に渡す

「あいあい 160payのお釣りねー」

お金に関しては違いがないのか とりあえず食べ物は買ったし帰宅するか

帰っている途中で飲み物売りがいたので炭酸っぽいのを選んで2本買った


「おい 帰ったぞ」

玄関を開けつつ言うと大きな音がした

ドタタタタタタッ

「ウルきゅんおかえりぃ〜⤴︎ 」


「うわ、酒臭っ!!」

「いやぁあまりに遅いもんだから、お腹減ってさー」

「飲んじゃった/////」

彼女の顔はとてもニヤニヤしている

「飲んじゃったじゃない、貴様それでも上官か!?」

「いいじゃん こんな上官滅多にいないぜぇ?」

彼女は踊りながらリビングを回る

「それでぇ?何を買ってきたのかなぁ?」

ガサァ!!!!

「貴様!俺のもあるんだぞ!」

「えへへー」

「おーいいセンスしてんじゃん あそこのサンドイッチて絶品なのよね〜」

「はい、きみのもどーぞー」

彼女は早速サンドイッチを頬張りながら酒を飲む

「うめぇ〜⤴︎ 」

「ダメだこいつ…」

俺はキッチンに逃げてご飯を食べた

彼女はそれから2時間ずっと酔い続け倒れるように寝た


それからコックピットに戻り次の朝が来るのを待った



同日 夜10時頃

「君! 夕飯がないじゃないかぁ!」

「起きろ!」

目を擦りながら起きる

「なんだ…」

「夕飯がない…ないぞ」

「まだ酔ってるのか…」

「酔ってない! ハメを外しすぎた…いつもは買い出しに行くのに今日は行けなかった」

「自炊はしないのか」

「めんどくさい…」

はぁ…だめだこいつ


「今日は外食にしよう」

「初めからそれでいいんじゃないか?」

「やっぱり、外食はめんどくさい この時間は軍人が多いし、テイマー隊にとって初の隊員だ 目立つ…」

「それは勘弁して欲しいな」

俺はコックピット内のボタンを押し、収納からレトルト食品を出した

緊急時までとっておきたかったが、大勢の軍人の前に行くよりましだ

「お湯は湧かせるか?」

「できるけど、何それ?」

「レトルトカレーだ」

「れ、レトルゥ?美味しいのそれ…」

「美味いぞ、最高の野戦食だ」

急ぎ足でキッチンへ向かう

「沸かしたお湯にパックごと入れるだけ、米も欲しいが生憎持ち合わせがない…」

「こめぇ?…」

「隊長には分からないだろうな」

彼女の顔が不機嫌になるがレトルトカレーのパックを開けると興味津々に近ずいてきた

「何その茶色いの…」

「この茶色が美味い この味を知らないとは悲しいやつだ」

「お皿を用意しろ スープカレーになるがこの際いいだろう」

付け合せがないのが大変勿体ない

「パンとかないのか?」

「あぁ、堅パンならあるわ」

堅パン?フランスパンか?

「よしもってこい」

そして彼女は寝室へ行った

いや普通そこに置いとくか…

「この前買ってから置きっぱなのよね〜 保存効くし大丈夫よ」

まぁいい パンがあるなら十分だ


「よし食おう!」

「お腹空いた〜 早くしよ」

「何もしてないくせに…」

いただきます

俺は手を合わせたが彼女はキョトンとしていた

少し悲しかった

「カレーにパンをつけて食う」

俺はたっぷりとちぎったパンにカレーをつけ食べる

あぁ…うまい

彼女も真似して食べた


「ん!んん? ふぁにこれ!」

飲み込んでから話せよ…

「茶色いのに美味しい!」

俺はこの国にビーフシチューもないのかと思った

「最高ねこれ!あぁ、幸せぇ」

「そうか だがこれは野戦食 数に限りがあるぞ」

「えぇ…」

彼女の笑顔が無くなった

「作り方と材料は知ってるからスパイス次第だな」

「へー、いつか再現しようね」

彼女は子供みたいに笑った

「いつか…か 必ずだ いや他にも美味いもんを俺は知っている この国にあるかもしれないしなければ作る」

「それでいいな?」


「魔族でも良いやつがいるのね」

彼女が嬉しそう言った

「そ、そうだな」

俺が転移者なのはまだ言わないでおこうその方がいい

彼女はご飯を食べ終わるとまた、書類作成を続ける

食器を片付けたあと、Arbiterの元に戻った

はぁ…やっと一日が終わる今までで1番長かったな







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