Part1 change world
「チームAlpha突撃!!!」
隊長の号令がチーム各機に響く
我々は本隊の追撃部隊の阻止のため殿である
「ちきしょう…ちきしょぅ…」
チームの新人が嘆く、彼の初陣は今日なのだ
「少し間引いたあとは逃げちまえばいいのさ!」
隊長が励ますが物量差で押されているため逃げる時間はない
チーム皆が生き残れないのを察している
しかし希望を持たなければやっていけないのだった
「残弾はいくつだ?」
「あと3マガジンしかない」
「同じく」
隊長機付近の仲間が答える
本隊の撤退に敵のEMPによって通信が有線になっている
「俺は逃げるぜ!」
「まて、今逃げても遅いぞ」
「俺の運は1番なんだよw」
ひとりが自動戦闘モードにして自分は脱出するようだ
バシュッ
脱出ポッドが飛んでいく、それと同時に自動戦闘モードの機体が突撃した
ポッドは弾幕に晒されつつ後方に飛んで行った
突撃した機体が敵を一機潰した
「パイロット雑魚すぎw」
「うちらは最強だけどね〜♪」
姉妹の2人が続いて敵を撃破する
「隊長、あとで付き合ってよね」
「生きていたらの話だ…」
俺はチームAlphaを横目に見ていた
俺のチームは壊滅し残るは俺1人だった
本隊について行っても良かったが仲間と一緒に消えたかった
チームAlphaは全員で500機いる部隊だ
俺1人増えても気づかないさ
モニターに大量の敵が見える、俺はひとつずつ片付けた
機体エネルギーを敵機から奪いながら、騙し騙し戦う
弾は底つき、ナイフも折れた
敵機のカメラを殴り、銃弾は出力を下げたシールドで防ぐ
「死ねぇー!!」
叫びをあげ前に進む、銃弾で装甲が剥がれる中進む
ひたすら前に進み道を開ける
チームAlphaの声はもう聞こえない
通信システムが内部から壊れたのかもしれない
数分かたったころ
システムから警告音がした
上空ニ熱源反応アリ…脅威度100
俺がカメラを上に操作すると落下するミサイルが見えた
それと同時にミッションクリアの表示がモニターにでた
「逃げ切ったか…」
俺は操縦棍をはなし、機体を停止させた
周りの敵も同じ動作をしていた
システムが警告音を発しながら
パイロットノ保護ヲ最優先と繰り返している
「今更、出力全開にしたって間に合わないよ…」
俺は最後の時まで目を瞑って待った
同時刻 帝都西部大平原爆心地
「砲撃は成功ですかな?」
「ええ、魔法部隊の極大魔法によって魔物は鎮圧しました」
バサッ
司令部のテントが荒々しく捲られた
「報告!! 爆心地中心にて新たな魔物が出現!見たことない形状のゴーレムであります!」
「なんだと!砲撃を防ぎきっているとは…」
「再度、極大魔法の充填を急げ!砲撃を避けた以上これ以上の打撃は与えれんとみた!足を重点的に狙い移動させるな!」
「は!」
伝令を受けた兵士が走って攻撃隊長に伝える
「了解した、刺突魔法をやつの足元に入れつつ充填 時間を稼げ」
「地上戦力は戦線から離れ待機せよ!」
ビービー パイロットノ意識不明
パイロット保護ヲ最優先 回避行動ヲ開始シマス
熱源反応多数 脅威度50〜80 シールド展開
大気解析 エネルギー元素確認 緊急補給開始
「やつが動き出したぞ、詠唱を早めろ 攻撃開始!」
多数の光の矢がゴーレムに降り注ぐ
ビービー被弾、被弾
シールド効果ナシ 出力低下ガ原因ト判断
回避ニ全エネルギー集中
熱源反応更ニ増大 回避困難ト判断 パイロット保護ヲ最優先
熱源反応破壊ヲ推奨
ゴーレムが平原を疾走する
風圧で周囲の草が潰れていく
「なんという速さだ、あのままでは死角に入られる!」
「陣地に来る前にやつに叩き込む!充填率は!?」
「現在、60%!」
「仕方ない、秒読み開始!」
3
2
1
ビービー熱源反応危険値 脅威度100
到達予想……破壊不能 シールド全開…シールド全…
巨大なエネルギー波がゴーレムにあたるゴーレムは踏ん張ったがシールドが切れた直後に宙に浮き地面に叩きつけられた
「どうなった?」
攻撃隊長が鏡を覗く隊員に声をかけた
「てっ敵影確認…ゴーレム消滅せず…」
「なんだと!?」
「2発目の砲撃でも消えぬか…」
