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捕虜からはじまるゴーレム使いの異世界生活  作者: wurtzite
召された者の行方
2/18

Part2 売り込み


「もしもーし?生きてますかぁ?」

体が急に揺さぶられた


「なんだ…?」

「私、帝国軍テイマー隊所属、ユイと申します〜」

そう話すのは軍服に大量のバックを付けた人物で距離がとても近い とてつもなく元気なやつだ

「離れろ…」


「元気がないねー… お菓子食べる?」

「いらん、離れろ…」

「君が魔族って本当ぉ?テイマー隊にも要請がきてて、従わなかったら強制的に隷属させてもいいって聞いたんだけど…その要請が解除されたんだよねー、残念」

「知らん、離れろ…」

「でもこのゴーレムはすごいよねー、全長50m近くあるみたい これ動かせるのー?」

「今は補給中だ、離れろ…」

「へー、なにが動力源なんだろ?」


大気に含まれるとある元素で動くと聞いたが企業秘密で俺も知らない なんて部外者にいえないし

「空気だ…もういいだろ」


「へー、エコだねー」

「テイマー隊ってさ 新しいものがすきでさ 私もこのゴーレムが気になって気になって、夜も寝らんないから来たの〜」

「今は夜なのか?」

「そーだよー?てか君の名前は?」

「ウル…」

「ウル君ね…それって愛称よね?」

「それでいいだろ、離れろ…」

「なんでよー、今からウル君を使い魔するんだから名前きかないと〜」

「命令は解除されたんだろ…使役するかしないかはお偉方に聞け」


「実はさ〜、私もお偉方でね? テイマー隊のトップなんだけど 私が使役した方が良いと提案したら決定したも同然でね? ね?」


まじか…

こいつは危険だ…


「でも君が使役しないでも結果を残せたら、そのまま軍に編成もできるんだよねー」

「そうか、離れろ…」

「明日ね 性能試験するみたいで私も審査に参加するから よろしく〜♪」


まじか…

銃もナイフもないぞ 格闘で何とかなるのか?

