暗黒の顔
キジヌ達は街はずれの病院に来ていた。病院は明かりが点いてなく、閉まっていた。
キジヌとグランマはドアを破壊し中へと侵入した。
スリーとアビゲイルは外で待機していた。
中は暗かったので二人はライトを点けた。
中は鉄の匂いが漂っていた。奥に進むと診察室に辿り着いた。
中には三人の男が居た。一人は立ち、二人は椅子に座っていた。
「ようやくここに辿り着いたみたいだね」
椅子に座った男が口を開いた。その声に聞き覚えがあった。キジヌは奥歯を噛んだ。
「ロンバート氏、やはり貴方が絡んでいましたか」
「その通り。今回の事件の黒幕は私だ。医者を仲介して『光の剣に』君たちを襲撃させたのも私だよ」
「貴方は『ダークマター』なのですか?」
「そうさ、私が『ダークマター』のCEOだよ。驚いたかね?」
キジヌとグランマは声が出なかった。その存在すら見つけることが難しい『ダークマター』の、それも最高責任者が眼前に現れたのだ驚くのも無理はなかった。
「何故、何故貴方がわざわざ我々の眼前に現れる?捕まるリスクを犯してまで何故?」
「さあ、何故だろうね、なんとなく君たちの事が気になったのだよ。何故かは私にも分らないんだ。まるで神に促される様に君たちが気になったのだよ」
「……ドクターはどうした」
「彼は隣に座っているよ」
キジヌはロンバートが指す方を向いた。
ライトを当てるとそこには首から血を流した医者が椅子に座っ
ていた。鉄の匂いは彼の血の匂いだった。キジヌは眉根を歪めた。
「殺したのか」
「彼は用済みだったからね」
そこにスリーが入って来た。スリーはいやに冷静だった。
「ロンバートが『ダークマター』のCEO何だって?」
ロンバートがスリーを出迎えるように手を広げ答えた。
「やあ、スリー!君には一つ聞きたい事があったのだよ」
「……何だよ」
「君は何故体を再生しないのかい?現代の再生医療なら、死んでない限りは体を治せるはずだ。だが君は何故かサイボーグの道を選んだ。それはなぜかね?」
「……お前に答える義理はねえ。もう喋るな、黙ってろ」
スリーは右腕を上げてロケット砲をロンバートに放った。が、それをダンテスが掴んで止めた。
「始まりってことで良いんかな」
ダンテスはロケット弾をグランマに投げつけ、一足で跳躍しキジヌを蹴り飛ばした。
キジヌの体は壁をぶち抜き、屋外に飛び出した。
ダンテスはキジヌを追いかけて行った。
グランマはロケット弾の信管を抜いて地面に置いた。
スリーはロンバートに駆け寄り、襟をつかんだ。襟を掴まれたままでロンバートは言った。
「安心したまえ。私は戦闘能力はないよ」
「関係あるか、眠ってろ」
スリーは手のひらから放電した。ロンバートは仰け反り気絶した。
グランマは外に出た。キジヌとダンテスが空中で殴りあっていた。
「君は何故宙に浮いていられるのかね」
拳を放ちながらキジヌは言った。ダンテスは笑って答えた。
「昔からなんでも掴めてねえ、空中もレンキも掴めちまうのさ」
ダンテスは蹴りを放ちながら答えた。
キジヌはダンテスの足を掴み膝を折ろうとしたが、ダンテスに襟首を掴まれ投げ飛ばされた。
キジヌは地面に叩きつけられた。
そこにダンテスが飛び降りて、キジヌの腹に膝を叩き込んだ。
キジヌの体は九の字に折れ曲がった。グランマがダンテスに正拳を放ったが、ダンテスは跳躍しそれを回避した。
「キジヌ、大丈夫かい」
「済まない、相手はかなり手強いぞ」
「二体一かあ、それも良いねぇ」
ダンテスは手をぶらりと揺らしながら距離を詰めてきた。
そしてキジヌとグランマの拳を両方受け止め、宙に放った。
投げ飛ばされながらグランマは拳を放ったが、回避され腹に蹴りを食らって吹き飛ばされた。
キジヌはレンキの帯を形成し、ダンテスの左腕に絡めた。
そしてダンテスを投げた。ダンテスは宙を蹴り、体制を整えキジヌに蹴りを放った。
キジヌはその蹴りを回避し、また帯を絡めた。
キジヌはダンテスを振り回した。そこにグランマの拳が飛んできた。
ダンテスはそれを脇腹にもろに食らった。ダンテスの肋骨が砕けた感触をグランマは感じた。
キジヌはそのままダンテスを宙に放った。
ダンテスは開いた手で空中を掴んで落下を止めたが、キジヌとグランマの拳を両側頭部に食らい気絶し、そのまま地面に落ちた。キジヌはダンテスの体をレンキの帯で両手足をグルグル巻きにした。
キジヌは警察に連絡を入れた。警察は直ぐに来た。こうして『ダークマター』のCEOとそのエージェントは、警察の手によって連行されていった。




