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トリオとコンビ  作者: 若松ユウ
第1部
91/164

第91話「コープさん」

「五倍、五倍、ポ、イ、ン、ト、五倍」

「それを歌うのは、やめてくれ、青衣。耳について仕様がない」

「はぁい。今日は、何を買うのん、お兄ちゃん?」

「今日は、豆腐と、キャベツと、人参と、それからやなぁ」

「あ、夏海お姉ちゃんや」

「春樹、青衣ちゃん」

「お、南方か。朱雀くんと、買い物か?」

「荷物持ちという、不本意極まりない役目を、担わされてしまったのだ」

「朱雀くん、目ばちこなん?」

「ちゃうねん、青衣ちゃん。あたしには、よぅ、わからへんけど、左眼に眼帯をせぇへんと、落ちつかへんって言うもんやから」

「見えにくうないんか、朱雀くん?」

「我が左眼に封印されしレッドアイドラゴンが、この頃、印行を解こうと疼くものでな。その抑止力を得るためであれば、距離感や立体感を犠牲にしても、代償としては安いものだ」

「ドラゴンが逃げたら、大変やもんね。――お豆腐、こっちでええのん?」

「作り話やで、青衣ちゃん。――こっちのほうが、日付が新しいで」

「誰も、本気にしてへんって。いつもの、朱雀くんの空想劇なんやろう? ――新しいほうを貰うわ。それは戻してな、青衣」

「絵空事だと、余裕で居られるのも、今のうちだ。――牛乳は、何本だ?」

「玉子が、何とか特別で、いつもの半額やって、お兄ちゃん」

「ご愛顧特別価格やね。まだ冷蔵庫にあるやろうけど、一つ、買うとこう」

「メモには三パックって書いてあるんやけど、一人一パック限りか」

「それならば、こちらで、一パック買えば良い話ではないか」

「そうしてもらおうか、お兄ちゃん?」

「あたしは、構わへんよ、春樹」

「ほんなら、そうしてもらえるか? あとで、精算するわ」

「それには及ばない。引き換えに、入店前に諦めた、あの問題が解決してもらえれば、それで良いではないか?」

「問題って何なん?」

「入り口の近くに、トイレットペーパーが積んであったのんを見たと思うんやけど、あれも、一人一袋限りなんよ。せやけど、出来れば三つ以上、買うておきたくて」

「それやったら、こっちで一つ買うたるわ」

「ご協力、感謝いたす」

「こちらこそ」

「おおきに、春樹」

「それほどでも。ほんなら、青衣。持ってきてくれるか?」

「はぁい」

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