戦いの口火
皆が潜入した廃コロニーは全長三キロメートルの小さなころにーであり小惑星を改良して作られ、太陽光を取り入れる為にドーム型の特殊強化ガラスが張られていた。
つまりキジヌ達が潜入する前の時点で上半分の状況は見て取れていたた。
高層ビルの立ち並ぶ街が形成されていたのを既に確認していた。
上半分の街の中心部には一際巨大な病院が建っていた。
故にそこを集合地点として、四方から潜入する事にした。
キジヌ一行は北側から、デイビット班は西から、マスターグレイは南、クリスとアルフレッドは東からそれぞれ潜入した。
事前の調査から下半分部分は地下鉄道が十字に張り巡らされていた事が判っており、外部から入るには必ず地下鉄の終点駅からコロニー内部に入る事になっていたらしい。
キジヌ一行はその地下鉄道の線路沿いに進んでいた。
地下鉄道には電気が通っていた。
「電気が通じてるってこたぁ誰かが使っているって事だな」
「うむ、恐らくはこのコロニーであっているだろう」
「問題は何処に潜んでいるかさね」
「僕の予想では中央の病院だと思いマス」
「人を監禁するのには便利だろうからな。この線路沿いに行けば病院に着くんだろ?」
「どうやらビンゴみたいさね」
そこには白い騎士が右手に剣を握り立っていた。
一人ではない。地下道を埋め尽くすかの如く立っていたのである。
「いくら何でも多すぎないかしら?」
「各班からも体内通信機で同じような状況だと連絡が来ているよ」
クリスのぼやきにアルフレッドは答えた。いつもの軽口だった。
「どうやらこの先には行かせたくないみたいね」
笑いながらクリスは構えた。ボクシングの構えだった。
「そういわれると興味がわくね」
アルフレッドも笑いながら拳を構えた。
『だがオリジナルよりは弱いらしい。こいつらには銃が聞く』
無線越しにデイビットが答えた。向こうから発砲音が聞こえた。
「あらそうなの?」
既に三体の白い騎士を倒しながらクリスは答えた。騎士の中身は機械だった。
「機械生命体じゃない、完全なアンドロイドね」
「あぁ、一体一体の動きが遅すぎる――けどっ!」
「いくらお人形さんでも、これは多すぎるわね」
倒しても倒しても奥から来るのである。
『全部を相手にする必要はない!』
「確かに。途中で駅から出た方が良いわね」
そう言いながらまた五体程、騎士を破壊していた。
「駅に着いた!」
キジヌ一行はようやく駅へと到着していた。
潜入してから十分程立っていた。グランマが騎士人形を三体破壊しながら叫んだ。
「下の木偶共はあたしが食い止めるよ。あんた等は先に行きな」
「大丈夫かいグランマ」
「生意気言うんじゃないよ。まだまだ現役さね。さあいきな!」
グランマの言葉を受け止めキジヌ達は上に登っていった。
駅の外には騎士人形は居なかった。
キジヌ達は病院を目指して走りだした。
駅から騎士人形が上がってきた。
スリーは言った。
「人形は俺とアビーで引き受ける。ボスは先に進んでくれ」
「しかし……」
「勘違いすんな。俺たちが病院に着いても白い騎士や爺さんが出てきたら勝ち目がねぇんだ。けどボスなら戦えるだろ?」
「……確かにそうだ。あとは任せる。死ぬんじゃないぞ」
「そりゃこっちのセリフだ。さあ行きな!」
キジヌは走りだした。
病院には呆気ないほど早くたどり着いた。ガラス張りのロビーの床に突き刺した槍の上、老人が胡坐をかいていた。
「師匠……!」
「ほっほ、一番乗りはお前さんかい」
「師匠あなたとは戦いたくない」
「安心せいわしはお前とやりあうつもりは無いわい」
「何?」
「それがゴルドーの願いじゃ。わしゃ弟子思いだからのだからホレ、先にゆけい」
キジヌはレンジュウロウの言葉の通り奥に進んでいった。老人は背中で見送った。
「さてそろそろ来ると思うっとったぞ」
そこに現れたのはマスターグレイだった。マスターグレイの顔は怒りに満ちていた。
「ここで長年の決着を付けるぞ!レンジュウロウ!」
「相変わらずやかましい奴じゃわい。どれ」
レンジュウロウはレンキの槍を大量に形成し、そのうち二本を掴んだ。
マスターグレイは両手両足に大量のレンキを纏った。
「行くぞ!」
マスターグレイの言葉にレンジュウロウは笑って答えた。
レンジュウロウの大量の槍が波濤なってマスタ―グレイに襲い掛かった。
マスターグレイは両手にのレンキを球形に形成しそれを払った。
マスターグレイの開いた懐にレンジュウロウの二本の槍が迫ったが右足一本で素早く払いのけ、反撃の神速の蹴りを叩き込んだが降ってきた槍で防がれた。
レンジュウロウは跳躍し距離を取った。
実力は互角。互いに一つのミスで死に至る死合だった。
レンジュウロウは笑いながら言った。
「良い良い。久しぶりに血沸き肉躍る死合ぞ」
「ふん!余裕な態度もこれまでぞ!」
マスターグレイは両手に溜めたレンキをビーム状に解き放った。
レンジュウロウも再び槍の波濤を放った。二人の間で互いのレンキ同士がぶつかり合い、紫色の光を放ち、ぢりぢりと音を立てた衝撃波でロビーのガラスが全て砕けた。
二人の間に立ち入れる者は誰一人居なかった。




