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0. 見知らぬ空間

※色々修正。ノリで書いているので地の文が安定しない……

「…………」


 ここはどこだ?

 周囲を見渡すと、まるで空気の綺麗な田舎で見上げた夜空のように、黒い背景に沢山の大きさや濃さのまばらな白の点が輝いている。よく見ると白だけではなく、いくつか赤や青などの色がついた点もあるようだ。


「……うぉおおぅっ! おっとと」


 ふと足元に目を向けるとそこには足場らしきものはなく、周囲と同じような景色が広がっていた。

 落ちる恐怖で思わず身構えるが、しばらくしても様子に変化はない。床がある実感がないから何となくバランス感覚が取りづらいが……恐る恐る腰を下ろしてみると、何のことはなく普通に座れた。


「綺麗だなぁ……」


 改めて辺りを眺めると、大小様々な点があちこちで輝いている。まるで広大な宇宙に輝く数々の恒星のようだ……というか一度そう思うと星にしか見えない。というかここ完全に見た目宇宙じゃん。何これ。

 本物の宇宙なら-270℃くらいで空気もない環境であるわけで、こうして無事でいられるはずがない。しかし今は何ともないというのも事実だ。ひとまず差し迫った状況ではないと思った俺は、状況を確認することも忘れてひたすら神秘的な景色に目を奪われていた。

 と、体を後ろに反らせて後方の景色を見ようとした時。


「ひぃ!!」


 目の前1mくらいのところに人がいた。


(さっき周りを見た時は誰もいなかったのに! いやそもそも人間か!?)


 様々な思考を駆け巡らせつつも瞬時にその人物に目を向けると、佇んでいたのは物静かな印象を与える幼女。

 肩あたりまで伸びたふんわりとしたねずみ色の髪は目の上辺りでそれなりに切り揃えられており、眠たそうな眼の中で綺麗な瞳が青く輝いている。服装はゴスロリ衣装の黒を白にした感じだ。……もはやゴシックでも何でもないな。

 見た目は完全にロリだが恐怖の対象でもあるので、俺はおそるおそる話し掛けた。


「えっと、あなたは誰……ですか?」

「…………」


 幼女は俺の問いかけに反応する素振りも見せず、ただ俺の方をじっと見ている。怖い。

 ……どうやら俺の胴体辺りを見ているようだ。服でも気になるのかと思って自分の着ているTシャツを見ると、そこには『lol, you died』と。


「……あっ、これはそういう意図で着てるんじゃないんです。すみません」

「………………」


 めっちゃガン見されてる。怖い。

 もしかすると俺が『お前死んだなww』とおちょくっているように思われているかもしれないが、こちらとしてははっきり否定しておきたい。自分でも何故こんなTシャツを着ているのか覚えていないのだ。だがそんな偶然を信じてもらえるだろうか。焦りで都合の悪いことばかり考えてしまう。

 仮にここが死後の世界で、そんな世界の住人である幼女の感情を逆撫でしまくっているとすると……やばい。運が悪ければ殺される?


 凝視を続ける幼女の視線に耐え切れなくなってきた俺は、背を向けるようにして膝を抱えた。


「……………………」

 てくてくてくてく……


 幼女は無言で俺の正面に回り、尚も俺の胸元を見つめてきた。

 ……これはつまりそういうことなのだろう。やっぱり怒っている。考えてみれば当然だ。自分の死を嘲笑う相手に良い感情を持つはずがない。

 俺は事の発端であろうシャツを脱ぎ捨てようと決心した。幼女の前で上半身裸になるのは気が引けるが、命に比べれば大したことではない。


「…………………………!!」

「!? うわあぁぁっ!」


 俺が上半身を露わにした瞬間に幼女が目を見開いて俺に飛び掛かってきた! ひいいいぃぃぃごめんなさい!

 手足を精一杯ばたつかせるが、幼女のものとは思えない力で四肢の動きを封じられて抵抗はほとんど意味を成さなかった。普通の幼女ではなさそうだとは思っていたが、まさかここまで簡単に押さえつけられるなんて。

 幼女の頭がゆっくりと下りてくる。髪が体にかかってくすぐったい。やはりこの恐ろしいほどの力で殺されてしまうのだろうか。どうせなら一思いに……


 ぱくっ…………ちゅううぅぅぅぅ……


「えぅっ…………うわっひぃぃぃ」


 あろうことか、幼女は俺の乳首を小さな口に咥えて吸い付き始めた。一回だけで吸い付きが終わる気配はなく左右の乳首を交互に何度もちゅうちゅうと吸われる。


(何だこれ? 事案? 何かの儀式? これって捕まる? それとも殺される?)


