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宇宙の紳士と宇宙人  作者: えいちふみふさ
暗黒の顔
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虹色の門

 アルメイダ帝国。

七宝帝帝国領域の最大七国の内の一つであり、グランマとキジヌの故郷でもある。

最大七国の中でも強い力を持ち同じ最大七国の一つソリアート連邦と度々敵対している国である。

そのアルメイダ帝国の所有する超長距離ワープ港。

様々な船が来航するこの港にキジヌ達のグレートジェントルマン号も接舷していた。

 キジヌは超長距離ワープを使うために手続きに来ていた。

窓口でチケットを買っている最中にそれは起こった。

突然怪物が現れ、そこら中を破壊して暴れていた。

キジヌはレンキを纏い怪物に対峙した。

怪物は半透明で脳や臓器が透けて見えていた。

そして特筆すべきは二十本の触手であった。

一本一本が鞭の様にしなり、当たるもの全てを傷つけていた。

そしてキジヌはこの怪物に身覚えがあった。

大きさはこちらの方が小さかったが、グレートジェントルマン号を襲った怪物と姿が似ていたのだ。

キジヌはレンキで脚力を強化し、一気に距離を詰めた。

怪物もキジヌを敵と認識したのだろう。

二十本の触手全てをキジヌに向けて振るった。

が、そのすべてがキジヌの手刀と掌底で叩き落された。

中には千切れたものもあった。キジヌは拳にレンキを溜め、怪物の脳を目掛け拳を叩き込んだ。

放たれた拳は怪物の軟体を貫き脳を破壊した。

怪物は脳を失っても暫く暴れていたが、直ぐに動かなくなった。

券売場は拍手喝采に包まれた。

キジヌは軽く手を上げて観衆に答えた。

直ぐに警察がやってきた。

キジヌは軽く事情を説明するとチケットを購入し、その場を後にした。



「という訳でまたあの怪物が現れたのだよ」


グレートジェントルマン号のブリッジにて、キジヌは券売場の出来事を皆に語っていた。

そこにはロンバートもいた。スリーはイスの上で背伸びをしていた。

グランマが柵に腰かけ、アビーは宙に浮いていた。


「テロってことですヨネ」


「そうだな、『光の剣』というテロリスト集団の仕業だったらしい。犯人は直ぐに捕まったらしいね」


「てことは直ぐに出港できるのかい?」


「少ししたら出港制限も解除されるらしい。直ぐに出港も出来るだろう」


「安心しました。急いでいるわけではありませんが、ここで足止めを食らうのは面白くありませんからね」


 ロンバートは口髭を撫でた。キジヌは帽子を被りなおした。


「突発的な事態とはいえ、時間をかけてしまい申し訳ありません」


「いえ、お気になさらず。先ほどのはそういう意味ではありませんから。しかしテロというものは無くなりませんな」


「戦後から五十年。それでも小競り合いをしている国や惑星はまだまだありますからね。今回もその手の者でしょう」


「中には火に油を注いで利益を得ている者たちも存在しているみたいですからね。『ダークマター』などという組織も存在しています。まったくもって悲しい現実だ」


 その言葉には深い悲しみが感じられた。

キジヌは話題を変えることにした。


「ところでミスターロンバート。紅茶はいかがですか?」


「いただきます。私紅茶には目が無いのです」


「では僕は紅茶をいれてきますネ」


 アビゲイルがブリッジから出て行った。

ロンバートの顔には驚きがあった。


「なんと。失礼ですが彼女が紅茶を居れるのですか?」


 ロンバート疑問はもっともなものであった。機械生命体は基本的に飲食を行わないのだ。

キジヌは顎髭を撫でて答えた。


「この艦で一番おいしい紅茶を入れるのは彼女なのです。私も何度も淹れてますが、彼女には到底敵わない」


「なんと、それは楽しみですな」


「それに料理の腕も一流ですよ」


「……もしかして今までこの艦で頂いていた料理は、全て彼女が?」


「その通りです。」


「なるほどそれならば紅茶を淹れるのも期待が出来ますな」


 それから一同はアビゲイルの入れた紅茶を飲み時間を過ごした。

ロンバートは一口飲むと舌鼓を叩いていた。

そんな風に時間を潰していると、出港禁止令が解除された。

グレートジェントルマン号は超長距離ワープを潜り、惑星ジェスタに向かった。



「ワープ航行とは不思議なものですな」


 虹色の窓の外を眺めながらロンバートは口髭を撫でて呟いた。


「空間に『門』を開き異空間を航行するもの、と言われてますが未だに理解できぬものですな」


「私も何度も使ってますが、未だによくわかってはいませんよ。道を外れると二度と戻っては来れないと

は言われてますが、やはりよくわかりません」


「そもそも何故『門』を開くと二か所の距離が縮まるのでしょうね?人為的な事は何も行われてないらしいですが」


「それでも安定して使えるのはありがたいことです。あと何十年か経てば詳しい仕組みも解明されるでしょう」


「そうだとよいですな」


 口髭をモゴモゴさせながらロンバートは言った。

キジヌ達は虹色に輝く窓の外を眺め続けていた。


「化学は何時でも進歩するもんだぜ。案外何十年もかからないかも知れねえぜ」


 スリーは座っている座席をくるくると回転させていた。ロンバートは目を輝かせながらスリーに近づいた。


「……私もそれをやってみてもよいですかな?」


「どうぞ。空いてる席で好きにやってくれ」


 それからロンバートはワープが終わるまで椅子を回して遊んでいた。グランマが呆れた顔でそれを眺めていた。

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