決着と別離
キジヌ達は再び惑星カルカラのアヌト村にもどってきた。
スリー、アビー、純一郎は装甲服に身を包んでいた。
村の前には五人の賞金稼ぎが立っていた。
「よう、よく来たな!お前らがキジヌご一行様だな!」
「その通りだ君たちが噂の五人か」
「そのとーり。俺がリーダーのドル」
「ランセム……この間の借りは返させてもらうぞ」
男はそう言いながら刀の鯉口を切った。
今にも斬りかかってきそうな様相だった。
続いて装甲服の男が口を開いた
『俺はギルバート。お前ら随分吹き飛ばし甲斐のありそうなやつらじゃないの』
「私はマにぃハチの巣にしてあげる」
そう言うと女は二丁のハンドガンを取り出してキジヌ達に銃口を向けた。
隣の宙に浮いた水晶に座った老人が髭を揺らして笑った。
「ほほう、わしがテルモじゃ」
「そっちの自己紹介はいらないぜ!こっちは大分調べさせてもらったからなあ」
ドルが髭を撫でながらいった。それはどうもと、キジヌは返した。
「それで?君たちはどういう形で決着を付ける気だい?」
「焦るんじゃねえ、今説明してやる。この村の中心に爆弾を仕掛けた。解除する為の鍵は俺たち五人がそ
れぞれ一つずつ持っている」
「つまり君たち全員を倒して鍵を奪え、という事か」
「その通り話が早くて助かるぜい。それじゃ早速始めようや!」
ドルはレンキを纏い声を上げた。
それを合図にギルバートが装甲服の両腕に搭載された榴弾砲を放った。
それが着弾するよりも早くキジヌとグランマがギルバートへと一気に距離を詰めたが、ドルとテルモに阻まれた。
ランセムはその場で刀を振り、レンキの斬撃を純一郎の機体に放った。
純一郎は光の壁で斬撃を防ぎ、スリーとアビーと共に右腕のロケット砲を発射した。
放たれたロケット弾をマニィは双銃で撃ち落した。撃ち落されたロケット弾の爆風に当てられてギルバートが放った榴弾も爆発した。
爆発に乗じてランセムは純一郎の方に一気に距離を詰めたが、爆炎の中から現れた光の壁に阻まれた。
しかしランセムはそれを想定していた。
光の壁を駆け上がり、跳躍した。
そして純一郎の機体に向けてレンキの突きを放った。
レンキの突きは純一郎の戦闘装甲服の左腕を破壊した。
遅れて純一郎は光の壁を放ったが、それを足場にしてランセムは後方に跳躍した。
スリーとアビーが追撃のショックガンを放ったがランセムはそれを全て斬り落とした。
「そっちだけじゃないよ!」
叫びながら放ったマニィの弾丸がスリーの機体の右肩の関節を打ち抜いた。
機体の右腕がだらりと下がった。
スリーは反撃のショックガンを放ったがマニィはひらりと躱した。
アビーはマニィの方へと突撃した。
『俺を忘れてるんじゃないの!?』
そう言いながらギルバートは榴弾を放った。アビーは機体の両腕を交差させて受け止めた。
『 忘れてませんよ!』
爆炎の中からアビーの機体は飛び出し、残った右腕の電磁ナイフでギルバートの機体を破壊した。
ギルバートは脱出したが振り回されたアビーの機体の右腕に打ち付けられて、気絶した。
「このぉ」
マニィはアビーの機体に発砲した。アビーは右腕で防いだ。
『こっちがお留守だぜ』
スリーはマニィへ距離を詰め、蹴り飛ばした。マニィは吹き飛ばせれて失神した。
「そちらは二人倒されたみたいだね」
レンキを籠めた右拳をドルの脇腹に打ち込みながらキジヌは言った。
「そうみたいだなあ、だがあっちにはランセムが居る」
レンキで形成した爪を振りながらドルは答えた
「だが彼はあちらの三人に一度負けている。今回も勝てるかな?」
左拳でドルの顎を打ち据えながらキジヌは言った。
「あいつは反省できる奴だ。今度は勝つさ」
左爪をふるいドルは答えた。
「ならばこちらを早く倒さなければならないな!」
キジヌはレンキをさらに纏い拳を繰り出した。
グランマは珍しく苦戦していた。
テルモの魔法は中々にやりづらかった。
テルモは魔法で五人に分身し、それぞれが炎を放ってきた。
炎は払いのければ当たる事は無かったが分身の方が問題だった。
分身はそれぞれが質量があり、つまり拳で打ち据えも手応えがあるのだ。
それだけではない。
それぞれが距離を取り、分身が消えても新しい分身が現れるのだった。
グランマは地面を砕くことしか出来ていなかった。
テルモが笑いながら言った。
「ほほう、どうやら大分消耗してるようじゃの。どうじゃ、降参でもせぬか」
「消耗?降参?冗談きついさね。もう勝ち筋は見えているよ」
「勝ち筋?それこそ冗談がきついわい一体どこに……」
テルモから笑顔が消えた。
目の前の老女がなにをするのか理解できたのだ。
グランマは足元の砕けた岩を蹴り飛ばした。
岩は分身を含めた五人すべての顔面にぶつかった。
テルモは意識を失い、水晶からずり落ちた。
純一郎は五月雨のごとく放たれたランセムの突きを、光の壁で防いでいた。
ランセムは光の壁の弱点を見抜いていた。
線の攻撃では必ず防がれるが、点の攻撃、つまりき突きならば一つ一つの攻撃に反応しなければならなかった。
そして今、純一郎は窮地に立たされていた。
機体の片足は間接がやられ立つことがままならず、片膝をついていた。
両の腕は寸断されていた。純一郎の機体にはもう攻撃手段が無かった。
光の壁を打ち出しても悠々と回避されていた。
ランセムは回避に十分距離から攻撃をしていた。
そしてその時は来た。
ランセムの突きが純一郎の反応を上回った。
レンキの突きが純一郎の機体を純一郎の腹ごと貫いた。
純一郎はレンキの刃を掴んだが、掴んだ手ごと横薙ぎに斬り払われた。
同時に純一郎は光の板を打ち出していた。
こちらも面の攻撃では無く点の攻撃だった。
光の板の角から放ったのだ。板はランセムの左肩に刺さり、ランセムの動きが一瞬止まった。
その一瞬、スリーの機体の放ったショックガンがランセムに当たりランセムは意識を失った。
『ジュンイチロウ!』
スリーは純一郎の機体に駆け寄り、装甲服から飛び出し、純一郎の機体を開けた。
コクピット内は血にまみれていた。
腹の中心から右手側へと斬り開かれており臓器がはみ出していた。
右手の指が親指以外斬り落とされていた。
顔からは血の気が失せており死が近づいているのが目に見えた。
「スリー……俺……死ぬのかな」
「いいからしゃべるな!今アビーが艦から医療キットを持ってくるだから……!」
「俺……この世界に来れてよかったよ……みんな優しくて、楽しくて……」
「もういい、しゃべるな」
「スリー……本当に……ありが――」
純一郎の体から力が失われていくのを、スリーは血にまみれながら感じていた。
純一郎は絶命した。
その顔は安らかだった。
『スリーこちらは終わったよ、そちらはどうだい』
体内通信機でキジヌから連絡が来た。
「こっちも勝ったよ……」
『スリー!何かあったのか!?』
スリーの異変にキジヌは気が付いた。スリーはかすれた声で答えた。
「レンジュウロウが……死んだ」
その言葉にキジヌは驚愕した。スリーの声は少し濡れていた




