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宇宙の紳士と宇宙人  作者: えいちふみふさ
神の再臨
43/54

ケイオスとの決戦

 作戦当日。決戦の日が来た。キジヌはマスターグレイとロングゥ、レンジュウロウと、ギルモアが用意したレンキ使いたちと共にミサイルの弾頭にレンキを籠めていた。

正直、キジヌは今回珍しく緊張していた。そんなキジヌを眺めて、ロングゥは優しく微笑んだ。


「キジヌ、緊張しているのかい?」


「……ああ、どうにも落ち着かなくてね」


「安心せい!ミサイルがしくじってっもわしらが片をつけるぞ!」


「ええ、信じてますよ、マスターグレイ」


「お前さんらは後ろでのんびり茶でも飲んどるがよい。近接戦闘班は精鋭揃いじゃからの。お前さん方の出番はないわい」


「こいつのいう事に同意するのは癪だが、わし等なら容易く作戦をこなすことが出来ようぞ!」


 マスターグレイとレンジュウロウの言葉に少し落ち着いたが、やはり嫌な予感は払拭できなかった。

そうしているうちに作戦の時間が来た。




 ギルモアの号令と共に作戦は始まった。

キジヌ達は近接戦闘班とと共に戦艦の広い甲板から宇宙空間に浮かぶ亀裂を眺めていた。

キジヌにはその亀裂はまるで地獄の入り口にも思えてきた。

心臓がいつもよりも速く跳ねていた。

 そしてそれは現れた。

亀裂の中の闇から流動体の黒い物質がどろりと溢れてきた。

それこそがケイオスだった。


「照準合わせ!一番から六番まで発射用意!」


 艦長の号令でブリッジが慌ただしくなった。


「発射まで三秒前、二、一、てぇい!」


 レンキの籠められたミサイルが六発、艦の上部から垂直に発射された。

上昇したミサイルは亀裂の方へと角度を変え、高速で直進し、着弾した。

爆発したレンキの塊がケイオスを焼き消滅させていった。


「案外簡単にいきましたね」

 リーガスの軽口に、誰も答えなかった。

皆爆炎の先を見ていた。

そこに居たのは先ほどの流動体では無かった。

それは人の形をしていた。漆黒の人型は一歩、歩みを進めた。

 先手を打ったのはラングースだった。戦艦の甲板上から放たれた氷塊が漆黒の人型を氷漬けにした。

しかしケイオスは氷を砕き、また一歩歩みを進めた。

次に手を打ったのはドーグスだった。

惑星よりも巨大な人形の手のひらでケイオスを握り潰した、はずだった。

人形の手がはじけ飛び無傷のケイオスが立っていた。

そしてまた一歩、歩みを進めた。

この時点で一同は作戦の第一フェーズが失敗に終わった事を察した。

瞬時に動いたのはトウゴだった。

一瞬間遅れ、アルフとマスターグレイ、レンジュウロウが動いた。

トウゴは右拳を振るい、ケイオスの頭に叩き込んだ。

が、その拳は漆黒の人型には届かなかった。ケイオスは左手でトウゴの拳を掴んでいた。

そして掴んだ拳をひねり上げ、千切った。

トウゴは腕を千切られた事を意にも介さず、反撃の左拳を叩きこんだ。

同時に、レンジュウロウのレンキの槍と、アルフの力場操作による物理的な圧力と、マスターグレイの放たれた球形のレンキが、ケイオスに迫った。

しかしケイオスは右手でトウゴの拳を抑え、レンジュウロウの槍とアルフの力場とマスターグレイのレンキを体で受け止めた。

体がひしゃげ槍に貫かれ、半月上に欠損した体にも関わらず、ケイオスはトウゴを投げ飛ばしアルフにぶつけた。

と同時に右指を指し、三叉銛の様に伸ばしアルフとトウゴに突き刺した。

まとめたトウゴとアルフを振り回し、マスターグレイとレンジュウロウを叩き落した。

そしてそのままトウゴとアルフをな投げ飛ばした。

投げ飛ばされたトウゴはそのまま戦艦に、アルフは隕石に体をぶつけた。

トウゴは瞬時に体勢を立て直し、甲板を蹴って再びケイオスに詰め寄った。

千切られた腕はいつの間にか治っていた。

ケイオスは体を再構築している最中だった。

ケイオスの歪な胴体にトウゴは蹴りを叩き込んだ。

放たれた蹴りはケイオスの胴を掴もうとした腕ごと上下に両断した。

両断されたケイオスの体はそれぞれが人型に変形した。

二体のケイオスの内一体はトウゴに抱き着き彼の体を両腕で締め上げた。

が、トウゴは腹筋と背筋を膨張させて締め上げていた両腕を霧散させた。

そして頭を掴み膝を叩き込んでケイオスの頭部を破壊し、一体を消失させた。

もう一体のケイオスは戦艦にへと高速で突っ込んでいった。

ケイオスの蹴りを船首にくらい、戦艦は大きく下方へ傾いた。

リーガスとラングースとドーグスは甲板から跳ね飛ばされて宇宙空間に飛ばされていった。

ロングゥとキジヌはレンキで甲板に足を張り付け、ケイオスに向かってレンキを纏い構えた。

キジヌとロングゥはケイオスに一気に距離を詰めた。

ケイオスは両手を神速で振り二人の首を跳ね飛ばした。

ロングゥは瞬時に頭を再形成し、手のひらをケイオスの体に当て、レンキの波動を放ちケイオスを吹き飛ばした。

そしてキジヌの名を叫んだ。首を失ったキジヌの胴体は宙に浮いていた。



 キジヌは海の中に居た。

彼は光を探していた。光はすぐに見つかった。

闇の中の遥か無効に光はあった。光は段々小さくなっていった。

海の中で誰かが自分の名前を呼んでいるのが聞こえた。

声は光の方から聞こえてきた。キジヌは光の方に向かわねばと、足を進めた。

光に段々と近づいて行った。そしてとうとう、光に触れることが出来た。

光は大きくなりそして海の全てを照らした。



 キジヌ=サルモモールの体は死んだ。

しかし魂はまだ生きていた。

キジヌはレンキで自身の体を形成した。

そしてロングゥと共にケイオスに対峙した。

ロングゥのレンキに自身のレンキを乗せて波動を放った。

波動は扇状に広がりケイオスの体を飲み込んだ。ケイオスは抵抗したが二人の波動に押し負け、体を霧散させていった。

これですべてのケイオスは消滅した。作戦は完了した。

新しい体を手に入れたキジヌに、ロングゥは微笑んだ。


「新しい体の気分はどうだい?」


「不思議なモノだな。感覚全てが開いている感じだ。何より自分の体を見るのは妙な気分だ」


 そう言うキジヌの眼前には頭を失った彼の体が浮いていた。


「大丈夫か!二人とも!」


 キジヌとロングゥの元にマスターグレイとレンジュウロウが飛んできた。二人ともぴんぴんしていた。


「キジヌが体を失いましたが、全て終わりました」


「!なんとキジヌはレンキの極致にたどり着いたのか!それは何よりだ!」


 マスターグレイの称賛にキジヌはありがとうございますと答えた。


「それであの穴はどうするんでしょうか。あのままではまたケイオスが出て来るのでは?」


「それは僕が対処するよ」


 そう言いながらアルフとトウゴが戻ってきた。こちらの二人も傷一つなかった。


「皆のおかげで全て終わった。後始末は任せてもらうよ」


 そう言うとアルフは直ぐに亀裂の方へ向って行った。亀裂は閉じられ、全てが完了した。

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