過去との邂逅
グレートジェントルマン号に戻ると不思議な客人と出会った。
『宇宙人』のアルフが観察員と共にやってきた。キジヌ達は妙な来客者に驚いた。
「アルフ!どうしたんだい?」
「実はスリーさんに用事があってきたんです。」
「俺に?いったい何の用事だよ」
「貴方が『宇宙人』であることに関して、ですよ」
スリーの顔が苦虫を噛み潰した様になった。
「俺は人工的に生み出された『宇宙人』だぜ?あんた等とは全く別物だぜ」
「そうとも言えない。貴方は人工的に作られた『宇宙人』な訳です。そんな人は宇宙広しといえどそうはいません」
『宇宙人は』の殆どは自然的に発生したものだった。アルフの言葉は確かだった。
「それで?結局の所あんたは何が言いたいんだ?」
「貴方の能力を開放しにやってきたんです」
「……何?」
「『宇宙人』は必ず能力を持ちます。それはとても強大なものです。しかし今の貴方は能力を発現してい
ない。『宇宙人』であるのにも関わらず、です。それはとても危険な状態なのです」
「どういうことだ?」
「先ほども申し上げた通り『宇宙人』の能力は強大なモノです。それが突発的に発言すれば最悪の事態に陥る危険性があります。例えば沢山人のいる場所で能力が発現したら?被害は甚大なものになります」
「つまり予め能力を発現させて制御できるようにするってことか?」
「その通りです。僕ならば貴方の能力を発現できる」
「……断る、と言いたいとこだがそうはいかねぇか」
「では」
「いいぜあんたに付いて行くぜ。で?どこに行きゃいいんだ?」
「人気のない場所へ、ちょうど我々が知っている場所があります」
「前回のあそこか。惑星コロモなら生物が存在しないから覚醒の場所にはうってつけだな」
「そこでキジヌさん達には惑星コロモに向かってほしいのですがよろしいですか?」
「ああ、構わないよ。早速向かうとしよう」
こうしてグレートジェントルマン号は惑星コロモにむかう事になった。
惑星コロモは生物の存在しない惑星の一つである。
ここではでは一月前の『ケイオス事件』の際には『宇宙人』達との会談が行われた場所でもある。
その時の仮小屋が未だに鎮座していた。
一同は仮小屋の中に来ていた。
仮小屋の中でアルフが力場を操作し、皆が座れる椅子を作った。
皆はその椅子に座り一息ついた。しばしの沈黙の中、最初に口を開いたのはスリーだった。
「……で、どうするんだ?」
「やることは簡単だよ。僕が君の頭に干渉するだけさ」
「さらっととんでもないことを言ってねぇか?」
「そうかい?じゃあ早速やろうとしようか」
アルフはスリーに近づきスリーにの頭に手を当てた。そして光を発した。
キジヌ達は光のまばゆさに目をすぼめた。
そして光は直ぐに消えた。一同はキョトンとして、アルフの言葉を待った。
「終わったよ。何か変わった感じは無いかい?」
「……特に何もないな」
「ふむ……おかしいな、能力の発現の際は何かしら違和感を覚えるはずなんだけれども……」
「何の違和感も無かったぜ」
「とすると君はもしかしたら既に能力を発現しているのかもしれないな。何か心当たりはないかい?」
スリーは腕を組むとうなりながら考えた。
「もしかしたらあの時の奴か」
「心当たりがあるのかね」
「ああ、かなり昔の話だ。俺が『ダークマター』の研究室に囚われていた時の事だ」
そうしてスリーの昔話が始まった。
スリーの最も古い記憶は研究室の寝台の上だった。
眩しいライトに照らされて目が覚めたのが最初の記憶だった。
この時はAE=MRナンバースリーと呼ばれていた。
研究室の施設では実験をされているとき以外は、待遇は悪くなかった。
食事もちゃんと三食出たしおやつも出た。
最新であろうおもちゃや、ゲーム機、パソコンも与えられていた。
だが実験は酷いものだった。投薬実験や通電実験、中には脳を直接いじられた子供もいた。
子供たちは皆人工的に作られた、いわゆるデザイナーベイビーだった。
実験続きのある日。スリーはとある実験で成果を出した。
それは『宇宙人』としての能力を調べる実験だった。
スリーはその実験で一瞬だけ数値を出してしまったのだ。
そこからが彼女の地獄が始まった。
その後も能力検査は続いたが、数値が出ることは無かった。
そして実験は段々と過激になって行った。
大量の投薬、何度も行われた通電実験、それでも成果は出なかったため臓器を摘出され、四肢は切断され、脳を摘出され培養液に漬けられた。
それからは彼女はどのくらいの時間を過ごしたのかは分からなかった。
漬けられたカプセルには脳波を感知して会話する機能が付いていたので、見張りの機械生命体との会話を楽しんだ。
しかしその日々はある日急に終わりを告げた。
七宝帝帝国領域の軍に施設の場所がばれたのだ。
そして特殊部隊の強襲にて施設の機能は終わりを告げた。
どうやら彼女と会話していた機械生命体が施設の場所をリークしたらしかった。
スリーの体は彼女の要望通りに、サイボーグ化された。
全ての事情聴取と施術を終え彼女はゴルゴン協会の施設に入れられた。
それから三年後、インフィニティの所に赴いた。
インフィニティの所では三年間過ごした。
そしてある日、キジヌ達と共に過ごすこととなった。
「てなわけで今に至る訳だな」
長い昔話の後、キジヌは懐かしんでいた。
「あの時の施設に突入に至ったのがアビゲイルの通信だったな」
「それであたしとキジヌを含んだ特殊部隊で突入したのさね」
「そんなこともありましたネ。懐かしいデス」
懐かしむ四人に、アルフは顎を撫でて口を開いた。
「もしかしたらその施設での実験で能力が発動したのかもしれませんね」
「じゃあどうしたらいいんだ?『宇宙人』の申請は一応終わってるぜ?」
「恐らく分かりやすい能力ではないのかもしれません。例えば時間に干渉しているとかそういうたぐいの
ものなのかもしれません」
「結局、判らずじまいだな」
「そうですね、お手数をおかけしました。もし能力が分かったら手早く申請してください。私としても同胞が傷つけられるのは嫌ですから」
そう言うとアルフと観察員は立ち上がった。帰る身支度を始めたのだ。キジヌも立ち上がった。
「うちの艦で送っていくよ」
「いえ、私はテレポートが出来るので。それでは皆さんまたお会いしましょう。」
その言葉を最後に二人の姿は光に包まれて消えた。
「……ここに来るときもそれを使えばよかったんじゃねえか?」
スリーのぼやきに、一同は賛同した。




