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宇宙の紳士と宇宙人  作者: えいちふみふさ
淡い記憶と白い騎士
19/54

死線

 マスターグレイ達は無事合流した。

マスターグレイ達が乗ってきた艦はグレートジェントルマン号の側に接舷させ、グレートジェントルマン号のブリッジで作戦を練ることとなった。

 作戦はこうである。

マスターグレイ、マスターグレイ弟子のリモンという女とグランマ、デイビットとキジヌの三班に分かれてまた街に出るというものだった。

そしていずれかが襲撃された際に合流し、白い騎士を捕らえるという者だった。

作戦としては大したものでは無かったし、確実に白い騎士が出てくるとは限らないがとにかくやるしか無かった。


「さて……奴はどう出るかね」


「一応事件が起きた時点で停泊していた艦は全て出港を禁止させたからね。街に居なくとも、この惑星にはまだ留まっているはずだから案外あっさりと出て来るかもしれないよ」


「……言ってる傍から来たらしいな」


 這う様に霧が出てきた。

そして霧の中から右手に剣をぶら下げて、白い騎士が現れた。前と同じく、刃と眼が濡れたように紫色に光っていた。

キジヌはレンキを纏い拳を構えた。

デイビットは体内通信機で皆に連絡をいれつつ、オートマチックハンドガンを懐から取り出し、銃口を白い騎士に向けた。

 今回、先手を打ったのはキジヌの方だった。

レンキで両足を強化し獣の様に低く身をかがめ距離を詰めた。

白い騎士は剣で斬り上げ迎撃したがキジヌが顔を逸らし刃は空を斬った。

白い騎士は振り上げた剣をキジヌの脳天に振り下ろそうとしたが、キジヌは拳で白騎士の剣を握った拳を打ち抜き、白い騎士の右手の籠手と骨を砕いた。

白騎士は即座に左手で剣を横に薙いだが、キジヌはそれよりも速く白い騎士の胴に両手の掌打を打ち込み、騎士の体を吹き飛ばした。  

騎士は即座に態勢を立て直し、左手で剣を構えた。白い騎士の呼吸は乱れていた。


「流石だなキジヌ=サルモモール。ミスタービーストと呼ばれることはある」


「私の事を調べたのかい?あるいは……」」


「話を続けるつもりは無い。貴様には本気で行かせてもらうぞ」


 その言葉に嘘は無かった。白い騎士の右手からレンキで形成された刃が現れた。彼の本領は二刀流だったのだ。


「形成レンキか。しかもかなりの精度に見えるな。デイビットは後ろに下がっていてくれ給え」


「いわれずとも、もう下がっているよ」

 

 既に銃口を下げていた。デイビットは二人の動きを目で追うので精一杯だった。


「……参る」


 白い残影がゆらりと動いた。

神速の二条の斬撃がキジヌを襲った。

キジヌは両拳でそれぞれの斬撃を打ち払った。

明らかにさっきまで斬撃よりも速かった。白騎士の猛攻は続いた。

キジヌはさっきとは打って変わって防戦一方になっていた。

しかしキジヌに策が無くなった訳ではなかった。

キジヌは状況を変える為、両手からレンキの帯を形成した。

そしてその帯を白騎士の斬撃を払うと同時に騎士の両手首に帯を巻き付けた。

一瞬白い騎士の動きが止まった。

キジヌはレンキを頭に瞬時に集めて白い兜に頭突きを下方から叩き上げた。

白い騎士はそのまま後ろに吹き飛ばされ、衝撃で兜が脱げた。

キジヌの狙いは兜を脱がせる事だった。

白い騎士の素顔が露になり、キジヌは驚愕した。


「……ゴルドー!?なぜ君が!?」


「……もう隠す必要もないか。久しぶりだなキジヌ」


「そんなことはどうでもいい!なぜ君がこんな事を!?」


「力だ……力の為だ……」


「力だと?一体何を……」


「――そんなことはどうでもよいわい!そのまま繋いでおけよ!」

 

 キジヌとゴルドーの間に灰色の影が降りてきた。

同時に白い鎧が砕け散りゴルドーは九の字に折れ血反吐を吐いた。

両手の繋がっていたキジヌは前方に吹き飛ばされそうになり、灰色の男にぶつかった。

灰色の男は一瞬で紫色の縄でゴルドーを縛りあげた。


「ほれ、もう解いてもよいぞ!」


「マスターグレイ……分かりました」


 そう言うとキジヌはゴルドーに繋いでいたレンキを解除した。

 来ていたのはマスターグレイだけでは無かった。 

リモンとグランマも合流した。


「さて、これで終わりだ!全て吐いてもらうぞ、ゴルドーとやらよ!」


「お前らに言うことなど何もないさ……それにまだ終わりじゃあない」


「何を馬鹿な事を……この状況で一体なにが……」


 それは一瞬だった。

紫色の輝く槍がその場にいた全員の足元に突き刺さっていた。

ゴルドーの縄が斬られた。

自由になった男の眼前。槍に座った小柄な老人がそこに居た。

瞬時に動けたのはマスターグレイとグランマだった。

老人はグランマとマスターグレイの拳を二本の槍を用いて受け止めていた。


「なんじゃ不躾じゃのう。挨拶すらさせんのか」


「黙れレンジュウロウ!貴様が今回の事件の糸を引いているのか!」


 叫ぶマスターグレイとは対照的にキジヌは囁くように言った。


「ヨモギダ師匠……まさかあなたまで……?」


「おう、久しぶりじゃのうキジヌよ、あれから強うなったかのう。だが今は……」


「!全員伏せろ――!」


 レンジュウロウを中心にレンキの槍がそれぞれに向かって弾丸の様に放たれた。

リモン以外はギリギリ回避したが、リモンは腹部に槍を受け吹き飛んだ。

レンジュウロウとゴルドーはリモンの方へ跳躍した。

そしてゴルドーはリモンに突き刺さった槍を掴み担ぎ上げた。リモンはうめき声を上げた。


「ほっほ今回の戦利品じゃの。それと全員動くなよ。動けばこの娘は殺すぞい」


「リモンは幾つも死線を乗り越えてきた!そんなことで死ぬほどやわではない!」


「ならば動けばよい。それが出来んのが貴様じゃろう」


 老人の言葉の通りだった。マスターグレイは動けずにいた。


「安心せい、間もなく全てが整う。その時には全員招待してやるわい。それまで待っとれい」


 そう言うとレンジュウロウとゴルドーは霧の中に消えて行った。

晴れていく霧の中、マスターグレイの慟哭が街に響いた。




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