テロの始まり
惑星ジェスタ。緑豊かな惑星ではあるが人口も多いのが特徴である。
特に都市部はかなり開発が進んでいて巨大なビルが立ち並ぶ国もあるくらいである。
キジヌ達は街に出ていた。ロンバートの目的地が街の中にあったからである。
街に付くと五人でぞろぞろと歩みを進めた。
ロンバートの目的地は街外れの小さな病院だった。
ロンバートはキジヌ達を病院の待合室に待たせて、医者と共に奥へと進んでいった。
この手の護衛依頼では依頼主が何をしているのかを詳しく聞くのはご法度だった。
暫くすると奥からロンバートが手ぶらで出てきた。事は終わったらしい。
キジヌがロンバートに帰りはどうするか聞くと、病院にとどまりボディーガードを待つとの事だった。
キジヌ達はそれまで護衛を継続しようかと打診したが、ロンバートは首を横に振った。
その時であった。病院に一人の筋骨隆々の男が現れた。
男はくたびれた紳士服に身を包み酒瓶を持っていた。男は酒をグイっとあおった。
「何だあ、随分大所帯じゃないの」
一番最初に反応したのはロンバートだった。
「ダンテス!君はまた酒を飲んでいるのか」
その声には呆れた色がついていた。そんなことはお構いなく、
ダンテスと呼ばれた男は酒をグビりと飲んだ。
「いいじゃねえか。どうせ酔わねえんだ」
「体裁というものがあるだろう!全く君という男はいつも……」
「おっとお、説教はごめんだあ、そっちのにーちゃんねーちゃんは誰なんでい?」
「君の代わりに護衛を務めてくれた方々だよ」
キジヌが腰を上げた。
「それでは彼が貴方のボディーガードなのですか」
「ええ、彼がいつも私の身を守っているのです。たまに別件で駆り出されるのですが」
ロンバートは恐縮した様子で髭を撫でた。スリーが椅子から飛び上がりダンテスに疑問をぶつけた。
「酔わねえなら酒の無意味あんのか?」
「雰囲気が大事なのよ。あと味が好きってのもあるなあ」
「そういうもんかよ」
スリーはあきれ顔だった。
「で、ボディーガードが来たんだ。俺たちの仕事は終わりか?」
ロンバートは優しく微笑んでスリーの方を向いた。
「うむ、ダンテスとも合流したので依頼は達成だ。こちらが報酬である。」
そう言うとロンバートは胸元から封筒を出した。それをスリーは受け取り中身を確認した。中身は百万ダールだった。
「二十万程多いぜ?」
「君たちとの旅はすごく楽しかった。だから少し色を付けたのだが迷惑だったかね?」
「いや、多いに越したことはねえけどよ、本当にいいのかよ?」
「構わないさ。それにどうかね?君たちも専属のボディーガードにならないかい?」
ロンバートの言葉にダンテスは苦笑いを浮かべた。
「いつもの悪い癖が出たな。こいつは気に入った相手には甘々になるんだあ。適当に流していいぞお」
キジヌは立ち上がり帽子を被りなおした。
「ロンバート氏の言葉は魅力的ではありますが、我々はあくまでも賞金稼ぎです。残念ながらロンバート氏のお誘いには乗ることが出来ません」
「そうかね、それはとても残念だ」
ロンバートの言葉には深い悲しみがあった。何処までも感情的な人なのだとキジヌは感じた。別れの時
は近かった。
「それでは我々はこれで……」
そう言いかけた時だった。外から轟音が聞こえてきた。
キジヌ達は病院の外に駆けだした。そこには超長距離ワープ港で見た怪物が二体現れていた。
キジヌとグランマはそれぞれに近づき、怪物の脳を破壊した。
しかし怪物はそれだけでは無かった。軟体の巨大生物は町中に現れていた。
「これは大変なことさね」
「ああ、いくら何でもやりすぎだ。アビーとスリーは警察に連絡を入れてここで待機していてくれ」
「了解。俺らじゃ対処できないからな。気を付けて行ってくれ」
スリーとアビゲイルはキジヌ達を見送った。
キジヌとグランマは二手に分かれて怪物たちを追った。
町中を駆けていると、幼子を抱えた女性が襲われているのが見えたキジヌは跳躍し、怪物を破砕した。キジヌは女に手を差し伸べた。
「大丈夫ですかな」
「はい大丈夫です。怪物が急に来て――」
女はキジヌの手を取ると同時に首元目掛けてナイフを振るった。
が、キジヌは刃を素手で受け止めていた。
「……これはどういう事かね?」
「キジヌ=サルモモール!『光の剣』だと言えばわかるか。」
よく見ると幼子は人形だった。
「君たちにここまでして狙われる理由が知りたいね」
「お前たちの仕事で我々に不利益を生み出した。だから貴様らは殺す!」
「穏便ではないな。それでは貴方にはグルグル巻きになっていてもらおう」
そう言うとキジヌはレンキの縄で女を縛りあげた。
「ダメもとで聞くが怪物は何体いるのかね?」
「答える必要はない!さっさと死ね」
キジヌは振り向くと軽く手を上げ答えた。
そして怪物を処理するために再び駆け出した。
「この辺りはこんなものかね」
怪物を三体ほど倒し、グランマは一人呟いた。
ほかにも怪物はいないかと建物の上に駆け上がると一人の男と出会った。
男は腰に剣を下げていた。
「あんたはどっちの人間だい?良いもんか悪もんか」
「我々は正義の使者だ。メイガン=フェイ。ここで死んでもらうぞ」
「何だ悪もんかい。おまけに随分調べているね。個人情報垂れ流しかい」
「無駄話は無用。参るぞ!」
男は地面をけりグランマに近づき、剣を抜いた。
グランマは剣を砕こうとしたが、途中でやめて男の剣を持った腕の骨を粉砕した。
剣には男の能力なのだろう。電気が走っていた。
男は距離を取ろうと後方に跳躍したが、グランマはそれを許さなかった。
手刀を男の喉に水平に叩き込み、動きを止めた。
「さて、あんた等は何モノだい」
グランマの言葉に男は答え無かった。というよりも答えることが出来なかった。
先ほどの手刀で喉を潰されていたのだ。
しょうがないのでグランマは男の後頭部を素早く打ち抜き、気絶させた。
「さて、まだいるのかね」
グランマは高台から街を除いた。怪物は残り二体程度だった。
一体はキジヌが向かっていた。もう一体はスリー達のいる病院に向かっていた。