 予想など全くしていなかった事態に頭が追い付かない。パニック状態に陥った俺はまともな思考ができないでいた。


 ぺろり。れろれろ……ぬりゅっ、ぐりゅっ、ちろちろ……

「ひゃあっ!? はぅぅぅぅ」


 ぬるりとした感触。それが舌だとわかるのに時間はかからなかった。円を描くように乳輪のふちをなぞったり、頂を押しつぶすように往復したり、はたまた上下左右に弾いたり。経験のない俺でも、これが赤ちゃんが乳を飲む行動とは全く別のものであることはわかった。

 どうして俺は見ず知らずの幼女に押し倒されて乳首を舐められているんだ? そもそもこいつは一体何がしたい? ぐるぐると思考が回るが、次第にまともに考えられなくなっていく。

 完全に地面に押さえつけられ抵抗らしい抵抗もできないでいる俺は、幼女にひたすら乳首をいたぶられて喘ぐこの奇妙な状況をただ甘んじて受け入れることしかできなかった。



 ◆◆



「にゅるにゅる……ぷはっ。…………ふぅ」

「ああ……うあぁぁ……」


 あれからどれくらい経ったのだろうか。30分か数時間かの区別もつかない。

 ようやく解放された乳首には唇の跡がくっきりとつけられていて、上半身の前面は唾液でぬるぬるだ。見るに無残な様子で、乳首がどれほどの暴力に曝されたのかを物語っている。

 初めての強烈な経験。体は未だにびくんびくんと痙攣しており、自分の意志では身動ぎ一つとれない。幼女に与えられる快楽に屈服した俺は、自分の中のどこかで扉が開くのを感じていた……


「ふぅ……ノルマ達成。それで、あっちに行くにあたっての願いは何?」

「……へっ?」


 頭上から唐突に可愛らしい声が聞こえる。何とか頭を動かして確認すると、声の主はたった今まで俺を襲っていた幼女だった。

 突然の事態に理解が追い付かず、まともな声を上げることができない。


「二つくらい聞いてあげる」

「ちょ……え? えっと、その……ど、どういうことですか?」

「普通の話し方でいい。要するにあなたは今から異世界転生する。それにあたって二つの願いを」

「ス、ストップストップ……ゆっゆっくり説明してくれ……」


 なんかネットでよく見たことがある単語が聞こえた……マジで?


「あなたは元いた世界で死んだ。だから私があなたの要求を二つ叶えて、別の世界へ送る」


 何がだからなのかはわからないが……思い出した。高校入学後に新しい環境でナーバスになっていた俺は、何を思ったか一人で海へ泳ぎに行って溺れたのだ。嫌なことを思い出しそうだったがやめておこう。俺は前を向いて生きていくのだ。

 よし、決意で頭の靄が晴れてきたぞ。


「えーと、大体の流れはわかった。見たことあるし。でも……さっきのは何だったんだ?」


 恐らく目の前の幼女は異世界転生ものの女神のような存在なのだろう。転生者に死を告げ、何らかの能力を与えて異世界に転送するのが大抵の役割だ。その系統の物語は「小説家になるな」というサイトでいくつか読んだことがあるが、初っ端から女神に襲われるタイプのものは正直見た覚えがない。

 小説よりも奇だろうこんなの。まだ乳首がじんじんしてるし……


「ギブアンドテイク。私は乳首を吸わせてくれる人に対してのみ、願いを聞き入れることにしている」

「……吸わせてくれなかった場合は?」

「何も与えず放り出す」


 身震いがした。乳首を差し出さなければ何の援助も得られず、一人丸腰で知らない世界に放り出されるというのか? はっきり言って頭がおかしい。

 そんな俺の思考を表情から見抜いたのか、幼女は見咎めるように口を開いた。


「私はママの手伝いをしてるだけ。ママはこんなことはせず、家事を手伝ってもらっている」

「いやそれならお前もそうすればいいじゃん」

「私もそう言ったが、ママにこうしろと言われた。私は別に家事なんてやってない。手伝ってもらうメリットがない。というのが理由」

「男の胸を吸って何かメリットがあるのか……?」

「男の人の乳首を吸ったのは初めて。今まで条件を満たした人は全員女の人。ほっこりした。但し乳首をぺろぺろしたのは女の人も含めて今回が初めて。ぞくぞくした。またさせてほしい」


 ……この子も扉を開いてしまったのか。俺には過失がないと断言できるつもりなのに、何故か悪いことをした気分になった。

 というかこの子に当たった男性は可哀相だな。条件を満たすなんてほぼ不可能じゃないだろうか。女性なら母性本能があるが、父性本能で乳首を差し出す男なんていないだろう。いたら嫌だ。


「それで、何が欲しいの? 一応、条件を満たした人にはある程度のものは別に用意してある」


 そう言って差し出されたのは一つのリュック。サイズは大きめで、中には食料や水の他、見たことがない硬貨や鞘入りの剣なんかも入っていた。恐らくこれがあれば向こうで何日間かは生活ができるということなのだろう。とりあえず初日から飢えでゲームオーバーなんてことはなさそうだ。

 ではどうしようか。俺は最強を目指すつもりなんてないから強い装備にはあまり興味がないし、そもそも使いこなせる自信がない。あとファンタジーといえば魔法だが……ちょっと訊いてみよう。


