『光の剣』と黒幕
スリーの元にグランマから体内通信が届いた。
怪物の一体がこちらに向かっているらしいとの事だった。
スリーはその旨をロンバートに伝えた。すると酒瓶を持った男が動いた。
「どれ、俺も仕事するかねえ」
「あんた一人で大丈夫なのか」
「だてにボディーガードをやってないさあ。安心して待ってなあ」
「怪物は脳を破壊しないと止まらないらしい。気を付けてくれよ」
「アドバイスをくれるとはありがたいねえ。それじゃ行ってくるかい」
ダンテスは酒瓶を置いて外に出た。
グランマからの情報通り、怪物はまっすぐこちらに向かっていた。
ダンテスは構えることなく佇んだ。怪物は二十本の触手をダンテスに振るった。
二十本の触手は一瞬で一つに束ねられた。
「悪いことはいけないねえお仕置きが必要だなあ」
ダンテスは掴んだ触手を振り回し怪物の体を地面に叩き付けた。
そして怪物の脳を踏みつぶした。怪物は痙攣し、直ぐに動かなくなった。
「おおい、終わったぞう」
ダンテスはスリー達に声を掛けた。病院の扉からスリーが出てきた。
「ボスとグランマも終わったらしい。しかしあんたもすげーな。素手でやったのか?」
「武器を持ち込めない所にも行ったりするからねえ。基本は素手さあ。どうやら全部片付いた」みたいふだなあ」
そう言ってるとグランマとキジヌが戻ってきた。
「こちらは無事らしいな」
「何はともあれさね。後は警察に任せるに限るね」
二人とも怪物の粘液塗れだった。
二人は医者からタオルを受け取り体を拭った。
その後警察から事情聴取を受けた。事情聴取はすぐに終わった。
キジヌ達はロンバートから進められて、紅茶を一杯飲んだ。
そしてロンバート達と別れた。
「さてこれからどうするか」
グレートジェントルマン号のブリッジでキジヌ達は作戦を考えていた。
これから先、仕事をするたびに『光の剣』に妨害されるのは面倒だった。
なので情報屋のロンリースミスに彼らの拠点を聞いていた。
情報は直ぐに舞い込んだ。
情報がすぐに入り込んだことにスリーは眉根を歪めた。
「あいつら『光の剣』のアジトは今までどの領域の警察にも見つからなかったんだろ?急に見つかるのは都合がよすぎねえか」
「都合よく考えれば内部分裂か、そんなあたりだろう。違うとしたら、罠かもしれないな」
「それでも行くしかないさね」
スリーの懸念は保留として、キジヌ達は『光の剣』に襲撃することとした。
なんと意外な事に彼らの拠点は惑星ジェスタにあったのだ。
キジヌ達は準備をと整え襲撃に向かった。
惑星ジェスタの街はずれ。
山の奥に『光の剣』の本拠地があった。
キジヌ達の作戦は単純だった。
正面突破。もはや一人も逃すつもりは無かった。
いつぞやの城を落とした時の様に、キジヌとグランマは先行し、見張りを一人一人片づけていった。
スリーとアビゲイルは戦闘装甲服に身を包み待機し、通信一つで動けるようにしていた。
キジヌとグランマは奥の方へ進んでいった。
キジヌ達は奥に銅像の鎮座した大きな部屋へと辿り着いた。
そこには五人の男女がいた。
男達の一人、『光の剣』の紋章が入ったローブを纏った男がこちらに気付いた。
「今日はお客人はいないはずだったが、私の思い違いかな?」
男の隣の派手な服装の女は爪を弄っていた。
「今日はお客は無いでーす。つまりあいつらはここに乗り込んできた敵の可能性が高いでーす」
女の隣、ボロボロローブの男が言った。
「見張りを見なのしちまったってことですかい?そいつは厄介ですな」
「そもそもどうやってこの場所を特定したんですかねー。もしかして『医者』がリークでもしたんですかねー」
男達の会話にキジヌは割って入った。
「その口ぶりだと君達は『光の剣』のメインメンバーという事で良いのかね」
キジヌの問いにローブの男は答えた。
「その通り、私が教主のウィルヘルムです。貴方方は新たな教徒という訳では無さそうですね」
「私はキジヌ=サルモモール。散々ちょっかいを出していたのだ。知らないとは言うまい?」
「ああ、貴方でしたか。白騎士殿を殺した輩ですね」
「……白騎士と君たちに何の関係があるのかね?」
「我々が彼の活動を支援していたのですよ。しかし彼は貴方手に掛けられた。残念な事です」
「最近我々にちょっかいをかけていたのはそれが理由かね?」
「その通りです。ついに自らの手で彼の仇が討てる。しかし、我らの拠点場所の情報の出どころは気になりますね。貴方達をのして聞くとしましょうか」
「こちらもあの生物の出処を聞こうとしようか」
その言葉が引き金となった。キジヌとグランマは一瞬で五人の後三人を倒した。
残ったのは派手な服装の女と、教主の男だけとなった。
派手な服装の女は爪を伸ばしてグランマに斬りかかった。
グランマはそれを正面から拳で受け止め砕いた。
そしてそのまま女の顔面を殴りつけた。
女は鼻腔から血を吹き出しながら倒れた。
教主はそれに目もくれず光の剣を形成した。
そしてキジヌに対し正眼で構えた。キジヌの手刀を刃で弾き、首めがけて刃を振り下ろした。
キジヌはそれを腕で受け止め、弾かれた拳で教主の頬を殴った。
教主の体は紙人形の様に吹き飛び、銅像にぶつかり止まった。
キジヌは気絶した教主に近づき気合いを入れて意識を回復させた。
「さあ、あの生物の出処を教えて貰おうか」
「ひっひ、言いますからゆるぢて下さい。あれは『ダークマター』から買ったモノなのです」
「『ダークマター』だと?一体どうやって?」
「それは私も分かりません。仲介屋から受け取っていたので分からないんです」
キジヌは教主の襟をさらに締め上げた。
「さっき『医者』と言っていたがそれは誰かね?」
「街はずれの病院の医者ですぅ。そいつから怪物の元を買っていたんですぅ」
キジヌは襟を離した。教主は崩れ落ちて嗚咽を漏らした。
グランマが近づいてきた。
「何か情報は吐いたかい」
「病院に戻ろう。黒幕はあそこの医者だ」




