プロローグ
その異変は同時に起きた。
一つは七宝帝帝国領域内アストラ銀河。領域内全てが炎に包まれた。
一つは中央ギルド領域内ダンダリオン銀河 。領域内全てが凍り付いた。
一つはN・B・P・C領域内エヌ銀河領域内全てが巨人に飲み込まれた。
それらの異変は直ぐに各政府に察知された。
そして対策本部が設立された。
三つの領域による合同捜査はこの五十年の中では異例の出来事だった。
被害の出たそれぞれの銀河は生命体が存在せず、被害者は出ていなかった。
だからと言って放置出来ることではなかった。
それは自然に起こった事ででは無く人の手で起こった事だった。
銀河クラスの災害を引き起こせるもの、『宇宙人』の仕業だった。
これは一種の宣戦布告なのだ。
彼らが本気を出せば被害者を出すことは簡単だった。
だがそれをしなかった。何かの主張を通すための脅しなのだ。
対策本部は最低でも三人いる『宇宙人』に対抗するために星越者達を集めた。
その中にはキジヌ=サルモモールもいた。
「随分と殺気だっているね」
「あたりめぇだろぉ。なんせ戦後初の『宇宙人』事例だぜぇピリピリもするさぁ」
のんきなキジヌにギリアンは言った。
ギリアンは『チームライトニングス』のリーダーであり電気を操る星越者である。
「しかしやはり見覚えのある連中ばかりだね」
キジヌの疑問にアルフレッドが答えた 。
アルフレッド。インフィニティの所に所属している星越者である。
「星越者自体がたくさんいるわけでは無いからね。見覚えのある人間が集まるのはしょうがないよ」
「うむ!懐かしい顔ばかりである!」
マスターグレイはカラカラと笑いながらいった。彼もインフィニティの所の星越者でレンキのマスタークラスの男であり。宇宙中に道場を開いている。
「そもそも呼ばれた星越者が全員来てるわけでもないっすよ」
そう言ったのはリーガス=メイデンだった。彼はメイデン総合社の社長であり風を操る星越者である。
「やはりそうか。何だか人数が少ないと思ったが……」
「皆他に仕事を抱えているからね。それに今回の招集は強制招集では無かったからね。政府側も完全に対
抗するのではなく、あくまでも交渉の場での威圧目的での招集なんだろう」
「それに今回は最強の賞金稼ぎも来てるからなぁ。その辺の星越者が束になっても足りないレベルだろぉ」
ギリアンの言葉に一行は壁にもたれかけていた大男に瞳を向けた。
トウゴ=ジュサン。最強の賞金稼ぎと呼ばれる男であり、最高額の賞金首でもある男である。三メートルを超える体毛が一切ない体躯に身の丈程の八角棒を持った男である。宇宙中の実力者を集めても彼ほどの実力者はいないだろう。
「今回の件はあいつ一人でも十分なんじゃねぇかぁ」
「そうも言ってられまい。相手は三人以上は居るのだ。彼一人では流石に荷が重いだろう」
「そろそろ始まるみたいだよ」
会場の壇上に中央ギルド領域全域警察のデイビットが立っていた彼の前にはスタンドマイクが立っていた。デイビットはスタンドからマイクを取り外し、説明を始めた。
『皆さんお忙しい中お集まり頂きありがとうござます。私は中央ギルド領域全域刑事のデイビット=モルデカイ刑事です。今回、星越者の皆さんにお集まりいただいたのは、突如として現れた三人の『宇宙人』達の件です。我々対策本部は彼らとの交渉を行う事となりました。その際の要人警護の為に、皆さん星越者の方々に集まっていただきました。しかし今回の事件は戦後初めての特殊な事例になります。故に今回の要請は強制ではありません。参加するかどうかは各々方の判断にお任せ致します。不参加の方はご退出ください』
デイビットの言葉にギリアンは笑顔を浮かべた。
「相変わらず嫌味らしい言い方する奴だぜぇ。ここまで来てあんなこと言われて出てく奴なんている訳ねぇだろぉ」
デイビットは一拍置いて言葉をつづけた。
『では参加していただく方々に今回の件を説明させて頂きます。今回の依頼内容について説明させて頂きます。今回は先ほど説明させて頂いた通り、会談における用心警護となります。その際、戦闘になる可能性もあります。相手は三人の『宇宙人』です。相当な規模の戦闘になることが想定できます。そうなることを前提にご考慮下さい。会談は一週間後。会場は彼らからの指定で、中央ギルド領域ラステア銀河惑星コロモで行われます。ラステア銀河は生命体の存在しない銀河です。万が一戦闘に移行した際は近隣の被害を気にせず行って下さい。当日、皆さんにはこの会場に再びお集まりいただきます。私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。』
デイビットは頭を下げて話を終えた。
「まるで戦闘する前提の話だったね」
「俺としてはそっちの方が歓迎だぜぇ」
「何を言う!戦闘行為が無い方がよかろう!」
「あんたがそういうなんて意外だなぁ」
マスターグレイの言葉を、ギリアンは茶化した。
「貴様は『宇宙人』と戦った事が無いから判らんのだ!奴らは天災そのものよ!」
「流石『戦下十五勇士』の言葉だなぁ。重みがあるぜぇ」
「貴様!わしを愚弄する気か!」
「まあまあ二人とも落ち着いて。今ここで争っても意味が無いだろう?」
「その通りだ。一週間後に向けてそれぞれ準備をしよう」
そうして一同は解散した。一週間後の会談に向けて。
「それでボスは引き受けたのか」
グレートジェントルマン号のブリッジでスリーはキジヌに聞いた。キジヌは微笑んで答えた。
「勿論さ。なんせ宇宙の危機だからね」
「気を付けろよ。宇宙人達が何処までやるのかも判ってないんだろ?」
「まあね、気を付けていくさ」
そう答えて手をひらひらとさせた。スリーは納得していなかった。
彼女は気が付いて無かったが、キジヌは既に体内でレンキを練り上げていた。




