海賊たちとの戦い
それからグレートジェントルマン号は超長距離ワープ航行を終えて、七宝帝帝国領域内アルファ銀河にたどり着いた。惑星ジェスタまでは目と鼻の先だった。
しかし問題が起きた。宇宙海賊が現れたのだ。相手の艦数は一隻だったが、戦艦を改造した巨大な艦だった。
帆と艦の横に髑髏のマークがついていた。
「バレルかね」
「バレルさね」
「バレルだろ」
「バレルでしょうネ」
「バレルとは?」
ロンバートの純粋な疑問にスリーが答えた。
「艦の主砲にうちのボスを詰めて発射するんだよ。で敵艦の内部でボスが大暴れするのさ」
「何と、キジヌ氏はもしかして星越者なのですか?」
「その通り。だから安心してて良いぜ」
キジヌはブリッジを出て主砲の元に向かった。
そして準備を終えた。体内通信でアビゲイルにその旨を伝えた。
『それじゃカウントを始めますネ。三、二、一、発射!』
キジヌは主砲から放たれた。そして直ぐに着弾した。
艦内は一瞬静寂に包まれたが、防穴剤の噴出と共に直ぐに警報が鳴り響き、慌ただしくなった。
キジヌの目的はブリッジの制圧だった。ブリッジの位置は大抵艦上部のあるものだ。
故にキジヌは跳躍し天井を破壊して進んだ。
天井を抜けてブリッジの位置を確認すると光の様に駆け抜けブリッジに飛び込んだ。
ブリッジには船長らしきコートと帽子を纏った大男が、中央の座席に座っていた。
操縦士がレーザーガンを即座に撃ってきたが、キジヌは回避し操縦士のこめかみを打ち抜き気絶させた。ブリッジには残り八人いた。キジヌは光のごとく駆け抜き船長以外の七人を即座に気絶させた。
先の事件で体を失い、レンキの体になったキジヌの素早さは、格段に上がっていた。
船長を残したのは依頼人が居るかどうかを確認する為だった。
船長は椅子から立ち上がり、右手でサーベルを抜き、レンキを纏わせた。
が、直ぐに手首の骨を折られてサーベルを落とした。
船長は残った左手でレーザーガンを抜いたがこちらも直ぐにはたき落された。
船長の襟首鵜を掴みキジヌは船長を持ち上げた。
「何故うちの艦を襲撃したのかね?」
「何故もクソもねえ。縄張りに得物が来たから襲撃しただけだ」
キジヌは更に締め上げた。船長は直ぐに折れた。
「テロリストの奴らだ!『光の剣』っていうやつらからお前らの船を襲うように言われたんだよ!それ以外は何もしらねえよ!」
十分な情報を得た。キジヌは船長の側頭部を殴り気絶させた。
『光の剣』といえば超長距離ワープ港でのテロを行った集団だった。
つまり狙われているのはキジヌ達かロンバートのいずれかだった。
だがキジヌ達にもテロリストに襲われる覚えはある。
こなした依頼が彼らの不利益になる場合がいくつもあるからだ。
しかしキジヌ達がターゲットとは限らない。
艦に戻ったらロンバートにも聞いてみる必要があるとキジヌは考えた。
が、とりあえずは海賊の無力化に努める必要があった。
倒したのはまだ八人。艦の規模から、艦内にはその五、六倍はいることが予測された。
とりあえずキジヌは艦内を駆け巡ることにした。
「……『光の剣』ですか?」
戦艦を鎮圧した後キジヌはロンバートに『光の剣』に関して問いただしていた。
「確かに彼ら恨まれるようなことはしたことがあります。彼らの敵対している軍に技術提供したりなどはありました。なので彼らに狙われていても何らおかしくはないでしょう」
「あんた技術者だったのか」
椅子に座りくるくる回りながらスリーが割って入った。
「ええ、基本は生物の研求していますよ。今回も目辛しい生物が見つかったので成果を報告に行くところだったのです」
「生物学者なのに軍に技術提供を?」
「私の研究していた生物の分泌液が人体を一時的に強化するモノだったのです。私は余り乗り気ではなかったのですが、半ば強引に研究成果を接収されてしまったのです。それで軍の歩兵は強化され、『光の剣』に甚大な被害を及ぼしたと聞いています。それで目を付けられたのかもしれません」
「なるほどそれで普段はボディーガードを」
「その通りです。今回は皆さんを巻き込んでしまった」
「いえ、我々も彼らから狙われる理由はいくらでもあります。あまりお気になさらないで下さい」
キジヌはそう言うと顎に手を当てた。
「当座は『光の剣』からの妨害されること前提で動こう。外出する際は基本は二人一組で行動することとしよう」
基本的な作戦は出来た。だが問題は狙われているのがロンバートの場合だった。
テロリストが様々な攻撃を用意していることを想像できた。
生物によるテロ攻撃、海賊による襲撃。今までの『光の剣』達の攻撃を思い出していた時、キジヌはあることに引っ掛かった。
「そういえば依頼を受ける前にも、怪物による襲撃を受けていたな」
スリーが椅子を回転させてキジヌの方へ向いた。
「まさかあれも『光の剣』の仕業か?」
「……その可能性はある。もしかすると奴らの狙いはロンバート氏ではなく我々なのかもしれない」
「そうなるとロンバートさんの護衛にも影響が出ますネ」
ロンバートは髭を撫でた。
「安心してください。たとえそうだとしても依頼の取り消しは致しませんよ。それに目的地はもうすぐそこです。私は貴方たちと共に仕事を完遂したいのです」
「かなりの危険を伴います。それでもよろしいですか?」
「もとより危険は承知。最後までお願いしますよ」
「……分かりました。私たちは今まで以上にあなたを守りますそれでよろしいですね?」
ロンバートは力強く頷いた。グレートジェントルマン号は惑星ジェスタへと進んだ。