「相手はモンスターか?」


「そうだね モンスターでもいいかな」

「どういうことだ」

「使役している魔族でもいいんだよね だって君は魔族?だし、モンスターは低級すぎて相手にならないでしょw」


まじか…

魔法もある世界で格闘で何とかなるのか



「とりあえずさ、明日の用事は伝えたし 私優しくない? 君のような魔族でこんなに愛想よくて可愛い子いないしさ 褒美ほしいなぁ? 」

「知らん、離れろ…」

よりいっそう彼女が近くに来た


「あした、期待してるよ…」

彼女が耳元で囁いた

「うっ…」

寒気がした…


彼女はコクピットハッチから降り、格納庫の扉を開いて出ていった

隙を見て逃げようと思ったがArbiterを置いていけない


俺はArbiterの兵装とコンディションを確認したあと眠りについた…



6時間後



格納庫の扉が開いた

扉の隙間から朝日が刺し綺麗だ

完全に扉が開いたとき、そとの景色に驚いた

格納庫の外は巨大な軍事基地だった

大きな水晶があちらこちらにありそこには映像が写っていたり、中で炎が燃えていたり、軍服を着た人々が忙しなく動いていた

同じような機体が無かったのには安心したが本の中にいるようなゴーレムが鎮座している場所が見えた ゴーレムの大きさは10mくらいか…

なんて考えていると開いた格納庫の扉の真ん中に王様がいた

「おはよう、少年」

「ウル君と言った方がいいかな?」


朝から見たくない顔だ

「この格納庫は監視されていてね 昨晩は災難だったね…この帝国一頭のおかしい彼女に襲われたからねw」

「そうか、それで今日は何の用だ」

「知らないのかい?今日は試験だ」


あいつの言うとうりか…まいったな

「朝の挨拶は終わりだ…そのゴーレムを動かして外に出たまえ」


生き残るにはやるしかないか…

俺はArbiterを起こした


オハヨウゴザイマス

システムスキャンモード 周囲環境ヲ確認

権限ヲパイロットニ移行


各駆動系ニ問題アリ パーツ交換ヲ推奨


「なぁ、王様よ ゴーレムは不調みたいだ 修理してからの方が…」

と言いかけたところで遮られた

「不調の方がそこから逆算して性能がわかる すでに我が軍の極大魔法を防いでるのは知っている よってどこまで戦えるのかが知りたいだけだ」


やはり今日、試験決行に変更は効かないか…

俺はArbiterを動かした

歩く度にギィィギィと悲鳴をあげる


基地を抜けると 演習場が見えた

王様は浮かんだ板に乗って移動していた

技術力を過小評価しすぎたらしい

元の世界にない技術面では優れている


演習場までに膝を着くことが多々あったが何とかたどり着いた


王様の観覧席から5mほど離れた位置に彼女は座っていた

階級高いって言っておいてその程度か

将軍てのは確かだが王様の近衛って訳じゃない

しかしあの笑みはなんだ 寒気がする


「これより!遠征にて捉えた魔族の試験を行う!」

アナウンスが流れると演習場のあちこちで歓声や拍手が聞こえた

国民に放送されているみたいだ

王様は国民に今回の戦利品を見せているのか

見世物にされてるのは癪だが、使役されたくないし死なない程度に頑張るか

「まずは、ゴーレム五体の投入です!」


奥の扉が開いて10mのゴーレムが出てきた

「小さい…」

俺はArbiterを前進させ、勢いをつけ五体を連続で蹴り飛ばす

ゴーレムは壁に叩きつけられた粉々になった


ゴーレムを潰す度、歓声と拍手が起こる

「ゴーレムでは歯が立たなかった様子! 続いては魔族三兄弟の登場です!」

ゴーレムが出てきた扉から2mくらいの人間?が3人出てきた

3人は剣や槍をもっており軽装、囚人服のようだ


「兄やん、こいつ話に聞いていたよりでかいぞ!」

「兄弟、大丈夫だ でかいってことは遅いのよ」

「そうか、しかも弱ってるて聞いたしな!」

「おうよ、こいつを倒して王様に認めさせるのよ」

「俺ら三兄弟が最強ってな!」

「いくぞぉ!!!」×3


3人が別れて襲ってくる 火の魔法を使ってるのか火球を当てられて視界が悪い

「くっそ、こいつらやるな 攻撃は痛くないが動き回って、めんどくさい」


ひとりが駆動系目掛けて飛んできた

「その腕もらいーーー!!」

腕まで飛ぶとか跳躍力すごすぎだろ

そして駆動系に槍を刺すが、Arbiterの腕を曲げたらモーターに巻き込んでしまった


げ、潰れた…

腕の挙動がおかしくなるが構わず地面のふたりへ横凪に攻撃

ひとりは回避したが遅れたやつは拳に叩かれひしゃげた

「あにじゃーーー!!!」

「貴様、よくも兄弟ぉぉぉ」

捨て身で飛び込む魔族は捉えやすく 左ストレートを叩き込んだ


最後の魔族は王様の観覧席近くに飛んでいき、将軍の1人に直撃

即死だった

王様はそれをみて笑った


「イカレ野郎が…」

内心俺の首が飛んだかと思ったが大丈夫そう


「トラブルがありましたが、続いてこの方 魔王軍第4部隊将軍 グリーィィィ!!!」


はぁ、将軍?まじ?

扉の奥から、40mほどの巨人が現れた

頭には角があり三つ目を持っている

背中の翼はちぎられていて逃げれないようだ


ガァァァァ!!!!!

やつが叫び コクピット内の操縦棍が震えた


「殿下!!グリーを出すなんて聞いておりませぬぞ!!」

「私は退席させていただく!」

観覧席の方がざわついており席を立つものが大勢いた


それだけこいつを捕えるのに苦労したってことか

なら、こいつをぶつけてくるってことはどちらを残すのか決める意味もあるんだろうか…

帝国にこいつ以上の魔物を有してるかは分からないけど見た目的に物理系の敵か


なんて考えているとグリーの目が光りレーザーが照射された


「こいつこんななりして遠距離もか!!」

グリーはレーザーを吐きながら前進してくる


「部分シールド展開 射線を予測 低コストで起動する」


了解 シールド展開


グリーは自分のレーザーが無効化されるのをみて驚きつつも前進し腕を振り下ろす


俺は回避運動をし、右アッパーを入れる

グリーの顎に決まるが、こちらの拳が壊れた

「硬すぎだろ!!」

グリーがにやりと笑い 右ストレートを放つ

上半身をひねり回避しその勢いで蹴る

スネに入るがグリーはビクともしない

50mの巨体の攻撃をグリーは受け止める

グリーが更に笑い 拳の連打を撃つ

それをシールドで受け止めながら後退した


「なんでだ、攻撃が通らない」

攻撃ノ直撃時 反発力ヲ確認

モニターに文字が映る


そうか、魔法が存在するなら身体強化も魔法でできるってことか…

魔法か断言出来るのかは知らないがこのまま攻撃するのは良くない


提案 攻撃直撃前ニシールドヲ展開 保護シタ状態デノ行動ニヨリ 破壊ヲ防グ


「そうだな、それで行こう」


グリーが詰めてくる

そして殴るモーションに入った時 機体をかがめてカウンター姿勢に入る

右アッパーを決める前 拳に三重のシールドを付与しそれにアレンジでシールドの回転を加えた

グリーの殴りを避け 顎に拳をねじ込む

拳が顎に入り壊れた破片が刺さった

そのままの勢いでグリーの顎をちぎった


「アギャァァァ!!!」

グリーが悶絶する

「なかの肉までは強化できないみたいだな!」

さながらドリルのような攻撃だった

グリーは出血しており弱っている

しかしまだ腕はこちらを向いており闘志は消えなかった


「まだやるのか」

「次で堕とす…」

グリーは頭を守りながら前進する

両者の拳がぶつかり合い血しぶきがあがる

観客は喜び 歓声が絶えない


右左右左 右アッパー 左ストレート

巨人同士の殴り合いが繰り広げられる

俺はグリーの怯みをみてタックルを入れた

「堕ちろよ クソ野郎!!!」

タックルからグリーを持ち上げ頭から落とす

グリーが逆さになりながら足で回し蹴りしたのを体を曲げ回避

起き上がりざまにドリルパンチを入れる

それをもろにくらったグリーの腹に更に力をいれねじ込む 肉質が柔らかくなったのを感じ、拳を開き内蔵を掴んで引きちぎった

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

グリーが血を吐きつつ叫び 倒れた

こちらが機械ではなかったら同じように倒れた可能性が高い… Arbiterは満身創痍だ


「そ、それまで!!!!」

アナウンスが響く

遠く離れた王様が笑顔のまま退席した

彼女は最後まで席を立たなかった…






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