「ですが機能は停止した様子 微動だにせず」
司令部に伝令が入る
「報告!ゴーレムは2度の砲撃を耐え、停止したものの消滅せず!」
「殿下、どうなさいますか?脅威は去りましたが…」
「俄然興味が湧いたぞ、そのゴーレム回収せよ」
「殿下!?正気ですか?」
「このまま放置するよりよかろう?捉えて、我が帝都のテイマーにでも預ければ良い土産となる…フフッ」
「殿下がそういうのなら……ゴーレムを捉えよ、目覚めさせぬように拘束魔法を絶やすな!」
「了解しました!早速準備します!」
伝令が勢いよく飛び出した
機能停止から2週間後
ビービーパイロットノ栄養状態悪化 周囲状況ヲ確認
脅威度5 捕虜協定に基ヅキ ハッチ解放シマス
搭載兵器即応モード パイロットニ危険アレバ攻撃開始
誰かが近くにいる
人間の声が聞こえる…俺はゆっくりと目を開けた
俺は周囲を見て驚いた
周りには女ばかりで傷を見ているようだった…
だがここは病室などではなく、折りたたまれたモニターが近くにあった 俺は捕虜になったのだと確信した
モニターがあるということは俺の愛機がまだ現存している
望みはまだある、生き残ったのだから…
ビービーパイロットノ意識確認
周囲環境の脅威度ヲ見直シ 脅威度1
「パイロットの意識を確認 これ以上の手当は最低限に 我々は生きることを優先する」
AIが発言した
「おはよう ゴーレムを操る魔族よ」
「貴様は我が帝国の捕虜として戦ってもらいたい」
多くの装飾をつけた偉そうなやつが話す
「生きたいのなら、我々に手を貸すことだ…歯向かうならテイマーに頼んで人形にするがな、フヒッ」
下品な笑みを浮かべるやつだ
俺が戦ってた相手の大将はこいつか…気持ち悪い
「まずは食事をし体力を取り戻せ、これほど大きなゴーレムを任されていたのだ 階級の高い魔族なのだろう?」
魔族、魔族とうるさいヤツだ…俺はパイロットだが軍曹どまりだ
そんなふうに思っているとモニターが展開しメッセージが表示された
周囲環境ヲ調査 結果 技術力300年前程度 文献ニ該当無シ
周囲ノ文字解読不可
データ該当ノ無イ兵器(文献データ参照 魔法ト仮定)ノ使用確認
俺はそれを見て驚愕した 技術力は各国それぞれでとても遅れている国もあったが3世紀前のはさすがにない
ましてや魔法など空想のものだった
別の世界に来たのか? まだ確証は持てない 新手の洗脳かもしれないし警戒は緩めない方がいい
「そろそろ、君の返事が聞きたいなぁ?」
やつが近ずきながら言う
「来るな…」
俺は銃を向け言う
「可愛い声をしているねぇ…それとこちらは君を保護する予定なんだ 殺させないでくれたまえ」
「殿下、遊びは終わりにしましょう やつは来るべきまで幽閉で良いでしょう。 ましてや明日は会議の日、遊んでいる場合ではありません」
「しかたないなぁ 貴様はそこで大人しくしていろ 食事は出してやるぞ 本当は尋問もしたいがそのゴーレムが厄介だ」
「面倒ごとはおこすなよ?」
そう言いつつ、殿下一行と医療チームは出ていった
第7格納庫といったか?格納庫ではなくゴミ溜めにしか見えない
エネルギー補給ノ為 機能最小限デ待機シマス
モニターにはそう表示された
俺の周囲は静かになった
「はぁ…Arbiterが動かないと格納庫の扉も開けれん…」
今が何時かもわからない 食事が来た時間をみて確認したいが来る気配もなし 退屈は嫌いだ
俺は銃の手入れを始めた
たぶん仲間はミサイルが来る前に死んでいただろう
どうして俺が生き残ったのか…ただそれが疑問に残る
手入れを一通り終えた頃、飯が届いた
それは俺の目の前の空間が歪み、出てきた
「な、なんだこれは、飯が宙に浮いてる」
「食わぬなら戻すぞ…」
飯が話した… いや正確には飯を持ってるやつだが
「い、いただきます」
「よかろう…」
俺が飯をとると空間の歪みは消えた
飯は、味パンとジャム ソーセージとトマト それとスープでどれも平凡な味がした
捕虜飯ってこんなものか…
献立的に朝か昼かの気がするがいつも同じであれば結局分からない
俺は寝ることにした
戦争から解放されたこともあり少し安心していた