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宇宙の紳士と宇宙人  作者: えいちふみふさ
英雄になろう
28/54

エルダーワンズ領域へ

「それって……どういう意味ですか……?」


 ドクターの言葉に言葉を詰まらせながら純一郎は聞いた。

ドクターミシシッピは再び溜息をつきながら答えた


「お前さんの細胞は俺等人間とは異なる細胞でできている。それどころかこの宇宙で同じ細胞を持つものすらおらん。お前さんが何なのかわしにはさっぱり解らんのだ」


「そんな……」


「確実に言えるのは生物ではあるという事だ」


「そんな事があり得るのかね?」


「俺に聞くな。だが現実にはあり得ている。だから……」


「そんな俺は一体……」


 純一郎はは立ち上がり、亡霊にような顔で呟いた。


「ジュンイチロウ?」


「俺は……俺は……」


 そう言うと純一郎は吐しゃ物を吐きながら頭から倒れた。


「不味い!ベットに乗せろ!」


 薄くなっていく意識の中、ドクターの声が頭に響いた。





目を覚ますと天井が見えた。ぼんやりと眺めていると頭に痛みが走った。


「痛……」


「おう、目が覚めたか」


「わお、ドクター呼んでキマスネ」


 声のする方に顔を向けるとそこにはスリーが椅子に座り雑誌を持っていた。

本の表紙には『持てる男の腕パーツ』とデカデカと書かれていた。


「俺……」


「検査結果を聞いた後お前頭からぶっ倒れたんだよ。頭いてぇのはそん時にぶつけたからコブが出来たんだよ。ドクターは恐らく冷やしとけば大丈夫、だってよ」


「そうか……俺……倒れて……」


「ホントにたまげたぜ。急に吐きながら倒れたんだからよ」


 言われてみれば口が吐しゃ物臭かった。


「うがいしてもいいっすかね……?」


「いいんじゃねえか?多分。そこに洗面台があるぜ」


 重い体を起こして純一郎はうがいをした。

口の中がスッキリすると少し気持ちが落ち着いた。

スリーに背を向けるように純一郎はベットに腰かけた。


「俺……これからどうしたらいいんでしょう……」


「知らん」


 雑誌を読みながらスリーはぶっきらぼうに答えた。


「俺は……人ですらなかったんですよ……一体どうしたらいいんですか!」


「お前が人かどうかそんなに重要なのか?」


「え……?」


「お前の言う通りなら俺は九割人間じゃない。脳みそ以外は機械のサイボーグだからな。それどころかアビーは百パーセント機械だ。けどあいつも人間として扱われて元気に生きてる」


「…………」


「重要ななのはお前が何者かよりも何者になりたいかじゃねぇのか?」


「俺は……」


「……説教じみたこと言っちまったな、ガラじゃねぇ。ジュンイチロウ、お前はコレから何がしたい?」


「俺は……自分が何者か知りたいです。ぼんやりとした存在じゃなくて、自分が本当に何者か知りたいです……!」


「それなら俺たちに依頼しな。依頼料は負けてやるぜ」


「スリーさん…… ありがとうございます」


「おう目え覚ましたかって、何かあったのか?」


ドクターミシシッピが病室に入るなり言った。スリーがなんでもねぇと答えた。


「それなら良いけどよう。悪かったな、ジュンイチロウ君。俺ももうちょっと気を付けるべきだったぜ」


「いえ……検査してもらってありがとうございました」


「……やっぱお前らなんかあっただろ」


「だからなんもねぇって。で?何か検査するのか?」


「いや、うちではこれ以上の検査は出来ねぇ。というかどこの病院でもそうだろう。」


「そうですか……」


「だがお前さんが何者か知ってる可能性のある奴らなら分かるぜ」


「何だよ」


「エルダーワンズだ。奴らなら何か知ってるかもしれんぜ」


「よりによってあいつらかよ」


「エルダーワンズって誰ですか?」


 純一郎の質問にスリーが答えた。


「宇宙が誕生する前から存在していたともいわれてる種族さ。『イスの偉大なる種族』とも『最古の人類』とも呼ばれているみょうちきりんな奴らさ。あいつらは俺たち人間に興味を持っちゃいねぇから、馬鹿正直に答えてくれるかも怪しいぜ」


「けどその人達ならもしかしたら……」


「知ってる可能性はあるな」


 小さなものではあったが、希望は出てきた。純一郎は立ち上がった。





「エルダーワンズ領域か……」


 グレートジェントルマン号のミーティングルームでキジヌは呟いた。


「難しいでしょうか……」


「うーん、あの領域は人間が滅多に立ち入らない領域でね、中央ギルド全域警察の僕でもあまり近づかない領域なんだよね」


「そもそもあの領域は未開地域が多すぎて訳が分からないのさね」


「というかエルダーワンズ自体が接し辛い人達ですカラネ」


「だがレンジュウロウ君の秘密が分かるかもしれない、行かない訳にはいくまい?」


「どちらにせよ、僕は行けないんだけどね……有休今日しかとってないから……」


 デイビットは悲しげに言った。


「とにかく、エルダーワンズ領域に行くってことでいいんだな?」


「しょうがないさね」


「レンジュウロウさんの為デスカラ」


「皆さん……ありがとうございます」


 そう言う純一郎の瞳は、少し潤んでいた。


「うむ、ではエルダーワンズ領域に向かうとしようか。デイビットは休みだったのにすまなかった」


「本当にすいませんでした、デイビットさん。」


「いいさ、半分はドクターの言ってたように物見遊山だったからね。これで君の秘密が分かる事を祈っているよ」


 こうしてデイビットとは別れ、一行はエルダーワンズ領域に向かう事となった。


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