プロローグ
宇宙には人類以外にも様々な生き物たちがいる。
そして人類が把握している生物は一割にも満たないといわれている。
その中には温厚な生き物もいれば凶暴な生き物も存在している。
キジヌ=サルモモール一行はまさに今、凶暴な生物に襲われていた。
その凶暴な怪物は柔らかい体に二十本の触手で駆逐艦を改良した艦、グレートジェントルマン号の葉巻型の船体に絡みついてきていた。
縫い傷塗れの少女、スリーと、機械生命体のアビゲイルは戦闘装甲服に搭乗し、怪物の触手を電磁ナイフで切裂いて行った。
だが切っても切っても直ぐに生えてくる触手に苦戦を強いられていた。
おまけに船体にくっついているために重火器は使用できない。
それぞれ二本の電磁ナイフで地道に対処するしかなかった。
『ボス、やっぱり電磁ナイフでは対処しきれないぜ。そっちでどうにかできないか?』
スリーは体内通信機で自身のボスにぼやいた。
いちいちぼやくのは彼女の癖の一つでもある。
『船体に触手が絡みすぎている。
私のレンキでも対処が難しい。せめてこの触手がどうにかできれば……そうだレンキで船体を包んでみよう。
そうすればこの邪魔な触手もどうにか出来るかも知れない』
『そんな事出来るのかよ。まあとにかくやってみてくれ』
紳士服の男、キジヌ=サルモモールは船体に手を当てた。
そしてレンキで船体を薄く覆った。
と同時に絡みついていた触手をレンキではじき飛ばした。
二十本の触手が一瞬船体から離れた。
キジヌにとってその一瞬で十分だった。
怪物の胴体に体当たりをかまして艦から引き離したのだ。
そのままレンキを溜めた拳で怪物の胴体を殴り飛ばした。
殴られた怪物の胴体はぽっかりと穴が開いていた。
怪物は幾度か痙攣した後、絶命した。
『対処完了。艦に戻るぜ』
『了解。私も戻るとしよう』
三人は艦内へと帰還した。怪物とは二十分ほどすったもんだしていた。
装甲服から降りるとスリーは肩を回した。
「あー肩凝った。珍しいもんに絡まれたもんだぜ」
「全くデス。最近では珍しいデスネ」
球形に二本のアームの付いた機械生命体、アビゲイルが宙に浮きながら答えた。
彼女の後にキジヌが艦内に戻ってきた。
「大分手間取ったな。しかしあんな生き物が存在しているなんて宇宙は広いな」
「どっかの惑星ならまだしも宇宙空間でバケモンに襲われるなんてなかなかないぜ?どっかの学者に進呈すれば報奨金がもらえるぜ」
「それなら安心しな。艦の牽引ビームで捕獲してるさね」
筋骨隆々の老婆グランマが作務衣姿で降りてきた。
「それは本当かね?流石グランマだ」
「なんてことはないさね。それじゃ目的地はプロフェッサーダミアンの所でいいかい」
「ああ、死骸が腐敗する前に彼の元に届けよう」
了解というとグランマはブリッジに戻って行った。キジヌはい一息ついた。それを眺めていたスリーが気に掛けた。
「レンキの体には慣れたのかよ?さっきも結構レンキ使っていただろ。かなり疲れているんじゃないか?」
「問題ないさ。体も調子がいい。未だに気を抜くと体が崩れてしまうがね」
「それは本当に大丈夫なのかよ」
「慣れの問題さ。さあ我々もブリッジに向かうとしよう」
「俺は先にシャワーを浴びてから行くぜ。大分汗をかいたからな」
「そうか風邪をひかないように気を付けたまえよ」
あいよと答えてスリーはシャワー室へと向って行った。
キジヌとアビゲイルはブリッジに上がって行った。
「わーい!凄いもんを持ってきたね!」
中央ギルド領域三十八番港にあるとある研究室。
プロフェッサーダミアンは大声でキジヌ達を迎えた。
ダミアンはサンダルの音をペタペタと立てて怪物の死骸に近づいて行った。
中央ギルド領域で珍生物を見つけたら彼女に任せるのがキジヌ達のいつもの行動だった。
「コレ何処で見つけたの?中々見ない奴だよ」
「中央ギルド領域のマステジャ銀河の惑星エピタフから帰る途中に襲われたのだよ。触手で船事襲われたから大分手間取ってね」
「宇宙生物なんて珍しいねー。人工生物の可能性もあるけど調べ甲斐があるよ!」
「人工生物か、それだと軍が絡んできたりするな」
「そだねー。軍の生物兵器の可能性も大いにあるね。宇宙空間に生息する生物って本当に珍しいからね。この子は天然ものだといいんだけれども」
そう言うとダミアンはクレーンを動かして死骸を研究等へと運んで行った。
キジヌ達もその後に付いて行った。
「しかし最近はこの手の宇宙生物の報告が増えてきてないかね」
「増えてるねー。今年に限って言えば去年の三倍くらいふえているよ。元の数が少ないってのもあるけどね」
「それは物騒な話だな」
「そうだねー私は研究できるからうれしいけどね。……よっと、設置完了!さて、研究するぞー!あ、報
酬は窓口から受け取ってね大した額じゃないけど!」
「いや、結構な額をいつも頂いているさ。それではまた会おう」
キジヌ達は窓口へと向かった。窓口には機械生命体のロビンが居た
「ボスからきいてますよ。こちらが報奨金です」
キジヌ達は報奨金を受け取った。袋に入っていたがズシリと重かった。