「異世界に行くからには魔法が使えたらいいなと思ってるんだが、魔法ってどんな感じなんだ?」

「初期魔法なら大体の人が元から使える。それはあなたも例外ではない。仮に強力な魔法を使いたいというのなら使えるようにしてあげるけど、多分1発で魔力切れになる。その使用に耐えうるだけの魔力が欲しいというのなら願いは合計二つになる」


 なるほど。魔法を使用するには魔力が必要で、強力な魔法ほど消費する魔力が大きい。また使えるようになるには魔法の強さに応じて段階を踏む必要がある、と。これはゲームなんかと一緒だ。

 あと異世界といえばケモミミだろうか。……ん?


「人に会っても会話できなきゃ意味がないよな……流石に話はしたいし。言葉は通じるのか……?」

「あいわかった。向こうの言葉が理解できるようにしておく」

「え?」


 あれ。なんで願いとして処理されてるんだ? いきなり強引になるなんて、そんなに重要……あっ。


「それじゃあ、今までの男の人は……」

「……もう既に全員二度目の死を迎えた。私は条件を変更できない。正直申し訳なく思っている」

「いや……お前が悪いわけじゃない。気にするな」


 丸腰で放り出されたとすれば、残る頼みの綱は誰かの助けだと……いや、もう考えるのはやめよう。


「私がもう少し早く十分の一成人していれば……」

「……お前まだ2歳にもなってないのか?」


 20歳の十分の一は2歳だけど、わざわざ固有名詞をつけるほど重要な年齢では……というところまで考えてから気づいた。この子が俺たちと同じように年齢を重ねているとは限らないのか。ゲームだと100万年以上生きてる天使とかも出てくるし、もしかしてこの幼女が1万歳ということも……?


「何を言っているの? 私は18歳、成人は200歳。……私たちの寿命はあなたたちと違って800歳くらい」

「おぉ……ぉおお? 思ってたのとスケールが色々違った……いやそれでもすごいか」

「神だから1万年くらい生きていても……とか思った? 私たちは別にそういうのじゃない。あなたたちよりも長生きする種族で、たまたま神みたいな仕事をする人が多いだけ」


 おお……割と普通なんだな。女神が職業なんてこともあるのか。

 年齢に関しては大体10倍……ということは母親の年齢は300歳くらいだろうか。すると幼女の年齢は俺たちの基準で言えば1.8歳――1歳10か月くらいということに?


「言っておくけど、私たちの教育水準は高い。私は既にあなたより多くの知識を持っている。そしてママの年齢は243歳。それで、二つ目の願いは?」


 ……余計な事を考えるのはやめておこう。何故かとことん心を読まれている。

 もう一つの願い。これが意外と思いつかない。実際に行ったことがないので、どんな世界でどんな能力が必要なのか全くイメージが湧かないのだ。さっき強引に有用な能力をくれたのはかなりファインプレーだったのかもしれない。

 知らないことばかりだから誰かに教えてほしい……ん、こういうのはありだろうか?


「お前の助言が欲しい」

「?」

「いやなんというか、俺の事情を知らない人が向こうではほとんどだろ? それがちょっと寂しいのもあるし、事情を知っている人のアドバイスは心強そうだなとも思って」

「ふむ……私が今あなたについていくことはできない。それにこの世界を見ていたのは長くない。だから何から何まで知っているわけでもない。あなたの状況を適宜観察して、時々アドバイスを送るくらいのことはできるけど……」

「じゃあそれで。他に思いつくものもないし」

「了解。じゃあそろそろ向こうの世界に送るから心の準備をして」


 いよいよ異世界か。常識が通用するかもわからない未知の世界に飛び込むのは緊張するし正直不安だ。なんで物語の主人公はワクワクしながら行けるの?

 リュックを背負って深呼吸をする。結局行くことは決定事項なんだ。どうにかなってくれ。


「じゃあ、時々メッセージを送る。媒体は臨機応変に。私の名前はリリィ。他に質問は?」

「ああ、俺はコウな。じゃあ一つ、この空間は何なんだ?」

「ここはあなたの世界から人を呼び込んで向こうの世界に送るための部屋。半球状になっていて空間自体が宇宙の真っ只中にリンクしている。言わばリアルなプラネタリウム」

「まさかそんな仕掛けだったとは……にしてもやっぱり綺麗だな」

「我が家自慢の部屋。では向こうに送る。幸運を祈る」

「ほい、じゃあ行ってくる」


 リリィが手をこちらにかざすと、俺の足元に魔法陣のようなものが現れた。次第に魔法陣は輝きを増し、視界が白に染まっていく。


 こうして俺は異世界へと旅立った。

※少女→幼女に変更。


見切り発車で初投稿。

当初は短編か何かを上げてからにしようと思っていたのですが結局こっちが先になりました。

次話以降はもっと文字数が少なくなる予定。

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