表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙の紳士と宇宙人  作者: えいちふみふさ
宇宙の紳士と宇宙人
4/54

『マックスボビー』

 宇宙は今、大まかに五つに分かれていた。

中央ギルド領域を中心に七宝帝帝国領域、N・B・P・C領域、ワンダーグレインズ領域、エルダーワンズ領域の五つである。

 それぞれの領域にはそれぞれの法や秩序が存在している。

その中でも中央ギルド領域は宇宙の中心とさ、れ様々な人種の集まる領域である。

故にトラブルも多く警察や軍が干渉し辛いのが現状である。

 そのせいか人口の半数が賞金稼ぎであり、賞金稼ぎ用の港も数多く存在している。当然荒くれ者も

多いため、常に喧騒冷めやらぬ領域でもある。

 それでも成り立っているのは奇跡に近いのかもしれない。

大量の艦が並ぶ四十九番港に、一隻の葉巻型の艦が近づいていた。

名はグレートジェントルマン号。軍の古い駆逐艦でキジヌの船である。


「いつ見ても大きい港デスネ」

 

 宙に浮いた球形に二本のアームの付いた機械生命体が、船のブリッジでぼんやりと呟いた。

彼女の名前はアビゲイル。仲間からはアビーと呼ばれていた。


「百以上ある港の中でもそこそこ大きいほうだからなぁ」

 

 縫い傷の少女スリーが答えた。


「俺も全部みたことはないからなぁ」


「僕もデス。色々違うみたいなので他にも行ってみたいデスネ」


「あんた達、準備は出来たのかい」

 

 グランマがいつもの老眼鏡と作務衣でブリッジ上がってきた。


「僕は準備オッケーデス」


「俺も用意終わってるぜ。……ボスは何処行った?」


「いやぁ済まない。」


 そう言いながらキジヌもブリッジに上がってきた。


「これで全員揃ったね」


「俺とアビーは買い出し、ボスは仕事の報告、グランマは船で留守

番だな」


 スリーはそう言うと操舵輪を回して港に艦を接舷させた。

四十九番港のとある一角にある酒場『マックスボビー』にキジヌは来ていた。

先の重筋王の件を報告に来たのである。

賞金稼ぎの仕事の依頼は様々な場所で受けることがある。

 『マックスボビー』もその一か所である。

故に大勢の賞金稼ぎのたまり場にもなっている。


「ああ~キジヌさんだ~こっちで一緒に飲みましょ~」


「おお、ミスタービースト、腕相撲やろうや」


 賑やかな客たちを適当にあしらいながらキジヌはカウンターにいた店のマスターの元へと足を運んだ。


「やあボビー、仕事の報告に来たよ」


「おおぅなんだキジヌじゃねいか。随分早かったな」


 ボビーは緑色で液状の巨体をぷるんぷるんと震わせながら、触手を伸ばして、金の詰まった袋をカウンターの上に置いた。


「ほれ、報酬の二十万ダールだ。注文はいつものマギー酒でいいか?」


「いや今回はこのまま依頼を受けたいのだが何か良い仕事はあるか

い?」


「なんでい、せっかちだな。良い仕事は大体インフィニティのところに行くからなぁ……いや待てよ」

 

そう言うと大きな体をカウンター下に潜り込ませた。


「あったぁこれだ、護衛で二百万ダール」


「……護衛で二百万ダールとは随分きな臭いな」


「うちに来るのはそんなのばかりだぜぇ。どうする?」


キジヌ一行の台所事情は余りよろしくない。にっこり笑顔で依頼を受けた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